1987年放送の大河ドラマ『独眼竜政宗』は、戦国時代末期、陸奥国(現在の青森県、岩手県、宮城県、福島県)を拠点に、仙台藩62万石の礎を築いた「伊達政宗(だてまさむね)」の生涯を描いた作品。
放送当時、政宗の幼年・梵天丸(藤間遼太くん)の「梵天丸もかくありたい。」のセリフが大流行しました。
この記事では、1話から改めて見直してあらすじやみどころ・考察を私見いっぱいにお届けします。
2024~25年大河ドラマアンコールで再放送中の『独眼竜政宗』放送スケジュールはこちらをどうぞ。
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- 「独眼竜政宗」各話のあらすじとみどころ&感想
- 独眼竜政宗 第1話「誕生」
- 独眼竜政宗 第2話「不動明王」
- 独眼竜政宗 第3話「親ごころ」
- 独眼竜政宗 第4話「元服」
- 独眼竜政宗 第5話「愛姫(めごひめ)」
- 独眼竜政宗 第6話「侍女成敗」
- 独眼竜政宗 第7話「初陣」
- 独眼竜政宗 第8話「若武者」
- 独眼竜政宗 第9話「野望」
- 独眼竜政宗 第10話「男の器量」
- 独眼竜政宗 第11話「八百人斬り」
- 独眼竜政宗 第12話「照宗無念」
- 独眼竜政宗 第13話「人取橋」
- 独眼竜政宗 第14話「勝ち名乗り」
- 独眼竜政宗 第15話「めごとねこ」
- 独眼竜政宗 第16話「南北の敵」
- 独眼竜政宗 第17話「宮仕え」
- 独眼竜政宗 第18話「お東・居座る」
- 独眼竜政宗 第19話「大移動」
- 独眼竜政宗 第20話「決戦、摺上原(すりあげはら)」
- 独眼竜政宗 第21話「修羅の母」
- 独眼竜政宗 第22話「弟を斬る」
- 独眼竜政宗 第23話「小田原へ」
- 独眼竜政宗 第24話「天下人」
- 独眼竜政宗 第25話「人質、めご」
- 独眼竜政宗 第26話「絶体絶命」
- 独眼竜政宗 第27話「黄金の十字架」
- 独眼竜政宗 第28話「知恵くらべ」
- 独眼竜政宗 第29話「左遷」
- 独眼竜政宗 第30話「伊達者」
- 独眼竜政宗 31話「子宝」
- 独眼竜政宗 32話「秀次失脚」
- 独眼竜政宗 33話「濡れ衣」
- 独眼竜政宗 34話「太閤の死」
- 独眼竜政宗 35話「成実失踪」
- 独眼竜政宗 36話「天下分け目」
- 独眼竜政宗 37話「幻の百万石」
- 独眼竜政宗 38話「仙台築城」
- 独眼竜政宗 39話「五郎八嫁ぐ」
- 独眼竜政宗 40話「大船造り」
- 独眼竜政宗 41話「海外雄飛」
- 独眼竜政宗 42話「大坂攻め」
- 独眼竜政宗 43話「ねこ、宇和島へ」
- 独眼竜政宗 44話「大坂夏の陣」
- 独眼竜政宗 45話「ふたりの父」
- 独眼竜政宗 46話「離縁状」
- 独眼竜政宗 47話「天下の副将軍」
- 独眼竜政宗 48話「伊達流へそ曲がり」
- 独眼竜政宗 49話「母恋い」
- 独眼竜政宗 50話(最終話)「大往生」
- 『独眼竜政宗』のみどころと感想
- 大河ドラマ「独眼竜政宗」基本情報
- 『独眼竜政宗』の再放送スケジュール
- 「独眼竜政宗」を配信で見るには
- まとめ
「独眼竜政宗」各話のあらすじとみどころ&感想
伊達政宗(渡辺謙さん)は16代当主・輝宗(北大路欣也さん)と義姫(岩下志麻さん)の嫡男として誕生。
5歳で疱瘡を患って右目を失明、虎哉宗乙和尚(大滝秀治さん)の薫陶でたくましく成長していきます。
18歳で家督を継いでから苦難の道を進みながら、勇猛果敢で知恵と才覚に優れ、時代を先読みする力を持ち続けた伊達政宗の生涯が描かれます。
それでは、1話からのあらすじとみどころをお届けしていきます。
ネタバレを含みますので、ご注意ください。
独眼竜政宗 第1話「誕生」

永禄8(1565)年初夏、米沢城主・伊達輝宗(北大路欣也さん)のもとへ山形城主・最上義守の娘・義姫(岩下志麻さん)が嫁いできます。永禄10(1567)年8月3日、嫡男が誕生し、梵天丸(ぼんてんまる)と名づけられます。梵天丸は5歳の時に疱瘡(ほうそう)にかかり命を取り留めますが右目の視力を失ってしまいます。
第1話「誕生」のみどころ&感想
放送当時40代だった北大路欣也さんと岩下志麻さんが、10代の新婚を演じておられます。かなりの風格を感じますが、大河ドラマではいつものことです。敵対する伊達と最上の間の政略結婚。輿入れの日にイノシシを矢で射止めるという火のような岩下志麻さんにインパクト大!輝宗(北大路欣也さん)は豪快ながら、思慮深いところがあって好印象です。
お東が梵天丸にすこしばかり過保護な気がしますが、梵天丸が疱瘡にかかった時にお東が山形城に帰っていたのは不運としか言いようがなくて、輝宗さんそんなに怒らないで…と思いました。幼年・梵天丸は当時7歳の藤間遼太(現:藤間勘十郎)くん。おっとりした所作は今見ても癒されます。
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独眼竜政宗 第2話「不動明王」

