2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』第40回「あさひの輿入れ」では、徳川家康(松下洸平さん)の重臣・石川数正(迫田孝也さん)が、秀吉のもとへ出奔するという大事件が描かれました。
1585年、長年徳川家に仕えた重臣・石川数正が、突如として家康のもとを去り、秀吉に仕えました。数正が出奔した真意については、今もさまざまな説があります。
石川数正といえば、2023年『どうする家康』第33回「裏切り者」でも、松重豊さん演じる数正の苦悩と、家康(松本潤さん)との別れが印象的でした。
同じ歴史上の出来事でも、誰を主人公にするか、どの人物の目を通して描くかによって、味わいが全く違ってきます。
管理人は大河ドラマを見るとき、どの作品の解釈が正しいとか、どちらの描き方がいいとか、という視点ではあまり見ておらず、
毎回、ドラマの冒頭に流れる出演者クレジットを眺めながら、
「この人物は、今回はどんなふうに描かれるんだろう?」
「この歴史的事件を、今回はどんな点と点をつないで物語にするんだろう?」
と、テレビの前でワクワクしながら45分走り切ります。
家康も秀吉も信長も、これまで数え切れないほどドラマに登場してきた人物なので歴史的な事実は変わらなくても、その出来事と出来事の間には、想像を巡らせる余地がたくさんあります。
石川数正の出奔は、まさにそんな大河ドラマの醍醐味を味わえる出来事です。
この記事では、歴代大河ドラマで徳川家康と石川数正を演じた俳優さんを一覧にまとめ、『豊臣兄弟!』『どうする家康』を中心に、それぞれの作品が描いた数正の姿を振り返っていきます。数正の意外な一面もぜひ見てください。※この記事には、各作品のネタバレが含まれます。
- 歴代大河ドラマで徳川家康と石川数正を演じた俳優一覧
- 『豊臣兄弟!』と『どうする家康』で異なる、石川数正の出奔の描かれ方
- 『徳川家康』『秀吉』『真田丸』など、過去の大河ドラマが紡いだ数正の物語
歴代大河ドラマの徳川家康と石川数正|俳優一覧
徳川家康は、歴代大河ドラマに何度も登場してきたおなじみの人物。家康の重臣・石川数正も、さまざまな俳優によって演じられてきました。
歴代大河ドラマで家康と数正を演じた俳優を一覧表にまとめてみました。
| 年 | 大河ドラマ | 家康役 | 数正役 |
|---|---|---|---|
| 2026年 | 豊臣兄弟! | 松下洸平 | 迫田孝也 |
| 2023年 | どうする家康 | 松本潤 | 松重豊 |
| 2021年 | 青天を衝け | 北大路欣也 | × |
| 20~21年 | 麒麟がくる | 風間俊介 | × |
| 2017年 | おんな城主直虎 | 阿部サダヲ | 中村織央 |
| 2016年 | 真田丸 | 内野聖陽 | 伊藤正之 |
| 2014年 | 軍師官兵衛 | 寺尾聰 | × |
| 2011年 | 江~姫たちの戦国~ | 北大路欣也 | × |
| 2009年 | 天地人 | 松方弘樹 | × |
| 2006年 | 功名が辻 | 西田敏行 | 大河内浩 |
| 2003年 | 武蔵MUSASHI | 北村和夫 | × |
| 2002年 | 利家とまつ | 高嶋政宏 | 能裕二 |
| 2000年 | 葵 徳川三代 | 津川雅彦 | × |
| 1996年 | 秀吉 | 西村雅彦 | 誠直也 |
| 1993年 | 琉球の風 | 小林旭 | × |
| 1992年 | 信長 KING OF ZIPANGU | 郷ひろみ | × |
| 1989年 | 春日局 | 丹波哲郎 | × |
| 1988年 | 武田信玄 | 中村橋之助 | 村上幹夫 |
| 1987年 | 独眼竜政宗 | 津川雅彦 | × |
| 1983年 | 徳川家康 | 滝田栄 | 江原真二郎 |
| 1981年 | おんな太閤記 | フランキー堺 | × |
| 1978年 | 黄金の日日 | 児玉清 | × |
