大河ドラマ『豊臣兄弟!』第35回「秀長誕生」では、小牧・長久手の戦いが描かれました。
同じ戦いは『どうする家康』でも描かれましたが、今回は豊臣側から見ることで、まるで別の物語のように感じられたのが印象的でした。
そして何より、この回で小一郎は「長秀」から「秀長」へ。いよいよ天下の調整役・豊臣秀長が生まれました。
初登場の三好信吉を演じる山田涼介さんも強烈な存在感を残しました。
この記事では、第35回「秀長誕生」のみどころを、歴代大河との見比べも交えながら振り返ります。
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第35回「秀長誕生」あらすじ

天正12年(1584年)、織田信雄と徳川家康が秀吉に対抗して挙兵し、小牧・長久手の戦いが始まります。
羽柴軍は、池田恒興の提案による三河中入り作戦を決行。
とも(宮澤エマさん)と三好吉房(上川周作さん)の子・三好信吉(山田涼介さん)が初陣の大将を務めますが、徳川軍の奇襲を受けて大敗します。
戦が長引く中、小一郎は家康の大義名分を崩すため、織田信雄との単独和睦を画策します。
和睦の席では、信雄の父・信長を軽んじるような言葉に小一郎が激怒。
秀吉が場を収め、信雄との和睦を成立させました。
そして、丹羽長秀からの言葉で「長秀」から「秀長」へと名を改めます。いよいよ、羽柴秀長の誕生です。
35話をまだ見ていない方へ:ここから先はネタバレを含みます。
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第35回「秀長誕生」のみどころ・感想
山田涼介さん演じる三好信吉が初登場
山田涼介さん演じる三好信吉が登場しました。
三好信吉は、豊臣兄弟の姉・ともと三好吉房の子で幼名は万丸、のちの豊臣秀次となる人物です。
若くて凛々しく、初陣に意欲を燃やす純粋な若武者だと思ったのに、長久手で大敗したあとの小一郎と2人きりの時の言動を見ると、おい、おい、と思いました。
最初の印象との落差もあって末恐ろしさを感じたものの、のちの豊臣秀次かと思うと、秀吉の甥だったばっかりに、と思いました。
三好信吉の母・とも役の宮澤エマさんの姿に『鎌倉殿の13人』の実衣を思い出しました。
実衣は、源実朝をかわいがり、実朝亡き後には我が子・阿野時元を将軍にしようとして、悲劇へと向かっていきます。今回のともも、息子への愛情が、ねじれた愛憎に向かわないことを祈るばかりです。
『どうする家康』とはまるで違う小牧・長久手の戦い
小牧・長久手の戦いは、『どうする家康』でも描かれましたが、『豊臣兄弟!』とはまるで別の角度から見ていて、興味深いなぁと思いました。
『どうする家康』では、当然ながら家康側から見た小牧・長久手の戦いで、井伊直政、榊原康政、本多忠勝らが作業歌を歌いながら堀を掘り、徳川家臣団の結束を深めていく姿が印象に残っています。
一方、『豊臣兄弟!』では、攻め込まれる羽柴軍側から描かれ、堀は信雄の家臣たちが頑張って堀った感じになっていました。
誰の目線から描くかでここまで違うのが、大河ドラマの面白さだと感じました。
『どうする家康』を見た方には、ぜひ今回と見比べていただきたいです。
秀吉が再び倒れる――明るい秀吉に見え始めた影
今回、秀吉がまた倒れました。本作ではこれで2回目です。
『豊臣兄弟!』での池松壮亮さん演じる秀吉は、序盤はサルのように身軽で、狡猾で、それでいて太陽のように明るい人物として描かれてきました。
ですが、だんだん天下が近づくにつれて、明るさの裏側にある苦悩が描かれるようになっています。
戦は長引き、民からは石を投げられ、自分を「逆臣」と貶める怪文書までばらまかれる。
人に好かれること、人を懐に入れることを武器にしてきた秀吉にとって、民から嫌われるというのは、想像以上に堪えたのかもしれません。
この「秀吉への悪評」は、歴代大河でも印象的に描かれてきました。
『どうする家康』では、ムロツヨシさん演じる秀吉が、自分への悪口を聞いても、そんなことを言う人間の方が下品なのだと一蹴します。
悪評を相手にせず跳ね返す。『どうする家康』の秀吉らしい、ふてぶてしさのある場面でした。
一方、1996年の大河ドラマ『秀吉』で、竹中直人さん演じる秀吉は、母・なか(市原悦子さん)を揶揄する言葉をどうしても許すことができません。
それでも、グッとこらえて禍根を残さないよう、石川数正を呼んで、その顔に、市原悦子さん演じる母・なかのようにおしろいを塗り、打掛を着せるのです。嫁の寧々も秀吉と一緒になって悔しさを表します。
秀吉らしい「人たらし」と、母への思いと、人間臭さが全部重なっていて、なんともいえず泣かされるシーンです。数正が家康の元を出奔するのも納得できる筋書きです。
そして今回の『豊臣兄弟!』では、池松壮亮さん演じる秀吉が、悪評を跳ね返すのでも、笑いに変えるのでもなく、真正面から傷ついて倒れてしまいました。
・悪口を跳ね返す『どうする家康』のムロ・秀吉。
・怒りを笑いと情に変える『秀吉』の心配ご無用竹中・秀吉。
・そして、深く傷つく『豊臣兄弟!』の池松・秀吉。
同じ秀吉でも、作品によってこんなにも人物像が違うのが面白いところです。
小一郎が信雄に激怒――「秀長誕生」はここから始まった?
家康との戦を終わらせるため、秀吉と小一郎は信雄との単独和睦を進めます。
ところが信雄は、自分は家康に担がれた、織田家に生まれなければよかったと愚痴をこぼし、さらに父・信長の最期まで軽んじるような言葉を口にします。
これには、小一郎が激怒。普段は秀吉を止める側だった小一郎が感情を爆発させます。
調整役を担ってきた小一郎。だからといって、何でも受け入れるわけではありません。
「ここだけは譲れない」という覚悟を見せた瞬間、小一郎が一段大きくなったような気がしました。そして絶妙なのが、小一郎がふりあげた拳を、兄の秀吉がきちんと拾って和睦したところ。
兄弟の「あ・うん」の呼吸がよく表れた場面でした。
愚痴をこぼす信雄に、なんだかなぁ
今回の信雄に代表されるように『豊臣兄弟!』では、不満や恨み言を訴える武将が多いように感じます。それも大声で。
人間味を描くという意味ではわかりやすいのですが、ちょっと「武士らしくないな」と思ってしまい、信長や柴田勝家のように、多くを語らず行動で示す方がカッコ良いと感じてしまいます。
このあたりは、「現代の私たちにも感情移入しやすい人間」として描いているからかもしれません。
丹羽長秀は、小一郎のメンターだったのではないか

