平安時代に紫式部によって綴られた長編小説『源氏物語』。光源氏の恋と生涯、光源氏没後は息子の薫の愛と生涯の物語です。全54帖からなります。
大河ドラマファンの管理人です。『光る君へ』での『源氏物語』のオマージュ拾いをしたくて、生まれて初めて『源氏物語』を読みました(途中で目の疲れがひどくなりオーディブルで聴く読書に切り替えました)。初めての方向けに超シンプルに『源氏物語』の概要をまとめました。ご参考になれば幸いです。
タイトルをクリックしていただくと、それぞれの帖のあらすじに飛びます。『光る君へ』と共にお楽しみいただけると嬉しいです。
※随時更新していきますのでご期待ください。
一帖 | 桐壺(きりつぼ) | |
二帖 | 帚木(ははきぎ) | |
三帖 | 空蝉(うつせみ) | |
四帖 | 夕顔(ゆうがお) | |
五帖 | 若紫(わかむらさき) | |
六帖 | 末摘花(すえつむはな) | |
七帖 | 紅葉賀(もみじが) | |
八帖 | 花宴(はなのえん) | |
九帖 | 葵(あおい) | |
十帖 | 賢木(さかき) | |
十一帖 | 花散里(はなちるさと) | |
十二帖 | 須磨(すま) | |
十三帖 | 明石(あかし) | |
十四帖 | 澪標(みおつくし) | |
十五帖 | 蓬生(よもぎう) | |
十六帖 | 関屋(せきや) | |
十七帖 | 絵合(えあわせ) | |
十八帖 | 松風(まつかぜ) | |
十九帖 | 薄雲(うすぐも) | |
二十帖 | 朝顔(あさがお) | |
二十一帖 | 少女(おとめ) | |
二十二帖 | 玉鬘(たまかずら) | |
二十三帖 | 初音(はつね) | |
二十四帖 | 胡蝶(こちょう) | |
二十五帖 | 蛍(ほたる) | |
二十六帖 | 常夏(とこなつ) | |
二十七帖 | 篝火(かがりび) | |
二十八帖 | 野分(のわき) | |
二十九帖 | 行幸(みゆき) | |
三十帖 | 藤袴(ふじばかま) | |
三十一帖 | 真木柱(まきばしら) | |
三十二帖 | 梅枝(うめがえ) | |
三十三帖 | 藤裏葉(ふじのうらば) | |
三十四帖 | 若菜上(わかなじょう) | |
三十五帖 | 若菜下(わかなげ) | |
三十六帖 | 柏木(かしわぎ) | |
三十七帖 | 横笛(よこぶえ) | |
三十八帖 | 鈴虫(すずむし) | |
三十九帖 | 夕霧(ゆうぎり) | |
四十帖 | 御法(みのり) | |
四十一帖 | 幻(まぼろし) | |
雲隠(くもがくれ) | ||
四十二帖 | 匂兵部卿(におうひょうぶきょう) | |
四十三帖 | 紅梅(こうばい) | |
四十四帖 | 竹河(たけかわ) | |
四十五帖 | 橋姫(はしひめ) | |
四十六帖 | 椎本(しいがもと) | |
四十七帖 | 総角(あげまき) | |
四十八帖 | 早蕨(さわらび) | |
四十九帖 | 宿木(やどりぎ) | |
五十帖 | 東屋(あずまや) | |
五十一帖 | 浮舟(うきふね) | |
五十二帖 | 蜻蛉(かげろう) | |
五十三帖 | 手習(てならい) | |
五十四帖 | 夢浮橋(ゆめのうきはし) | |
輝く日の宮(かがやくひのみや) |
『源氏物語』の構成
全体は大きく三部構成になっています。
一部:一帖「桐壺」から三十三帖「藤裏葉(ふじのうらば)」まで。光源氏が准太上天皇となるまで。途中で須磨・明石に左遷されますが、光源氏が栄華を極めていくまでの過程です。
二部:三十四条「若菜上(わかなじょう)」から四十一帖「幻(まぼろし)」まで。紫の上に先立たれて悲しみに暮れるところまで。
幻の巻:「雲隠(くもがくれ)」光源氏が亡くなったことを示す。