| 1973年 | 国盗り物語 | 寺尾聰 | × |
| 1971年 | 春の坂道 | 山村聰 | × |
| 1969年 | 天と地と | 松山省二 | × |
| 1965年 | 太閤記 | 尾上菊蔵 | × |
※「×」は、該当作品で石川数正の登場を確認できなかったものです。
1983年『徳川家康』では滝田栄さんと江原真二郎さん、2023年『どうする家康』では松本潤さんと松重豊さん、そして2026年『豊臣兄弟!』では松下洸平さんと迫田孝也さんが、それぞれ家康と数正を演じています。
また、石川数正が登場する作品でも、必ずしも出奔が描かれるわけではありません。
例えば、2017年『おんな城主 直虎』では、中村織央さん演じる若き数正が、瀬名(菜々緒さん)に淡い恋心を寄せるという、印象的な人物像が描かれました。
同じ石川数正でも、作品や主人公との関わり方によって、まったく違う顔を見せてくれます。
では、歴代大河ドラマでさまざまな物語が紡がれてきた「石川数正の出奔」とは、そもそもどのような出来事だったのでしょうか。
石川数正はなぜ家康のもとを去った?史実の出奔事件
家康を幼いころから支えた重臣・石川数正
石川数正(いしかわ・かずまさ)は、家康がまだ今川家の人質だったころから仕えてきた、徳川家の重臣です。
家康の側近として数々の戦いに参加する一方、外交面でも活躍。織田信長や羽柴秀吉との交渉でも重要な役割を担いました。
1584年の小牧・長久手の戦いでは、家康と秀吉が激突。
戦いのあとも両者の緊張関係は続き、数正は秀吉との交渉を担う立場にありました。
しかし、その数正が、長年仕えてきた家康のもとを突然去ってしまいます。
1585年、石川数正が岡崎城から出奔
天正13年(1585年)11月13日、岡崎城代を務めていた石川数正は、家康のもとを離れ、秀吉のもとへ身を寄せました。
当時、秀吉は関白に就任し、家康に対しても圧力を強めていました。
秀吉から新たな人質を求められた徳川家では、同年10月の評定で、要求には応じないという結論を出していました。
その直後に起きた、数正の出奔。
しかも数正は、徳川家の内情や軍事機密にも通じた人物です。
家康にとって、長年の重臣を失っただけでなく、徳川家の情報が秀吉側に渡るという大きな痛手でもありました。
数正の出奔を受け、徳川家では軍制を武田流に改めたとも伝えられています。
数正はなぜ出奔した?今も残る歴史の謎
では、数正はなぜ家康のもとを去ったのでしょうか。
実は、その真意については、今もはっきりとした答えが出ていません。
主な説として、次のような見方があります。
| 出奔の理由とされる説 | 内容 |
|---|---|
| 秀吉との和平を望んだ説 | 秀吉との戦いを避けようとしたものの、徳川家中で孤立した |
| 秀吉に引き抜かれた説 | 天下人へと近づく秀吉の勢力を見て、豊臣方への転身を決意した |
| 人質が関係していた説 | 秀吉のもとに置かれていた数正の息子の存在が、決断に影響した |
| 家康の密命説 | 表向きは裏切ったことにして、家康のために秀吉のもとへ移った |
ただし、いずれも出奔の理由を確定できるものではありません。
国立公文書館が紹介する『当代記』には、数正の三男が秀吉の人質となっていたことが、出奔の要因ではないかという記述も残されています。
また、家康の密命を受けていたという説は、歴史小説やドラマでも魅力的な題材になってきましたが、史実として確認されたものではありません。
数正の胸の内にあったのは、主君への忠義だったのか、徳川家の将来への危機感だったのか。それとも、別の事情があったのでしょうか。
歴代大河ドラマでは、この歴史のすき間をどのようにつないできたのでしょうか。
2023年『どうする家康』で松重豊さんが演じた石川数正から振り返ってみます。
※以下を参考にしました。詳しく知りたい方はこちらもご参照下さい。
▶国立公文書館「石川数正の出奔」