右目の視力を失った梵天丸は万海上人の生まれ変わりと言われ、領民に畏敬の念を抱かれます。輝宗は、重臣・鬼庭左月(いかりや長介さん)の娘で、文武両道に秀でた喜多(竹下景子さん)を梵天丸の養育係とし、学問の師に名僧・虎哉宗乙(こさいそういつ)(大滝秀治さん)を招こうとします。ある日、梵天丸は不動明王の顔がなぜ恐ろしいのかを喜多に尋ねます。すると、虎哉和尚から、不動明王は外見と異なり慈悲深い仏であると聞き「梵天丸もかくありたい」と言います。
第2話「不動明王」のみどころ&感想
あの名ゼリフ「梵天丸もかくありたい」のシーンはこの第2話。この後の話で回想シーンとしてよく出てきます。輝宗の三顧の礼も断った虎哉和尚が、梵天丸本人のこの言葉を聞いて、梵天丸の師となる決意をするのが良かったです。大滝秀治さんの腹の底からの大笑いを聞くと悩みが飛んでいく気がします。
そして2話でビックリ仰天したのは喜多役の竹下景子さんの千鳥足(笑)。お手打ち覚悟で甕いっぱいのお酒を飲んでくるという度胸そのものがあっぱれ。梵天丸への接し方にヘレンケラーの恩師・サリバン先生を思い起こします。
独眼竜政宗 第3話「親ごころ」
梵天丸は小姓の小十郎(のちの西郷輝彦さん)や時宗丸(のちに三浦友和さん)らと共に虎哉和尚の厳しい教育を受けて、たくましく育ちます。山形の最上家では、義光(原田芳雄さん)が頭領になることで一族の内乱が終わろうとしていました。しかし、お東(岩下志麻さん)は実の兄弟の争いに心を痛めます。さらに、輝宗に側室の話が持ち上がります。
第3話「親ごころ」のみどころ&感想
3話では虎哉和尚の問答が炸裂します。梵天丸と時宗丸に目をつむらせ、桔梗の花をちぎって「花は何色じゃ?」と聞く場面。梵天丸の心の目が開いていく過程が丁寧に描かれています。義光役の原田芳雄さんがダークサイドなイメージを醸し出しています。輝宗に側室話が持ち上がり、喜多が夜伽にやってきますが、清廉潔白な輝宗は喜多の気持ちに気付いたのかどうか。話を聞いたお東は烈火のごとく怒り喜多に仕返し。この辺りの気性の荒さがお東の魅力なのかもしれません。なにせ侍女のあちゃこが一言多いです。
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独眼竜政宗 第4話「元服」
天正4(1576)年、梵天丸の弟・竺丸(じくまる)が誕生します。お東は竺丸にことのほか愛情を注ぎます。天正5(1577)年11月、相馬との戦に決着がつかない中、梵天丸は11歳で元服し、藤次郎政宗と名を改めます。お東は「辛い時はこれを母と思え」と水晶の数珠を贈ります。それから2年、隣国、三春城主・田村清顕の使者が米沢城を訪れ、政宗に縁談を持ちかけます。
第4話「元服」のみどころ&感想
この回で藤間遼太くんの梵天丸から、嶋英二くんの藤次郎政宗にバトンタッチします。と、同時にこの回から小姓の小十郎が西郷輝彦さんになります。藤次郎は嶋英二くんなので、年齢差があり過ぎてちょっと違和感がありました笑。西郷輝彦さんの前に藤次郎と同じ年ごろの子役さんをもう一人登用しても良かったかもしれません。毎話、冒頭部分は伊達政宗に関する解説動画が流れますが、第5話で藤間遼太くんが現代の服装で解説してくれます。当時の梵天丸ロスに応える企画だったんでしょうね。
独眼竜政宗 第5話「愛姫(めごひめ)」
天正7(1579)年、三春城主・田村清顕の娘・愛姫(めごひめ)(後藤久美子さん)が藤次郎(島英二さん)のもとへ嫁ぎます。藤次郎は13歳、愛姫は11歳。幼い2人の周りでは思わぬ確執が生まれます。愛姫の世話係を命じられた喜多は、田村家から同行した侍女の村岡たちと対立します。喜多は村岡に三春へ帰るよう命じると、村岡は愛姫も連れ帰ると言い出したため、藤次郎が逆上し、村岡を切り捨てようとします。
第5話「愛姫(めごひめ)」のみどころ&感想
愛姫を演じる後藤久美子さんが美しすぎて美しすぎて。藤次郎も自分の目のことを愛姫がどう思うかを一番に心配するなど、若く、幼い二人は本当におままごとをしているような感覚。藤次郎が作らせたおままごとセットで言葉少なに愛姫が遊ぶ姿は不憫でなりません。最上義光と輝宗は好敵手だと感じました。あとは、喜多が踏ん張って踏ん張って藤次郎と愛姫を思いやっている姿を応援したくなります。放送当時は、愛姫の輿入れについてきた村岡はなんて意地悪な侍女なのと思っていましたが、今見返してみると村岡自身もふるさとを捨てて愛姫についてきているので、引くに引けないのだろう。村岡なりの愛姫への愛情なのだと感じました。
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独眼竜政宗 第6話「侍女成敗」

