2023年大河ドラマ「どうする家康」第18話は、17話の最後に首を取られたのが家康なのかどうか、そして、誰もが不思議に思っていた「なぜ家康は夏目広次の名を覚えられないのか？」の答えが出る回です。今までの伏線がどんどん回収されていきますが、回収されなくていいから、家康も家臣団の皆さんもみんな揃って生きていて欲しいと思いました。
・18話を見逃した
・18話「真・三方ヶ原合戦」のみどころを知りたい
そんな方に向けて、ネタバレあらすじと感想をお届けします。
大河ドラマ「どうする家康」の再放送は、地上波では放送翌週の土曜午後1:05から放送されます。
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17話までの柔らかな色調のタイトルバックから一変、黒と金、赤も入った重厚で厳格なタイトルバックに目を奪われました。岡崎から浜松に居城を移したタイミングではなく、多くの家臣を失うこの「三方ヶ原の戦い」から「真・家康」へとフェーズが変わっていくことを物語っているようでした。18話は幕開けからある種の期待と不安が入り混じった感情が湧いてきました。
18話は、甲本雅裕さん演じる夏目広次のストーリーが軸になっています。夏目広次は、長年、重い石の塊を胸に抱えたまま生きてきたのかもしれません(その象徴が、竹千代が作ったわらの虎だったのかもしれません)最後の決意、それを察知する平八郎と小平太。抗う家康。涙が止まらないシーンでした。
もう一人、波岡一喜さん演じる本多忠真の壮絶な最期と、生かされた甥の本多忠勝（平八郎）も胸に刺さりました。家康を初めとして、生かされていく人たちは皆の思いを背負って強くなっていきます。それを見ているのが辛くなる回でした。
第18話あらすじ（ネタバレ注意）
・金蛇美具足を身に着けた亡骸が武田軍に届く、家康の首を見分してほくそ笑む信玄。
・家康討死の知らせが駆け抜ける。
・回想シーン。三方ヶ原での戦い
・平八郎の叔父・本多忠真が平八郎の盾になり討死。
・軒下の一件で夏目広次が「夏目吉信」だったことを思い出す家康。
・信玄の身に何が？撤退する武田軍。
金蛇美具足の遺体が信玄（阿部寛さん）のもとに届けられると、信玄はその首を見て「フフフ」と笑う。
家康（松本潤さん）討ち死にの知らせは全国に広まり、各人の思惑が交差する。
武田勝頼（眞栄田郷敦さん）は浜松城に攻め込もうとするものの、酒井忠次（大森南朋さん）の機転で徳川軍は難を逃れた。浜松を後にして西に兵を進めた信玄は、体に異変が起きていた。
三方ヶ原での戦いで惨敗した徳川軍は、家臣団の多くを失う。いつになっても夏目広次の名前を間違う家康。そこには理由があった…
16話で家康に「学がない」と言われていた酒井忠次が「兵法三十六計ではどうじゃろか。」というシーン。よかったですね。開門してかがり火をたいていた景色も厳粛な感じがしました。18話は名シーン満載です！
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徳川家康の生涯。
徳川家康の生涯を年表にまとめてみました。第18話にあたるのは、赤字の部分です。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1542年 | 三河国・岡崎城で生まれる |
| 1547年 | 尾張国・織田信秀（信長の父）の人質となる |
| 1549年 | 父・弘常が暗殺される。 駿河国・今川義元の人質となる。 |
| 1560年 | 「桶狭間の戦い」で義元討ち死。岡崎城に戻る。 |
| 1562年 | 織田信長と清須同盟 |
| 1563年 | 今川義元の偏諱である「元」の字を返上し「家康」と名乗る |
| 1563～64年 | 三河一向一揆（1563～1564） |
| 1572年 | 「三方ヶ原の戦い」で武田信玄に敗北。 直後に武田信玄死去。 |
| 1582年 | 「本能寺の変」で信長死去。 |
| 1584年 | 「小牧・長久手の戦い」で羽柴秀吉（のちの豊臣秀吉）と戦う。 |
| 1600年 | 秀吉死後の「関ケ原の戦い」で勝利。 |
| 1603年 | 征夷大将軍に任命。江戸幕府を開く。 |