▶松本市「おもシロ!城郭つうしん 第6回」
『どうする家康』松重豊さんの石川数正|裏切り者になった忠臣の苦悩
2023年大河ドラマ『どうする家康』では、松重豊さんが石川数正を演じました。
家康(松本潤さん)を幼いころから支え、時には父親のように見守ってきた数正。
第33回「裏切り者」では、その数正が家康のもとを去り、秀吉(ムロツヨシさん)に仕えるまでの苦悩が描かれました。

松重豊さんの言葉や表情はもちろん、長身の松重さんの身体全体から絞り出すような演技がとても印象に残っています。
秀吉の恐ろしさを知ってしまった石川数正
小牧・長久手の戦いでは、徳川・織田連合軍が秀吉軍に勝利しました。
しかし、秀吉(ムロツヨシさん)は織田信雄(浜野謙太さん)を抱き込んで和議を迫り、さらに関白に就任。
戦場で勝っても、政治の力で徳川を追い詰めていく秀吉。
家康の名代として大坂城を訪れた数正は、秀吉という人物の底知れない恐ろしさを改めて思い知らされます。
私は、この回で描かれた秀吉の「化け物」ぶりと、大坂城の廊下を歩く数正の重い足取りが忘れられません。
秀吉が見据えている天下と、徳川家臣団が見ている天下。
その違いを、数正は身をもって感じ取ってしまったのでしょう。
家康や家臣たちに秀吉の恐ろしさを伝え、必死に説得しようとしますが、徳川家中に秀吉へ従う気はありません。
長年仕えてきた家康への愛情と、秀吉という巨大な存在を知ってしまった現実。

数正は大坂の繁栄ぶりにもカルチャーショックを受けていました。これはその場の空気感を肌で感じないとわからないですね。
数正の苦悩を理解していた酒井忠次のまなざし
この第33回で、数正と同じくらい印象に残っているのが、酒井忠次(大森南朋さん)のまなざしです。
数正が家康の父親代わりなら、忠次は母親代わりともいえる古参の家臣。
いつも少し高いところから全体を俯瞰し、家康と家臣たちを見守っています。
忠次自身は、秀吉が築いた大坂城や城下を見たわけでも、秀吉と直接談判したわけでもありません。
それでも、長年の経験と数正への全幅の信頼から、数正が見ている景色を理解しようとします。
そして、数正と家康、ほかの家臣たちとの間に、なんとか接点を見つけようとしていました。
私は、この忠次のまなざしにも釘付けでした。
数正の言葉だけでなく、その目を通して、数正が見てしまった何かを敏感に感じ取っていたのではないでしょうか。
忠次にとっても、家康は大切な主君ですが、同じように家康を支えてきた数正の思いも、決してないがしろにはできなかったのだと思います。
家康と数正、同じ夢を見ていたはずなのに
忠次に諭され、数正は家康と向き合って話をします。
この二人の会話が、私には上滑りしているように感じられました。
秀吉や寧々(和久井映見さん)と実際に対面し、秀吉が思い描く天下を目の当たりにした数正。
一方の家康は、戦いによって、戦いのない世を実現しようとしています。
二人とも目指しているのは、戦のない世の中のはずです。
けれども、そこへ至る道筋が違う。
同じ未来を見ているつもりでも、二人の「現在地」は、すでに違っていたのかもしれません。
そして数正は、家康との会話の中で、改めて自分自身の心に気づいたように見えました。
秀吉の恐ろしさも、秀吉が持つ圧倒的な力も、頭では理解しつつも、数正が心から願っていたのは、家康を天下人にすることだったのではないでしょうか。
第33回を初めて見たとき、私は数正の言葉こそが、彼の「心の声」だと感じました。
妻・鍋と歩く後ろ姿が物語っていたもの
しかし、その後、数正は妻・鍋(木村多江さん)とともに家康のもとを去り、秀吉に仕える道を選びます。
秀吉から新たな名を与えられ、石川出雲守吉輝と名乗ることになった数正。
残された屋敷には、秀吉こそが天下人であると記された置き手紙がありました。
私は、この手紙はパフォーマンスだったと思いたいです。
そして、何より忘れられないのが、秀吉と寧々への挨拶を終えたあと、大坂城の廊下を歩いていく数正と鍋の姿です。