愛姫の養育を巡り、喜多と村岡が激しく対立すると、お東は愛姫を村岡たちから引き離して自分の側に置きます。納得しない村岡が愛姫と藤次郎を引き離そうとする密書を田村に向けて放ったため、喜多は弟の片倉小十郎に密書を奪還させ、村岡を問い詰めます。すると、侍女たちは短刀で向かって来たため喜多は斬り捨てますが、一切の申し開きをしません。数日後、田村家の重臣が真相を調べに乗り込んできました。
第6話「侍女成敗」のみどころ&感想
「侍女成敗」のタイトルを見たとしても、こんな展開になると予想できず驚く方が多いと思います。東の方、喜多、村岡と強い女の間で愛姫はかよわくて気持ちもどこか陰キャラに設定されています。弟・西郷輝彦さんを圧倒する喜多役の竹下景子さんの芯が強さがみどころです。最後は喜多に討たれる覚悟で懐に刀を持っていると見せかける村岡の姿。ピストルを持ってないのに、手を動かしたら銃殺されるアメリカ映画みたいな演出です。田村の重臣・向館内匠(山形勲さん)が愛姫の琴の音を聴いてふっと我に返り「ともにお家のためを思ってのこと」と笑いで納めたのは向館ならではの器の大きさを感じました。竹下景子さん退場か?とハラハラしている方々、どうぞご安心下さい。
独眼竜政宗 第7話「初陣」

相馬が伊達に攻め込み、15歳の藤次郎に初陣の時が来ます。出陣前、藤次郎は愛姫と契りを結ぼうとしますが、相馬は愛姫の母親の里であり、2人の心はすれ違います。藤次郎は異常なまでに闘志を燃やし、がむしゃらに戦います。藤次郎の向こう見ずな行動に輝宗から大将とは最後まで生きのびることが務めであり、時には臆病さが必要と諭され、お東にも叱責されて自信を失います。
第7話「初陣」のみどころ&感想
藤次郎の若さゆえの焦りが手に取るように伝わってきます。嶋英二くんが演じる藤次郎と後藤久美子さんの愛姫はまだまだ幼い夫婦で、お互いの素直な気持ちのやり取りがうまくできなくて歯がゆい思いをしています。それにしても癇癪を起したり藤次郎の気性の激しさは母・お東譲りだと思います。戦場で無鉄砲に危険を冒したことを輝宗に叱責されますが、無鉄砲の延長線上で藤次郎が山家国頼(大和田伸也さん)の命を救ったことで、お東の嫁入りに最上から刺客の意味も持ってお供としてやってきた国頼が、心底伊達家に仕えるきっかけになります。藤次郎の熱い情熱が人の心を動かしていきます。
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独眼竜政宗 第8話「若武者」
信長の死は東北にも衝撃を与えます。虎哉和尚は天罰と吐き捨てますが、藤次郎は信長のように生きたいと、天下取りへの夢を膨らませます。相馬と戦う輝宗は、田村清顕の仲介で和睦を受け入れます。論功行賞で輝宗が能力優先の登用を行なうと、譜代の家臣たちは不満を口にして、次男・竺丸を後継者に推すお東と結びついて不穏な動きを見せます。輝宗は家中を一つに束ねるために隠居を決め、藤次郎に家督を譲ります。
第8話「若武者」のみどころ&感想
冒頭のシーンで大河ドラマ25作目『独眼竜政宗』までに描かれた大河ドラマでの「本能寺の変」の映像が流れます。織田信長を演じた往年の高橋幸治さん、高橋英樹さん、役所広司さんが見られます。
大河ドラマ1作目~63作目までの歴代の「本能寺の変」については別記事にまとめています。
よろしければ併せてお読みください↓
分裂しようとする伊達家をまとめるため、輝宗が隠居を決断するきっかけとなった虎哉和尚の言葉2つ。「日が昇れば月は消える」「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」。深いですね。秀吉役で勝新太郎さん、石田三成役で奥田瑛二さんが登場します。まだこの時点ではコミカル部門担当かと思いきや、勝新太郎さんの凄みのある演技にゾクゾクが止まりません。今までにない秀吉像が楽しみです。
独眼竜政宗 第9話「野望」
天正12(1584)年、政宗は伊達家17代当主になります。側近には片倉小十郎、幼名・時宗丸の伊達成実(しげざね)、鬼庭左月の嫡男・綱元らが選ばれ、家中の若返りが図られます。近隣諸国の使者が祝儀に訪れ、政宗の力量を探ります。家督を相続して半年、政宗は小浜城の大内定綱に腰抜けと見下されて、出陣を決めます。しかし、その相手は、定綱が頼りとする東北で最大最強の会津・芦名です。
第9話「野望」のみどころ&感想
毎話恒例・本編冒頭の解説シーンで伊達家の祖先は藤原鎌足だと知りました。勉強になります。政宗は若くして伊達家棟梁になります。政宗の横で見守る父・輝宗から、祝儀に訪れる諸国の使者に対して「見くびられないように振舞え」とアドバイスされて、政宗は父の言葉に従い、かなり大胆にぶち上げます。幼い頃、梵天丸より才があるということで里に返された時宗丸が側近として返ってきますが、演じるのが三浦友和さん、左月(いかりや長介さん)の嫡男・綱元役に村田雄浩さん、そして片倉小十郎が西郷輝彦さんなので(村田さんは実年齢も渡辺さんと近いのですが)それでも、渡辺謙さんがかなり若く感じられます。尖がっている政宗とそれに油を注ぐ若き側近たち。家中の若返りが図られたのは良き事ですが、暗雲立ち込める気配がしてなりません。
独眼竜政宗 第10話「男の器量」