| 1605年 | 息子・秀忠に跡を継がせる。 |
| 1615年 | 「大阪夏の陣」で豊臣家を滅ぼす。 |
| 1616年 | 75歳で死去。 |
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家康の首を見ても「フフフ」な信玄
金蛇美具足に身を包んだ家康(と思しき人物)の亡骸が、武田陣営に運び込まれます。
家康と面識のある信玄は、首を見て「フフフ」と、ほくそ笑みます。ここで、なんじゃー！とならないのが信玄のすごいところです。格の違いを感じました。家臣の穴山信君も山県昌景もざわつきません。
酒井忠次の「空城（くうじょう）の計」
若武者・武田四郎勝頼（眞栄田郷敦さん）によって、浜松城が追い打ちをかけられます。瀕死の浜松城がこのタイミングで攻めらたら一巻の終わりです。
ダメ元で、酒井忠次（大森南朋さん）は、石川数正（松重豊さん）に「兵法三十六計はどうじゃろか…」と持ち掛けます。「それは…」と言いながら、他に打つ手のない石川数正も同意します。
空城の計(くうじょうのけい)とは
兵法三十六計の第三十二計にあたる戦術。
「ウィキペディア（Wikipedia）」より
あえて自分の陣地に敵を招き入れることで敵の警戒心を誘う計略のこと。敵方に見破られた場合は全滅の危険性があり、心理戦の一種である。
諸葛孔明が魏に敗れた時に城に籠って、門をあけ放ち、自らは琴を奏でたことで、魏軍は諸葛孔明の奇策があるのかもと思い軍を引いたというエピソードの作戦で、絶対絶命での苦肉の策です。
数正：門を開けよ！
忠次：城門を開け放て！かかり火をたいて息を潜めよ！
「どうする家康」18話より
さすが信玄の息子！思慮深い勝頼は罠かもと警戒します。そこで勝ちを急ぐことなく、一旦自陣に引き上げます。
穴山信君：軍勢が迫っておるにもかかわらず、敢えて城門を開け放ち、何か罠であるように見せかけ、敵を惑わせる。かの諸葛孔明が採ったとされる奇策でござる数正：門を開けよ！
山県昌景：しかし、本当にやる奴は初めて見た。
穴山信君：面白き連中じゃ。
一同：ハハハ！
「どうする家康」18話より
ならば。と攻めはやる勝頼に対して、武田信玄（阿部寛さん）は「故事を学んでおるのは良いこと。それに免じて見逃してやろうではないか」と。
実際には、自身の体調の異変もある信玄は「わしは時が惜しいのじゃ。1日たりとも無駄にしとうはない」と京に急ぎました。
勝頼の聡明さもさることながら、酒井忠次、そして信玄、穴山信君、山県昌景らが「兵法」という共通言語で駆け引きをしている様子に品格を感じ、見ていて気持ちのよい場面でした。そして、浜松城を攻め落とさなかった理由をここに持ってきた古沢脚本の妙を感じました。
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夏目広次(吉信改め)のこと。
当初から、夏目広次の名前を呼び間違えることについて気になって仕方なかった方も多いと思います。私もその一人でした。
『どうする家康』8話「夏目広次(甲本雅裕)の名前を間違えすぎです。」
どう呼んでいたのかをおさらいすると
第7話では「ひろのぶ」、「のぶひろ」
第8話では、家康「自分でもよう分からぬが、つい、夏目よしつぐと間違えてしまうんじゃ」
家康のことを、上に立つ者として家臣の名前を覚えられないのはダメ。このせいで夏目広次が一向宗についても仕方ない。と思い込んでいたのですが、実はもっと深い因縁があったのですね…。脚本、奥が深すぎます。
三方ヶ原で大敗となった日の夜。家康たちが軒下に潜んでいるところに夏目広次が現れます。
隠れた軒下から見える人の足。この光景を目にして家康は幼少期の記憶が全てよみがえります。
点と点が繋がって、家康が夏目の名前を覚えられない理由が解き明かされました。覚えられないのではなく、覚えていたからこそ、その記憶に引っ張られていたのでした…。
家康からは、三河一向一揆の謀反の罪は不問にされた夏目広次。
さかのぼること24年前、幼い家康を織田勢に奪われた時には、家康の父・松平広忠（飯田基祐さん）に改名して出直せとと切腹を免除されました。親子二代に渡って二度放免された夏目広次さん。