三部:四十二帖「匂兵部卿(におうひょうぶきょう)」以降は光源氏没後の物語。特に四十五帖「橋姫(はしひめ)」から最後の五十四帖「夢浮橋(ゆめのうきはし)」までの十帖は宇治が主要舞台なので「宇治十帖」と呼ばれています。
幻の巻:輝く日の宮(かがやくひのみや)は一帖「桐壺」と二帖「帚木」の間にあったのではと言う説も。
『源氏物語』の主な登場人物
光源氏の青春期
光源氏:桐壺帝の第二皇子。天性の美貌と才で様々な女性と関係を持つ。父帝の妻・藤壺と不義の子をもうける。
藤壺:光源氏の継母。亡き母親の桐壺更衣と容姿が似ている。光源氏と密通して皇子を産むも秘密を抱えたまま出家する。
夕顔:頭中将のかつての恋人。光源氏の理想的な愛人。逢瀬中に悪霊に取り憑かれて不幸な最期を遂げる。
六条御息所(ろくじょうみやすどころ):前の東宮の未亡人で、身分も教養も高い。誇りの高さから辱めを受け、葵上に生霊となり取り憑く。
紫上(むらさきのうえ):十歳の時に光源氏に見初められ引き取られる。藤壺の姪で容姿が似ていることで愛され成長。光源氏と結婚。
葵上(あおいのうえ):左大臣の姫君で光源氏の正妻。プライドが高く冷めた結婚生活を送る。出産直後に生霊に取り憑かれ死亡。
明石の君:須磨へ流された光源氏が出会った受領明石の入道の娘。教養と気品を備える、光源氏との間に姫君を出産。
玉鬘(たまかずら):頭中将と夕顔の忘れ形見。光源氏に呼ばれ六条院へ。その美貌から光源氏に言い寄られる。後に鬚黒(ひげくろ)と結婚。
光源氏の壮年期
光源氏:40代に入り若い頃ほど恋愛に情熱が沸かない。異母兄・朱雀院の依頼で女三宮と結婚してから運命が暗転。藤壺との過ちの報いを受ける。
紫上:光源氏の事実上の妻の位置を保ってきたが、女三宮の降嫁により側室の位に。思い悩み出家を望むも光源氏の許しがもらえず発病。二条院に移る。
女三の宮:皇女。父・朱雀院が光源氏に降嫁させる。子供っぽさが抜けず、光源氏の留守中に柏木と過ちを犯し子を身ごもる。
柏木(かしわぎ):光源氏のライバル・内大臣(頭中将)の長男で夕霧の親友。妻に満足できず女三の宮に求愛。六条院での蹴鞠の折に女三の宮を垣間見て思いが募り過ちを犯す。
夕霧(ゆうぎり):光源氏の長男で順調にエリート街道を突き進む、生真面目で愛妻家。親友の柏木が病に倒れ、その妻を見舞ううちに思いを寄せるように。
冷泉院(れいぜいいん):桐壺院の皇子として育つが実は光源氏と藤壺の子。容姿は光源氏に似て端麗。内大臣(頭中将)の娘(秋好中宮)や六条御息所の娘が入内した後、実父を知る。
光源氏の女性遍歴を年表にしてみました
「モテる」とはこういうことか。のビックリ年表ですが、同時に一度関係を持った女性に対しては最後まで面倒を見る情の厚い光源氏も存在しています。
12歳 | 藤壺(17歳)に恋焦がれる 葵上(16歳)と結婚 |
17歳 | 空蝉と密通 軒端萩と契る 六条御息所(24歳)と恋仲になる 夕顔(19歳)と出会い契る 夕顔(19歳)が死去 |
18歳 | 若紫(紫上)(10歳)を見つける 藤壺(25歳)と密通。藤壺が懐妊。 |
19歳 | 末摘花と出会い、契る。 源典侍(57~58歳)と密会 藤壺(24歳)が出産。会いたくても会えない。 |
20歳 | 朧月夜と恋仲になる。 |
22歳 | 紫上(14歳)と契りを結ぶ。 葵上(25歳)が出産、死去。 |
23歳 | 六条御息所(30歳)が伊勢へ |
24歳 | 朧月夜が尚侍として出仕 藤壺(29歳)が出家 |
25歳 | 花散里に癒しを求める 朧月夜と密会 |
27歳 | 明石の君(18歳)と契りを結ぶ |
29歳 | 六条御息所(36歳)が出家、死去 空蝉が出家 |
32歳 | 前斎宮(23歳)に言い寄る 朝顔の姫君に言い寄る 藤壺(37歳)が死去 |
36歳 | 玉鬘(21歳)に言い寄る |
37歳 | 玉鬘(22歳)が鬚黒と結婚 |
40歳 | 女三の宮(14~15歳)と結婚 |