天正13(1585)年5月、伊達軍は会津国境の檜原峠から芦名に攻め入りますが、城の守備は堅く、苦戦します。政宗は冷静さを欠いて、さらに攻撃しようとしますが、小十郎にたしなめられて、一旦米沢に退却します。政宗は初戦での敗退を輝宗にわびると、お東からは厳しい言葉を浴びせられます。同年8月、政宗は大内家の内応工作に成功し、愛姫(めごひめ)の里・田村家の協力も得て、小浜城の大内討伐に出陣します。
第10話「男の器量」のみどころ&感想
葦名攻めに焦る政宗は血気にはやり、戦況は悪くなるばかりです。暴走する政宗を捨て身の小十郎が止めたり、そうかと思うと、母・東の方の悪気はないけどグサグサ刺さる物言いに深く傷ついたり。若い政宗は心が傷つき、そこから這い上がるのに必死な様子です。この頃の政宗は父と母、特に母に認めてもらいたくて戦をしていますが武士の道は地獄の道。
政宗は解決策=救いを求めて虎哉宗乙和尚(大滝秀治さん)を訪れます。和尚は両手をパンと叩いて見せて「どちらの手が鳴ったか、考えられよ」と政宗に。愛姫のちょっとした一言が政宗に響きます。愛姫を演じる桜田淳子さんがいつも困ったような憂いを秘めた表情と渡辺謙さんの左目の眼力が印象的です。
※随時、更新していきます。
独眼竜政宗 第11話「八百人斬り」

え大内討伐は大内の出城・小手森城から始まります。大内定綱は会津・芦名と二本松・畠山に援軍を求め、持久戦の構えです。数日が過ぎ、伊達成実の働きで戦局は一転し、小手森城は陥落します。しかし、定綱の姿はなく、すでに小浜城へ逃げ戻った後でした。政宗は激怒してm、籠城していた大内勢8百人の皆殺しを命じます。政宗は罪の意識から倒れて悪夢にうなされますが、回復すると小浜城を占領し、大内氏を滅亡させます。
第11話「八百人斬り」みどころ&感想
オープニングテーマの最初のパートで音がズドーンと落ちる旋律。あの低調な箇所が若き日の政宗の苦悩を表しているようで心に響きます。
伊達政宗たちの甲冑姿が非常にカッコいいです。政宗(渡辺謙さん)の三日月型の前立て、伊達成実(三浦友和さん)のムカデ。片倉景綱(西郷輝彦さん)の愛宕権現のお守り札と八日月の前立ても特徴的で目を引きます。「俺には何か欠けておる」と景綱に弱音を吐いたかと思うと、鬼のような形相で皆殺しを命じる政宗。愛姫(桜田淳子さん)も「殿の心はますます荒ぶり、険しい顔をしている」と心配げな様子。政宗の焦りが激しい気性と相まって怖いです。
余談ですが、伊達の旗本・屋代勘解由役で江夏豊さんが登場します。傭兵たちをバッタバッタとなで斬りにしていく様は堂々たる風格があります。小手森城内にいた農民・女子どもに至るまで命のあるものは皆殺しにせよという非情な命を下した政宗。仏の道に背いた八百人斬りの悔いから悪夢に苛まれ、地獄に落ちていきます。そして名文句「梵天丸もかくありたい」が出てきます。
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独眼竜政宗 第12話「照宗無念」