夏目広次は、家康が身につけている金蛇美具足を脱がせるように言います。即座にその意味を知る平八郎と小平太は抵抗する家康を押さえつけて、鎧兜を脱がせます。
家康：だめじゃ、吉信、だめじゃ。おぬしは幼い頃、わしと一番よう遊んでくれた、夏目「吉信」じゃろ
夏目広次：足りませぬ。一度ならず二度までも、殿のお命を危うくした。この不忠者を、ここまで取り立ててくださった。これしきの恩返しでは足りませぬ。
夏目広次：殿が死ななければ、徳川は滅びませぬ。殿が生きてさえおれば、いつか信玄を倒せましょう。殿は、きっと大丈夫。
「どうする家康」18話より
幼い頃、軒下に隠れていた家康にかけた言葉と同じ「殿はきっと大丈夫」と言って、家康の身代わりになった夏目広次の顔。最期はどこか清々しい表情をしていました。
ずっと夏目広次が持っていた、竹千代のわらで作った虎？が、血で染まって転がっていました。
9話で謀反の罪を不問にされた際の夏目広次の慟哭ともとれる号泣について、浅い理解しかしていなかった私は、18話でそのロングストーリーを知ることになり、急いで9話を見直しました。
『どうする家康』第9話「夏目広次（甲本雅裕）の反応に泣けてくる。」
どこかで恩返しをしなければ、夏目広次は生涯いたたまれない気持ちのままだったかもしれません。竹千代が残した藁の虎が広次にとっては御恩に報いるミサンガのようなものだったのかも知れません。そのもちろん、命を落とすことがカッコいい訳ではありませんが、家康の命を救うことができて、夏目広次としては一矢報いることができたんだと思いました。
家康は、家臣たちの計り知れない想いを全部受け止めて、正真正銘の「殿」になっていきます。
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第18話のキャスト
| 役名 | 俳優名 |
| 徳川家康 | 松本 潤 |
| 瀬名 | 有村架純 |
| 織田信長 | 岡田准一 |
| 酒井忠次（左衛門尉） | 大森南朋 |
| 本多忠勝（平八郎） | 山田裕貴 |
| 榊原康政（小平太） | 杉野遥亮 |
| 鳥居元忠（彦右衛門） | 音尾琢真 |
| 夏目広次 | 甲本雅裕 |
| 大久保忠世 | 小手伸也 |
| 本多忠真 | 波岡一喜 |
| 平岩親吉（七之助） | 岡部 大 |
| 松平信康 | 細田佳央太 |
| 松平広忠 | 飯田基祐 |
| 五徳 | 久保史緒里 |
| 亀姫 | 當真あみ |
| 渡辺半蔵守綱 | 木村 昴 |
| 竹千代 | 川口和空 |
| 武田四郎勝頼 | 眞栄田郷敦 |
| 明智光秀 | 酒向 芳 |
| 山県昌景 | 橋本さとし |
| 柴田勝家 | 吉原光夫 |
| 佐久間信盛 | 立川談春 |
| 戸田宗光（回想） | 真水稔生 |
| 木下藤吉郎 | ムロツヨシ |
| 足利義昭 | 古田新太 |
| 穴山信君 | 田辺誠一 |
| 水野信元 | 寺島 進 |
| 久松長家 | リリー・フランキー |
| 石川数正 | 松重 豊 |
| 武田信玄 | 阿部 寛 |
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第18話の制作陣
| 脚本 | 古沢良太 |
| 音楽 | 稲本 響 |
| ナレーション | 寺島しのぶ |
| 演出 | 村橋直樹 |
まとめ
甲本雅裕さん演じる夏目広次の影武者があまりにも悲しかった18話。最後の決意、それを察知する平八郎と小平太。抗う家康。血に染まったわらの虎。涙が止まらないシーンでした。
そして、波岡一喜さん演じる本多忠真の壮絶な最期と、平八郎の叫びも胸に刺さりました。
三方ヶ原の戦いでは多くの命を失った家康。信玄の予想外の撤退がもたらすものは？
・金蛇美具足を身に着けた亡骸が武田軍に届く、家康の首を見分してほくそ笑む信玄。
・家康討死の知らせが駆け抜ける。
・回想シーン。三方ヶ原での戦い
・平八郎の叔父・本多忠真が平八郎の盾になり討死。
・軒下の一件で夏目広次が「夏目吉信」だったことを思い出す家康。
・信玄の身に何が？撤退する武田軍。
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