二人の重い足取りと後ろ姿。
そこには、長年仕えた家康のもとを離れ、これまでの人生を捨てるようにして豊臣家へ移った夫婦の、言葉にならない思いがにじんでいるようでした。
数正は本当に家康を裏切ったのか、それとも、家康と徳川家を守るために、自ら裏切り者となる道を選んだか。
『どうする家康』第33回は、簡単には答えを出せない数正の心の内を、松重豊さんの演技とともに深く印象づけた回でした。

松山ケンイチさん演じる参謀・本多正信も、忠次と同じように数正の思いを受け止めていたら、何かが変わっていたかもしれませんね。
『豊臣兄弟!』迫田孝也さんの石川数正|豊臣側から見た出奔
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』では、迫田孝也さんが石川数正を演じています。
第39回「茶々の本心」から第40回「あさひの輿入れ」にかけて、数正の出奔が描かれました。
『どうする家康』では徳川家臣団の一員として、家康との関係を中心に描かれた数正。
一方、『豊臣兄弟!』では、秀吉(池松壮亮さん)と秀長(仲野太賀さん)が天下統一を進めるなかで、徳川家との駆け引きに関わる重要な人物として登場します。
同じ石川数正の出奔でも、豊臣兄弟の側から眺めると、また違った景色が見えてきます。
第39回「茶々の本心」|豊臣の勢いを目の当たりにした数正
第39回では、秀吉に呼ばれ、数正が大坂城を訪れます。
秀吉から命じられたのは、徳川と真田の和睦。
大坂城で豊臣家の財力と勢いを目の当たりにした数正は、家康(松下洸平さん)を説得しようとします。
しかし、家康は和睦を拒み、豊臣との戦支度を始めてしまいます。
ここで思い出したのが、『どうする家康』の松重豊さん演じる数正でした。
あちらでも、実際に大坂城を訪れ、秀吉の恐ろしさを知ってしまった数正と、戦う姿勢を崩さない家康との間に、認識の違いが生まれていました。
豊臣の力を目の当たりにすること。
そして、その現実を徳川へ持ち帰ること。
同じ歴史的事件へ向かう物語のなかに、共通する点が見えてくるのも面白いですね。

39回の前にも、数正が大坂城に訪れて、石田三成が軍備を案内して回る場面がありました。
石川数正の出奔|徳川家を揺るがした重臣の決断
第39回の終盤、数正は徳川家を離れ、豊臣方へ出奔します。
そして、第40回では、数正の出奔によって徳川家中が騒然となるところから物語が動き始めます。
数正は家康の懐刀で、徳川家の内情に最も精通した人物です。
その数正が豊臣側へ移ったことで、徳川にとって豊臣との戦は極めて難しいものになりました。
ところが、家康はなおも秀吉と戦う姿勢を崩しません。
数正が出奔すれば、家康も和平へと傾くのではないか。
そう思われた状況でも、家康は簡単には折れなかったのです。
数正の出奔から、あさひの輿入れへ
『豊臣兄弟!』で興味深かったのは、数正の出奔が、家康と秀吉の対立を終わらせる決定打にはならなかったことです。
家康が戦う姿勢を崩さないため、秀長も打つ手がなくなり、ついに秀吉が挙兵を決意します。
ところが、その矢先に大地震が発生。
大坂も浜松も大きな被害を受け、両者は再び和睦の道を探ることになります。
そして家康は、和平の条件として、秀吉の身内を妻に差し出すよう要求しました。
ここで、秀吉の妹・あさひ(倉沢杏菜さん)の輿入れへと物語がつながっていきます。
数正の出奔、大地震、そしてあさひの輿入れ。
それぞれ歴史に残る出来事ですが、『豊臣兄弟!』では、豊臣と徳川の駆け引きのなかで、次の出来事へとつながっていきました。
数正ひとりの決断にとどまらず、その後の家康の反応、豊臣兄弟の対応、さらには女性たちの人生までが、天下統一という大きな流れに巻き込まれていく。
主人公が豊臣秀長だからこそ見えてくる、石川数正の出奔のもうひとつの景色でした。
▶『豊臣兄弟!』第40回「あさひの輿入れ」みどころ・感想はこちらから
歴代大河ドラマでは石川数正をどう描いた?