父・輝宗は政宗に二本松の畠山義継との和睦を勧め、畠山も所領の半分を差し出すと詫びてきます。しかし、政宗は和睦をはねつけ、領地の大半と一子を人質として要求します。畠山は条件を受け入れるふりをして輝宗に面会を求め、油断した輝宗を人質にして二本松へ連れ去ろうとします。政宗はそこへ駆けつけますが、父を人質に取られて手を出せません。その時、輝宗は政宗に対して、自分の命など気にせずに義継を撃つように叫びます。
第12話「照宗無念」のみどころ&感想
輝宗・政宗親子の断絶かと思ってハラハラ見ていましたが輝宗(北大路欣也さん)は政宗の常軌を逸した狂おしさ、得体の知れない恐ろしさを認めていて、頼もしいと感じています。2人で酒を酌み交わしながら心の内を語らうシーンがあってよかったとしみじみ思いました。
輝宗の代では周辺諸国は皆が親戚で骨肉の争いになってしまうため、奥州を束ねる覇者にはなれないが、息子の政宗の代になれば他の地方の武将のように力だけで覇者を目指すことができる。そんな思いもあったのだと気付かされた回でした。
輝宗の名セリフ「敵の強きを見て恐れてはならん、敵の弱きを見て侮ってはならん」。政宗の徹底的なやり方に「窮鼠猫を嚙む」の畠山義継によって引き起こされた照宗の無残な最期。残酷で悲しすぎて正視できません。
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独眼竜政宗 第13話「人取橋」
義継に捕らえられて命を落とした輝宗(北大路欣也さん)の遺骨が運ばれてお東(岩下志麻さん)は悲しみに暮れ、政宗(渡辺謙さん)を一方的に責めます。そんな時、佐竹ら南奥州の大名が二本松の畠山を救援するために3万の軍勢を結集して、攻撃します。政宗は観音堂山に本陣を敷きますが、次々と繰り出す敵に押されて総崩れになります。ところが、人取(ひととり)橋の合戦では伊達勢の闘志が勝ち、兵力に勝る連合軍は退却し、政宗は二本松城へ兵を進めます。
第13話「人取橋」のみどころ&感想
輝宗の無念の死を受けて輝宗に忠誠を誓ってきた重鎮が殉死していきます。遠藤基信(神山繁さん)が輝宗の墓前で切腹し、左月(いかりや長介さん)は人取橋に命を落としに行きます。左月の最期には息子の綱元(村田雄浩さん)に「わしのように早死にするでない」(左月は72歳と劇中で語られていて)と言葉を残し、いかりや長介さんならではのギャグ?と思いました。
事の良し悪しは別として、主の後を追って命を絶つことしか忠誠心の証がないかのように次々と落命していきます。政宗の右腕・片倉景綱(西郷輝彦さん)は生まれてくる自分の子どもが男子だった場合には命を絶てと妻・蔦(音無美紀子さん)に言います。理由は喪に服している時だから。本心は政宗に子が生まれないからと推測されますが、そこまでするの~汗と思いました。
景綱/小十郎の姉であり亡き輝宗を慕っていた喜多(竹下景子さん)は輝宗からもらった短刀を見つめて、政宗と愛姫を生涯守り抜くと決意していて、”義”や”武士の本懐”よりも、女性はたくましいと感じました。
父・輝宗、そして重鎮たち、虎哉和尚(大滝秀治さん)も政宗の元を去って全国行脚に出ます。政宗は頼る年長者がいなくなり、己の心に問いながら生きてゆかなければならなくなりました。
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独眼竜政宗 第14話「勝ち名乗り」
政宗は老将・鬼庭左月を失ったものの、7千3百の軍勢で3万の連合軍を退却させます。しかし、意気揚々の伊達軍も、冬の厳しい寒さに阻まれて、二本松城には手も足も出ません。夏になると、政宗は二本松城の物資の補給路を断ち、二本松城を無血開城させます。政宗は塩松郡と二本松領を掌中にし、仙道筋のすべてを支配することになりました。さらに領土仕置きを行い、伊達成実に二本松城を、片倉小十郎に大森城を与えます。
第14話「勝ち名乗り」のみどころ&感想
小十郎(西郷輝彦さん)が生まれてくる我が子が男子だったら殺せと言っていたことを、愛姫が政宗に手紙で命乞いをするところから始まります。小十郎がそんなむごい話をする理由は「喪中だから」と言っていますが、政宗は小十郎の心中を察します。政宗に嫡男が生まれたら守役になるためには先に生れて成長していなければと小十郎を説き伏せます。伊達成実(三浦友和さん)の歯に衣着せぬ口添えも面白いです。
正直なところ、ここまで小十郎と成実のキャストは逆では?と思っていたのが(三浦友和さんが思慮深い小十郎で、西郷輝彦さんが猪突猛進の成実というキャスティングが合っている気がしていました)、だんだん三浦友和さんが成実っぽく見えてきました。
都では秀吉(勝新太郎さん)に家康(津川雅彦さん)が「関白・秀吉」として謁見する前夜に二人の時を過ごしています。『どうする家康』でも描かれたシーンです。ここでは勝新さんと津川さんの老獪さの漂う演技が見どころ。
秀吉50歳、家康45歳、政宗20歳という年齢差。政宗はほんの若造に見えます。20年早く生まれていたら政宗が信長に代わって天下を治めていた。と心から思いました。
製作サイドは勝新さん、岩下志麻さん、北大路欣也さんのクレジットの順番に悩んだそうで、勝新さんと岩下志麻さんが同じ回に登場しないように脚本を書いたとか書かなかったとか。この回のクレジットは津川雅彦さん、岩下志麻さん、勝新さんの順番でした。
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独眼竜政宗 第15話「めごとねこ」
天正14(1586)年10月、愛姫(めごひめ)の父・田村清顕が愛姫の懐妊を望みながら病没します。跡継ぎがいない清顕に政宗の次男を養子にする約束を果たせず、夫人が田村家の実権を握り、夫人の出身である相馬に接近します。愛姫は懐妊しないことに悩み、夫婦仲は疎遠になります。そんな時、家臣・飯坂宗康の娘が政宗の側室になります。政宗は物おじしないこの娘を「ねこ」と呼び、周囲は「猫御前」と名づけます。
第15話「めごとねこ」のみどころ&感想
冒頭の解説動画でファッションから鎧兜への展開が面白いです。秀吉・家康・政宗の甲冑を比較して、政宗の甲冑をシックでずば抜けたセンスと評しているのに全く同感です。ちょっとダースベーダーっぽい演出でした。この解説動画を見て初めてオープニングテーマもスターウォーズを意識してるのかも?とやっと気づいた次第です。大河ドラマはいつの時代も世相を反映しています。
秋吉久美子さんが政宗の最初の側室「猫御前」として登場します。跡継ぎが生まれないことでぎくしゃくしている政宗と愛姫の溝がますます深くなっていきます。猫御前を演じる秋吉久美子さんらしい悪気のない軽い笑いと、父・輝宗(北大路欣也さん)は結局側室を迎えなかったので、女の戦いを知らないお東の方(岩下志麻さん)と侍女のおちゃこの余計な言葉で愛姫は追い詰められていきます。喜多(竹下景子さん)が必死に愛姫と政宗の間を取り持とうとしますが、当の二人の心が頑なになっているのでどうしようもありません。
また一人、政宗が頼りにしている人が亡くなりました。成実(三浦友和さん)の父・実元(竜雷太さん)が老衰で亡くなります。臨終に「あえて火中の栗を拾うなかれ」と血気にはやっての葦名攻めを諫めました。ストッパー役の人がどんどん亡くなっていくので、思慮深い小十郎だけで大丈夫なのか心配です。
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独眼竜政宗 第16話「南北の敵」
天正15(1587)年春、米沢の北、長井ノ庄で内乱が起きます。背後に伯父・最上義光(よしあき)の影が見え隠れします。政宗は直ちに出兵して内乱を封じると、最上対策として、最上の本家筋である大崎で起きた内紛を利用して、成実と小十郎を南の芦名に備えさせ、留守政景と泉田重光に北の大崎攻めを命じます。しかし、黒川月舟斎の裏切りで、大内定綱が率いる芦名勢が挙兵。伊達は南北両面の脅威を迎えます。
第16話「南北の敵」のみどころ&感想
冒頭に妻たちが出てきます。小十郎(西郷輝彦さん)の妻・蔦(音無美紀子さん)は嫡男が生まれて幸せそう、成実(三浦友和さん)さんと妻・登勢(五代路子さん)も仲良し、政宗の正室・愛姫(桜田淳子さん)と側室・猫御前(秋吉久美子さん)はかなり対照的で猫御前がトラベルメーカーになっていきそうな勢いですが、猫御前の奔放さに政宗が救われている部分があるのは事実だと思いました。
しばらく姿を見せていなかった最上義光(原田芳雄さん)の存在感が政宗とお東の方(岩下志麻さん)の母子関係に深い溝を作ります。政宗に「私が疱瘡にかかっている時、母は山形に帰っていた」と言われた時のお東(岩下志麻さん)が、『草燃える』で頼家(郷ひろみさん)に母・政子(岩下志麻さん)に愛されなかった。と責められる時の岩下さんと同じでした。激しい母を演じたらナンバー1のさすが岩下志麻さんです。政宗(渡辺謙さん)が目に涙をためて「私はずっと母上をお慕いしておりました。」と寂しくつぶやいて去っていく姿が悲しくてなりません。気性が同じ母子だけに分かり合えずに溝は深まるばかりです。
母子の姿がオーバーラップする『草燃える』総集編第4話のネタバラあらすじはこちらから
16話では父・輝宗の弟で政宗の叔父なのに、いい人キャラではない国分盛重を演じるイッセー尾形さんも登場します(のちのちは政宗の良き応援団になっていきます)。同じ輝宗の弟で政宗の叔父・留守政景を演じる長塚京三さんが信頼できる役回りなのと好対照で、イッセー尾形さんの食えない演技が絶妙です。
独眼竜政宗 第17話「宮仕え」