今回、私が一番印象に残ったのが、丹羽長秀(池田鉄洋さん)です。
信雄から届いた文を見て、家康と信雄の関係に亀裂があることを察し、小一郎に和議の可能性を示す。
戦で打ち負かすことだけではなく、全体を俯瞰して、できるだけ犠牲の少ない着地点を探している姿が印象的でした。
振り返ってみると、丹羽長秀は忸怩たる思いがありながらも勝家側から秀吉に付いた経緯もあり、
争うよりも収める。
感情だけで動かず、一歩先を見る。
そして、時代がどちらへ向かっているのかを冷静に見極める力にい長けていました。
そんな丹羽の姿をそばで見てきたからこそ、小一郎は「天下一の調整役」へと成長していったのではないかと思います。
丹羽長秀は、小一郎にとって「参謀とはどうあるべきか」を教えてくれたメンターだったと思います。
そして、丹羽長秀は、信長の「小一郎的存在」だったとも思います。
もちろん、信長と丹羽は兄弟ではありませんし、信長が丹羽長秀の助言を全て聞いていたわけでないと思います。それでも、全体の調整をして主君を支える役割には、小一郎と重なるものがあります。
だからこそ丹羽長秀は、秀吉と小一郎を見て、
「秀吉には、弟である小一郎がいる」
と、その価値に誰より早く気づいたのかもしれません。
信長を支えた自分だからこそ、小一郎が秀吉にとってどれほど大きな存在なのかが分かった。
私は、そんなふうにも感じました。

丹羽長秀といえば、病に倒れ、自分のお腹を掻っ切って病の元を取り出し自害したというエピソードを昔から聞かされていました。歴史研究で本当はどうたったのか解き明かして欲しいです。
「長秀」から「秀長」へ――名前に込めた覚悟
ラストシーンで、小一郎は「長秀」から「秀長」へと名を改めます。
丹羽長秀から「名前が同じで紛らわしい」と言われたことをきっかけに、「長」と「秀」を入れ替えて「秀長」にするという流れでした。
「秀吉が信長を超える」という意味まで込められていた点は、信長や勝家、市らへの思いを大切にしてきた小一郎だけに、そこまで言い切るのか、と少しだけ複雑な気持ちにもなりました。
それでも、この改名は、小一郎が兄を支えるだけではなく、
「秀吉を天下人にする」ことを自分の使命として引き受けた覚悟を表しているのだと思いました。