石川数正の出奔は、過去の大河ドラマでもさまざまな形で描かれてきました。
家康への忠義を貫こうとする数正、豊臣方の調略によって徳川家を去る数正、そして、瀬名に思いを寄せる数正など、作品によって描かれる姿は実に多彩です。
1983年『徳川家康』江原真二郎|汚名を着て家康に尽くす数正
1983年の大河ドラマ『徳川家康』では、滝田栄さんが家康を、江原真二郎さんが石川数正を演じました。
この作品の数正の出奔は、私が特に印象深く覚えているもののひとつです。
なんと、家康と数正、そして本多作左衛門(長門裕之さん)が、数正が秀吉のもとへ移ることを密かに相談していた、という筋書きになっています。
表向きは、長年仕えてきた主君を裏切り、秀吉に寝返った家臣。
しかし、実際には家康への忠義を全うするために、自ら汚名を引き受けようとしていたのです。
本多作左衛門も、数正が寝返ったあとは、周囲に数正の悪口を言いふらすと告げます。
事情を知っている者までが裏切り者として扱わなければ、数正の出奔は成り立たないという徹底ぶりでした。
1983年版では、石川数正の出奔を扱った第28回のタイトルも、ずばり「数正出奔」です。
1983年『徳川家康』の数正出奔は、第28回。
滝田栄さん演じる家康と江原真二郎さん演じる数正の物語を、改めて見直してみたくなりますね。
歴代大河ドラマを振り返るなら、NHKオンデマンドの作品をまとめて楽しめるU-NEXTもおすすめです。
1996年『秀吉』誠直也|秀長の策略が絡む数正の出奔
1996年の大河ドラマ『秀吉』では、西村雅彦さんが徳川家康を、誠直也さんが石川数正を演じました。
こちらは竹中直人さん演じる秀吉を主人公にした作品です。
数正の出奔にも、豊臣秀長(高嶋政伸さん)の策略が絡んできます。
秀長は、数正が秀吉に寝返るという噂を家康の周辺に流し、布石を打っていました。
そして数正が秀長のもとを訪れる場面では、千利休(仲代達矢さん)も同席。
物語の前半で描かれた本能寺の変にまつわる出来事が、ここで再びつながってきます。
一見すると離れている出来事が、のちの歴史的事件につながっていく。
長編の大河ドラマだからこそ楽しめる、脚本の仕掛けですね。
2016年『真田丸』伊藤正之|真田家の調略が絡む数正の出奔
2016年の大河ドラマ『真田丸』では、内野聖陽さんが家康を、伊藤正之さんが数正を演じました。
こちらで数正を口説いた人物として登場するのは、真田昌幸(草刈正雄さん)の弟・真田信尹(栗原英雄さん)です。
信尹は、兄・昌幸の右腕として敵方に潜入し、調略を担う人物。
そんな信尹が数正の出奔に関わるという、真田家を主人公側に据えた作品ならではの描き方です。

栗原英雄さんといえば、2022年『鎌倉殿の13人』で大江広元を演じられました。『真田丸』の信尹と『鎌倉殿の13人』の大江広元は、いずれも名フィクサーで、非常に印象に残っています。
2017年『おんな城主 直虎』中村織央|瀬名に思いを寄せた若き数正
2017年『おんな城主 直虎』では、阿部サダヲさんが家康を、中村織央さんが石川数正を演じました。
こちらは数正の出奔ではなく、それ以前の若き日の姿に注目です。
中村織央さん演じる数正は、従来の重臣という印象とは少し違う、若く凛々しい人物。
そして、瀬名(菜々緒さん)に淡い恋心を抱いています(と、管理人は感じ取りました)。
数正は陰になり日なたになり、瀬名を守ろうとします。
瀬名が自らの命と引き換えに息子・信康を助けようとする場面でも、そばに寄り添っていました。
瀬名から別れを告げられたときには、胸の内に秘めてきた思いを伝えます。といっても愛の告白ではないです。ただ瀬名の心は清く尊い。という、そんなセリフです。
家康への忠義、豊臣方の策略、真田家の調略、そして瀬名への思いまで……
歴代作品を振り返ると、石川数正というひとりの人物から、これほど多彩な物語が生まれていることに改めて驚かされます。

これこそ、大河ドラマがずっと愛され続けている理由だと思います。
【番外編】1988年TBS版『徳川家康』千葉真一が演じた石川数正
ここで、大河ドラマ以外の作品からも、印象深い石川数正をひとりご紹介します。
1988年元日に放送されたTBS新春大型時代劇『徳川家康』で、松方弘樹さんが徳川家康、千葉真一さんが石川数正を演じました。
この作品では、数正は家康の立身出世を支える重要な人物として描かれています。
家康を支え、汚れ役を引き受ける千葉真一の数正
千葉真一さん演じる数正は、熱い心を持った、まさに敏腕フィクサー。
華やかな家康を陰で支え、ときには汚れ役も一手に引き受けます。
瀬名(十朱幸代さん)の最期には、数正が介錯を務めるという設定も印象的でした。
主君を守るために、どれほど重いものを背負ってきたのか。
そんな数正の姿が、物語の随所に描かれています。
関ヶ原で家康に向けて叫んだ数正の言葉
私が特に忘れられないのは、物語終盤、関ヶ原の戦いでの場面です。
秀吉のもとへ出奔した数正が、家康を助けようと老体に鞭打って駆けつけます。
ところが、家康の戦いぶりを目の当たりにした数正は、勝利をたたえながらも、かつて自分が仕えてきた殿とは違う姿に衝撃を受けます。
そして、家康に向かって叫びます。
「汚のうござるぞ、殿様。」
(TBS新春大型時代劇『徳川家康』DVD下巻より)
この場面の数正の姿が、今も強く印象に残っています。
家康への愛情と忠義を抱き続けながら、天下人へと変わっていく主君を見つめる数正。
徳川家を去ったあとも、数正にとって家康は、どこまでも大切な殿だったのでしょう。

なお、史実の石川数正は1592年に亡くなっているため、1600年の関ヶ原の戦いに登場するのは、このドラマ独自の創作です。
歴史上では実現しなかった再会を、あえて物語の終盤に置く。
これも、ドラマだからこそ描ける、もうひとつの石川数正の物語ですね。
1988年TBS版『徳川家康』も、DVDでじっくり見直したい作品のひとつです。
動画配信で見つからない昔の時代劇は、DVDレンタルもチェックしてみてください。
石川数正の出奔と歴代大河ドラマに関するよくある質問
- Q石川数正はなぜ徳川家康を裏切ったのですか?