米沢の北では老臣・泉田重光(高品格さん)が人質になり、そこに現れた最上義光(原田芳雄さん)に裏切りを迫られます。重光が断ると、義光は重光を山形城に連れて行きます。南では伊達成実(三浦友和さん)が大内定綱(寺田農さん)の軍勢を打ち破ります。すると、定綱は伊達に奉公したいと願い出ます。政宗にとって殺しても余りある定綱は今の伊達には大いに利用価値があるため、家臣に加えられます。さらに、政宗は田村の家臣・石川弾正の反逆を打ち破って田村領へ進軍します。
第17話「宮仕え」のみどころ&感想
合戦や戦略・運気もさることながら、17話では母・お東の方と弟・竺丸と政宗の心が一つになった点にとても感動しました。前半部分の一番の山場だと感じました。脇を固める喜多(竹下景子さん)、おちゃこ(鷲尾真知子さん)、茶人から伊達家の勘定役となった鈴木重信(平田満さん)の演技がすごくいいです。政宗も武将としてようやく脂がのってきた印象を受けます。
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独眼竜政宗 第18話「お東・居座る」

政宗(渡辺謙さん)は最上義光(原田芳雄さん)との仲介をお東(岩下志麻さん)に求めます。お東は喜んで山形へ向かいますが、和睦交渉はこじれて、両軍は国境の中山峠を挟んでにらみ合います。すると、峠の頂上にお東が甲冑に身を固め、双方が和睦するまで一歩も引かない覚悟で居座ります。政宗は人質の重光(高品格さん)を救うため、さらに、お東に頭を下げられて和睦の証文を書きます。義光は内容に納得しませんが、庄内占領に上杉が動いたため和睦に応じます。
第18話「お東・居座る」のみどころ&感想
お東の甲冑姿が勇ましいこと。岩下志麻さんはこういう役が本当にハマります。成実(三浦友和さん)の無謀な面が見え隠れしていて今後が心配になりつつも、お東の方の捨て身の姿が政宗の心を動かします。お東の兄の重光はどこまでも冷酷で、上杉の兵が動いていなければ妹を見捨てて伊達と戦をしていた気がします。愛姫の一言「お母上を大事になさいませ」が効きました。重光が5か月ぶりに人質から解放されて、政宗に引き渡されたラストシーンは最上側も伊達側も武士の礼を感じ爽快な気持ちになりました。
17話18話はこれこそ大河ドラマ。というストーリー展開でした。

ここで「やっぱり、かっこいいなぁ」と岩下志麻さんの代表作『極道の妻たち』シリーズを見てしまったので、独眼竜政宗の感想が遅れてしまいました汗
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独眼竜政宗 第19話「大移動」

政宗が家督を継いで4年、平穏な日々が訪れます。弟・竺丸が元服して、小次郎政道と名を改めます。天正17(1589)年、関白秀吉が天下をほぼ手中にすると、小田原の北条や奥州に目を向けます。天下が大きく動く中、政宗は奥州平定を急ぎます。成実と小十郎を北の猪苗代へ進軍させ、政宗は南の芦名へ進撃。しかし、それは敵を欺く作戦です。政宗は進路を変えて1万5千の大軍を北上させ、成実らと合流します。
第19話「大移動」のみどころ&感想
本編が始まる前のコーナーで「兵糧作り」をしていたのが興味深かったです。今でいう携帯食、スーパーフードですが、現代でも手に入る材料ばかりだったので作ってみたいと思いました(1つ食べれば7日間、2つ食べれば20日間持つそうです)。
竺丸と政宗の仲の良い兄弟関係が軸に描かれています。竺丸を助けようとして足を骨折した政宗を「落馬するなんて」と世間では言ったりしていましたが、政宗は果敢にも戦場に出向きます。どうにか治癒して良かったです。そして、成実と小十郎を捨て石にしない政宗はさすがです。政宗の男気が存分に描かれた19話でした。