47歳 | 女三の宮(21~22歳)が柏木と密通 朧月夜が出家 女三の宮(22~23歳)が出産後、出家 |
51歳 | 紫上(43歳)が死去 |
藤壺との関係だけに焦点を絞ると…
光源氏の恋愛のベースには、叶わない藤壺の思いと、帝になる道が断たれている無常観があると思います。そこで藤壺とのことだけをピックアップして、それを受けて源氏がどう左右されたかを見ていきたいと思います。
藤壺 | 光源氏 | ||
---|---|---|---|
?歳 | 光源氏と密通 | ?歳 | 六条御息所と関係 |
17歳 | 空蝉と関係 夕顔を関係 若紫発見 | ||
23歳 | ・密通2回目 ・懐妊 ・源氏を遠ざける | 18歳 | ・藤壺と密通2回目 ・末摘花と関係 ・若紫を引き取る |
24歳 | ・冷泉出産 ・忍びこむも会えず ・密通3回目を拒否 | 20歳 | ・朧月夜と関係 |
29歳 | ・出家 | 24歳 | ・朧月夜との密会が加速 |
25歳 | ・花散里と関係 | ||
37歳 | ・死去 | 32歳 | ・前斎宮に言い寄る ・朝顔の姫君に言い寄る |
空蝉や夕顔な愛を求めてさまようのは藤壺以上の女性を探し求めているからで、10歳の若紫に強く惹かれたのは藤壺に似ているからで、朧月夜と関係を持ったのは藤壺と会えなかったら…で、すべて藤壺への恋慕の気持ちから出ていると分かります。
「源氏物語」を読んでみたい方におすすめ7選!
『源氏物語』原文は文字数約100万文字(といってもイメージ沸きませんよね)、400字詰め原稿用紙で約2400枚と言われています。現代語訳だと注釈の言葉も入ってくるので、とんでもない長編小説です。
一番売れている現代語訳は角田光代さん版。全8巻です。
現代語訳は瀬戸内寂聴版と与謝野晶子版もおすすめします。
よし!と読み始めたものの、須磨の巻あたりでギブアップするのを「須磨がえり」(高床式倉庫のネズミ返しみたいなもの?)と言うらしいですが、二帖”帚木”で「どの巻もこんなに長いの~」と思って諦める人も多いと聞きます。
私は七帖”紅葉賀”辺りで目が疲れてオーディオブック併用にしました。オーディブルだと収録時間は『源氏物語・与謝野晶子版』で70時間。瀬戸内寂聴版で135時間くらいです。途中寝てしまったり、意識を失いながら、約3か月で聴き終わりました。
いきなり100万文字の大海に漕ぎ出さず、とにかくざっくり『源氏物語』を味わいたい方には、田辺聖子さんの『新源氏物語』がおススメです。一帖”桐壺”がなくて二帖”帚木”から始まっていて、ぎゅっと詰まっています。
参考文献としておススメなのは「紫式部の欲望」。作者の酒井順子さんの着眼点が面白くて、今のご時世だと非難されてしまうかもしれない見解も楽しく読めました。
「イギリスは美味しい」など英国エッセイでご存知の方も多いかもしれない国文学者の林望先生の源氏物語関連本は、分かりやすく古典に寄せた知見を読めます。「くり返し読みたい」シリーズは特に絵が多くて優しい内容です。
真打は林望先生の「謹訳源氏物語」。林望先生の「謹訳平家物語」もとてもいいのですが、源氏物語も読みやすくて、リンボウ先生独特の品があります。前書きを読むと内容が予想できるので、ネタバレ不要の方はご注意下さい。
まとめ
『源氏物語』は54帖の超大作。スキマ時間を利用して3か月かかってやっと読破しました。前半で目の疲れに悩まされて、耳の読書を色々試してみました。その様子はこちらからお読みいただけます。
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本ページの情報は2024年11月時点のものです。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。
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