- A
石川数正が1585年に家康のもとを去り、秀吉に仕えた理由は、現在もはっきりとはわかっていません。
秀吉との和平を望んで徳川家中で孤立した説、秀吉に引き抜かれた説、人質となっていた息子が関係していた説、家康の密命を受けていた説など、さまざまな見方があります。
- Q石川数正の出奔はいつ起こりましたか?
- A
天正13年(1585年)11月13日です。
岡崎城代を務めていた数正は、長年仕えた徳川家を離れ、秀吉のもとへ身を寄せました。
徳川家の内情や軍事機密を知る重臣の出奔は、家康に大きな衝撃を与えました。
- Q『豊臣兄弟!』で石川数正を演じたのは誰ですか?
- A
迫田孝也さんです。徳川家康役は松下洸平さんが演じています。
第39回「茶々の本心」から第40回「あさひの輿入れ」にかけて、数正の出奔と、その後の豊臣・徳川の駆け引きが描かれました。
- Q『どうする家康』で石川数正を演じたのは誰ですか?何話で出奔しますか?
- A
松重豊さんです。
2023年放送の第33回「裏切り者」で、家康への深い思いと秀吉の圧倒的な力の間で苦悩し、出奔する数正の姿が描かれました。
妻・鍋(木村多江さん)とともに大坂城の廊下を歩く後ろ姿も印象的でした。
- Q1983年の大河ドラマ『徳川家康』では、石川数正の出奔はどう描かれましたか?
- A
江原真二郎さんが石川数正を演じ、第28回「数正出奔」で出奔事件が描かれました。
この作品では、家康(滝田栄さん)と数正、本多作左衛門(長門裕之さん)が密かに相談し、数正が家康への忠義を貫くために、あえて裏切り者の汚名を着るという筋書きになっています。
- Q千葉真一さんが石川数正を演じたのは、どの大河ドラマですか?
- A
1988年放送のTBS新春大型時代劇『徳川家康』です。NHK大河ドラマではありません。
家康を松方弘樹さん、数正を千葉真一さんが演じました。
この作品では、史実では1592年に亡くなった数正が、1600年の関ヶ原の戦いに駆けつけるという、ドラマ独自の物語も描かれています。
まとめ
今回は、歴代大河ドラマで石川数正と徳川家康を演じた俳優さんを一覧にまとめ、それぞれの作品で描かれた数正の姿を振り返りました。
歴史の結末を知っていても、大河ドラマは面白いですね。いえ、むしろ、結末を知っているからこそ、歴史のすき間をどう描いて、歴史上の人物をどう色付けするのかが毎回とても楽しみです。

次に石川数正が登場する大河ドラマでは、どんな姿を見せてくれるのでしょう。だから大河ドラマは面白い!
あの数正を、もう一度。
松重豊さんの『どうする家康』、江原真二郎さんの『徳川家康』、そして歴代大河ドラマの懐かしい名場面。
気になった作品があれば、ぜひ改めて見直してみてください。
年月を経てから見ると、以前は気づかなかった人物の思いや、脚本の仕掛けが見えてくるかもしれませんね。
本ページの情報は2026年10月時点のものです。最新の情報はU-NEXT、TSUTAYA DISCASサイトでご確認ください。