お東の方(岩下志麻さん)、愛姫(桜田淳子さん)、ねこ(秋吉久美子さん)を見ていると、いかに自分をアピールできるか+一本筋が通っているかが大事なのだと感じます。
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独眼竜政宗 第20話「決戦、摺上原(すりあげはら)」

政宗は、猪苗代城で成実と小十郎の隊に合流します。天正17(1589)年6月5日、ついに、磐梯山麓・摺上原で、伊達軍と芦名軍は激突します。風下に立つ伊達軍は緒戦で不利な展開となりますが、風向きが変わると形勢は逆転。芦名勢は家中の内紛で足並みが乱れて戦意喪失し、伊達軍が圧勝。芦名滅亡の知らせは奥州全土に広がります。すると、政宗のもとに秀吉の使者が現れ、上洛するよう伝えます。
第20話「決戦、摺上原(すりあげはら)」のみどころ&感想
政宗の離れ業、機転が利いた回でした。成実の強さも光りました。芦名軍を滅ぼして、黒川城での祝いの席で、政宗は家臣の皆に対して奥州だけにとどまっているのではなく、関東を攻めに行く野望を語ります。成実が「殿は龍じゃ、まさに昇り龍じゃ、これよりは独眼竜政宗どのと御呼びいたそうぞ」と、独眼竜政宗の誕生を宣言しました。希望にみち、天下統一の野望に燃える若き政宗がカッコいいです。
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独眼竜政宗 第21話「修羅の母」

天正18(1590)年、秀吉は小田原の北条氏討伐の軍令を発し、政宗にも参陣を促しますが、政宗はなかなか出陣しません。お東と老臣たちは秀吉を恐れるあまり、政宗をちっ居させて弟・小次郎を擁立しようと画策しますが、計画が発覚し小次郎派の家臣は捕らえられます。お東は山形城の兄・最上義光のもとに駆け込み、義光から伊達家のため政宗を毒殺するようにそそのかされて苦悩します。
第21話「修羅の母」のみどころ&感想
21話は、絶体絶命の大ピンチに政宗も追い詰められ、母・お東の方もちょっと先走っり、筋が通っているようで通ってなかったり大混乱を極めます。
政宗が生まれるのがあと20年早かったら、秀吉になんて負けないのにと愛姫の膝で泣き崩れる場面を見て、確かに政宗が秀吉や家康と同年代だったら歴史は違っていたと思いました。
評定での小十郎(西郷輝彦さん)名言の数々が胸に響きます。「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」「朝廷を恐れざるは不忠の罪なり、関白の名に背くは不義の罪なり、先祖伝来のお家を滅ぼすは不孝の罪なり、不忠、不義、不孝の罪を犯しては天の助けもあるべからず」、その上、奥州にて滅亡いたせば逆臣。小十郎が命をかけて政宗に進言するところが一番のみどころです。
本当は思慮深い政宗がお忍びで小十郎の館に訪れて、ちゃんと小十郎の話を聞くところ、最上義光がどこまでも妹のお東の方(岩下志麻さん)を追い詰めるところ、お東の方が心の底では嫡男の政宗を思う故に、恐ろしい想像をして乱心してしまう姿が鬼気迫り、人形浄瑠璃を見ているような錯覚を覚えます。手に汗握る45分間です。
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独眼竜政宗 第22話「弟を斬る」