内外に示すにも「秀長」が一番分かりやすいです。
『どうする家康』『秀吉』と見比べると、さらに面白い
第35回を見たあとに、ぜひ見比べていただきたいのが『どうする家康』と、竹中直人さん主演の『秀吉』です。
・『豊臣兄弟!』では秀吉を支える小一郎の側から
・『どうする家康』では秀吉と対峙する家康の側から
・そして『秀吉』では、秀吉その人の魅力に周囲がどう巻き込まれていくのかがよく分かります。
特に『秀吉』第36回「家康VS秀吉」は、今回の『豊臣兄弟!』第35回と時期が重なるので、続けて見るととても面白いです。

大河ドラマ『秀吉』の家康役は西村まさ彦さん。千利休は仲代達矢さん。石田三成は真田広之さん。して秀長は高嶋政伸さん。かなり豪華な顔ぶれです。
『どうする家康』では、徳川側から見た小牧・長久手の戦い。一方、『秀吉』では、秀吉と家康の対立だけでなく、石川数正が秀吉の「人たらし」に次第に魅了されていく過程も大きな見どころになっていて、三作品を見比べると、同じ時代がまったく違う景色に見えてきます。

「もし自分が石川数正だったら…」と思いを馳せながらご覧になってください。
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よくある質問
- Q『豊臣兄弟!』35話で小一郎はなぜ「長秀」から「秀長」に改名したの?
- A
第35回のラストで、小一郎は「長秀」から「秀長」へと名を改めました。
ドラマでは、丹羽長秀から「名前が同じで紛らわしい」と言われたことをきっかけに、「長」と「秀」を入れ替えて「秀長」と名乗ります。
そこには、兄・秀吉を支えるだけではなく、「秀吉を天下人にする」ことを自分の使命として引き受ける小一郎の覚悟が込められているように描かれました。
- Q三好信吉は誰?のちの豊臣秀次になる人物?
- A
三好信吉は、ともと三好吉房の子で、幼名は万丸。
のちの豊臣秀次となる人物です。
第35回では山田涼介さんが演じ、初陣の若武者として登場しました。
長久手での敗戦後、小一郎と二人きりになった場面では、それまでの爽やかな印象とは違う危うさも見せ、今後の秀次の運命を知る視聴者には気になる登場となりました。
- Q『豊臣兄弟!』と『どうする家康』では、小牧・長久手の戦いはどう違う?
- A
『どうする家康』では徳川側から描かれ、井伊直政、榊原康政、本多忠勝ら徳川家臣団の結束が印象的でした。
一方、『豊臣兄弟!』では羽柴軍側から描かれ、家康が構える小牧山城をどう崩すか、秀吉・小一郎たちが苦戦する姿が中心になります。
- Q丹羽長秀は小一郎にとってどんな存在だった?
- A
『豊臣兄弟!』では、丹羽長秀は小一郎に助言を与え、「参謀とはどうあるべきか」を示すメンターのような存在として描かれています。
第35回でも、信雄からの文を手がかりに家康と信雄の関係の亀裂を読み取り、戦で打ち負かすのではなく、和議で収める道を小一郎に示しました。
全体を俯瞰し、一歩先を読み、主君を支える姿は小一郎にも重なります。
管理人は、丹羽長秀自身もまた、信長にとっての「小一郎的存在」だったのではないかと感じました。
- Q『豊臣兄弟!』35話と一緒に見るなら、どの大河ドラマがおすすめ?
- A
おすすめは『どうする家康』と、竹中直人さん主演の大河ドラマ『秀吉』です。
『どうする家康』では徳川側から小牧・長久手の戦いを見ることができ、『秀吉』では秀吉本人を中心に、家康や石川数正との関係が描かれます。
特に『どうする家康』第32かい「小牧長久手の激闘」と、『秀吉』第36回「家康VS秀吉」は、『豊臣兄弟!』第35回と時期が重なるため、続けて見ると人物や出来事の見え方の違いを楽しめます。
- Q『豊臣兄弟!』はどこで見逃し配信されていますか?
- A
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まとめ
第35回「秀長誕生」は、小牧・長久手の戦いを通して、小一郎が「秀長」へと成長した回でした。
山田涼介さん演じる三好信吉の初登場や、丹羽長秀との関係も印象的でした。
『どうする家康』『秀吉』と見比べると、同じ歴史が違って見えるのも面白いところです。

次回第36回「姫若子と鬼若子」では、秀吉が四国一統を狙う長宗我部元親と対峙します。総大将の秀長はどんな采配を見せるのか目が離せません。
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