政宗は小田原への参陣に遅れを取り、秀吉から逆心の疑いをかけられる覚悟で出陣を決めて、伊達家の後継に伊達成実を指名します。出陣前夜、政宗が出陣のあいさつにお東を訪ねると、伊達の家督を小次郎に継がせたいお東は、祝いの膳に毒を盛ります。政宗は一命を取り留めると、禍根を断つため、泣く泣く小次郎を斬ります。お東は兄・義光のもとへ逃れますが、悲しみのあまり既に正気を失っていました。
第22話「弟を斬る」のみどころ&感想
21話22話が中盤での一番の山場であり、見るのも辛い箇所でもあります。お東が好んで政宗を暗殺しようとしたのではなく、実の兄・義光からの執拗な働きかけがあったからで、そこが何とも後味の悪い印象です。
政宗のは膳に入れられたトリカブトを食べてしまうものの、一命をとりとめ、こちらも自分の決断というより、家臣からの進言によってお東ではなく小次郎を斬るというつらい決断をします。その後、政宗は自責の念から夜ごと小次郎の亡霊に襲われます。お東の方も兄・義光の元に逃げ落ちたものの、一晩で髪は真っ白に、そして正気を失ってしまいます。こんな思いをしても守らなければならない「家」とは?と考えさせられる22話です。
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独眼竜政宗 第23話「小田原へ」
政宗は小十郎や定綱らと会津若松を出発します。途中、相馬勢が国境を越えて来たという知らせが届き、急きょ米沢城に引き返します。それから、政宗は山形から越後、信濃路を通って小田原に向かったため、到着は大幅に遅れました。政宗は箱根山中の宿で秀吉からの連絡を待っていると、前田利家らが訪れ厳しく詰問されます。利家らが帰ると、家康から呼び出され、秀吉を納得させるためにはさらに奇抜な趣向が必要と忠告を受けます。
第23話「小田原へ」のみどころ&感想
政宗の才覚と采配が光る23話です。小十郎の話をじっくりと聞き上洛を決断、決断したら行動が早い、危機管理能力に長けている点を見ると、生まれるのがもう少し早かったら、政宗が天下統一していたのでは。と思いました。
秀吉に会う前に前田利家らに会った時も堂々と物怖じせず、東北の雄としての存在感を十二分に発揮しました。
津川雅彦さん演じる家康は妻や息子を家のために殺した経験があり、政宗の心情を誰よりもくみ取っていると感じました。秀吉に会う前夜に政宗の人柄を見定め、秀吉の人となりから、もう一歩奇抜な何かが必要だと忠告し、政宗がその期待に多いに応えることになります。
見ごたえがあって爽快な放送回です。秀吉は政宗を気に入ります。勝新太郎さん演じる秀吉の迫力といったら、勝新さんが演じる秀吉は猿ではなく怖いタヌキです。
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独眼竜政宗 第24話「天下人」
政宗は、白かたびらに水引の元結という死に装束で秀吉の前に参上します。政宗の神妙な態度に秀吉は満足して何の処分もしません。秀吉は政宗を気に入り、会津・安積(あさか)などの領地を召し上げますが、伊達の旧領は認めます。その後、秀吉は奥州へ向かい、宇都宮で政宗の出迎えを受けると、政宗の右腕である小十郎を自分の臣下として、田村領・三春城の城主にすると言い出します。政宗は秀吉に対して、何も言えません。
第24話「天下人」のみどころ&感想
後世まで語り継がれている『独眼竜政宗』随一の秀吉と政宗の初対面のシーンです。このシーンの撮影の前に渡辺謙さんが勝新太郎さんにご挨拶に上がったら、勝新太郎さんは「小田原で会おう」とそれ以上の会話を望まなかったそうです。「小田原で会おう」と言われた真意をその場でくみ取った渡辺謙さんもすぐに退席したそうです。
24話の撮影は、2人は対面しないまま、場所決めを違うタイミングでしたのち、ワンテイクだったそうです。勝新太郎さんの演技はほぼアドリブだったそうです。圧倒的な(秀吉なのか勝新さんなのかわからない)オーラに圧倒された伊達政宗は、秀吉から手渡された小刀を捧げ持つことしかできませんでした。歴然とした風格の差でした。
2025年1月に放送された『大河ドラマ名場面スペシャル』で、渡辺謙さんがその時の勝新太郎さんの圧倒的なオーラについて語られていました。
勝新太郎さんの大河ドラマ出演はこの『独眼竜政宗』だけで、渡辺謙さん演じる伊達政宗のことが気に入った様子が画面からも伝わってきました。大河ドラマスペシャルで高橋英樹さんが勝新さんと渡辺さんの「芝居が合った瞬間だったんでしょうね」と言っておられたのが印象的です。
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独眼竜政宗 第25話「人質、めご」
政宗は居城・黒川城で秀吉を迎え、旧芦名領・会津を引き渡します。会津は蒲生氏郷(がもううじさと)が引き継ぎます。秀吉は領主の配置と同時に検地と刀狩りを実施し、政宗に正室・愛姫(めごひめ)を人質に出すように言いますが、政宗は断ります。催促の書状が再三届くと、愛姫は伊達家の安泰を願い、喜多を伴って京へ上ります。そのころ、山形や秋田で一揆が起こります。秀吉は政宗に氏郷とともに一揆を鎮圧するよう命じます。
第25話「人質、めご」のみどころ&感想
この頃の愛姫(桜田淳子さん)と政宗の仲は本当に睦まじくて、若い頃からの回想シーンも流れて、色々あったけど、よくぞここまで仲睦まじくて…と感慨深く思いました。25話は政宗の人間味があふれている良い話です。
秀吉との対面を終えて、徳川家康(津川雅彦さん)とも会ったせいか、伊達政宗=渡辺謙さんが一回り大きく成長したように感じます。笑い声や戦略も聡明さと明るさに満ちあふれていています。弟を殺さねばならない苦難を通り、のるかそるかの局面を乗り切って、家臣に恵まれ、妻にも愛されて、命のやり取りをしている人生が政宗に政宗らしさを吹きこんでいるように感じました。
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独眼竜政宗 第26話「絶体絶命」
伊達の家臣・須田伯耆(ほうき)が寝返り、政宗が一揆勢に送った直筆の密書を蒲生氏郷(がもううじさと)に持参します。政宗謀反の知らせが秀吉に届くと、人質・愛姫(めごひめ)の真偽が問われますが、秀吉は愛姫を本物と見破り、三成は偽物と疑います。天正19年(1591)春、政宗は秀吉から上らくを命じられ、京へ向かいます。今度こそ首をはねられるかもしれない事態となり、政宗は絶体絶命の窮地に立たされます。
第26話「絶体絶命」のみどころ&感想
雪国での戦いの厳しさがよく分かる話です。上洛した京で喜多と愛姫が気品高く暮らしています。家臣・須田伯耆の寝返りで絶対絶命のピンチなのですが、政宗にはどこか余裕があります。政宗も愛姫も腹が坐っているので、危機を乗り越えることになります。なにより秀吉が政宗も愛姫も評価していることこそ、一番の強みです。
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独眼竜政宗 第27話「黄金の十字架」

秀吉は清洲城で政宗を待ちます。政宗が秀吉に拝謁すると、謀反の証しとされる密書を突きつけられます。そこには政宗の署名である鶺鴒(せきれい)の形をした花押がありました。政宗は、本物には花押に細工があると弁明すると、秀吉は花押を確かめた上で政宗を許し、諸侯の前で臣従の意を示すよう命じます。決定的な危機を乗り越えた政宗は、黄金の十字架を担いで京の町を歩き、評判になります。秀吉は上機嫌で政宗を迎えました。
第27話「黄金の十字架」のみどころ&感想
番組冒頭の解説パートで政宗の「鶺鴒」の花押について説明がありました。年代によって花押も変化していくのは興味深いです。
さて、政宗は何と言い逃れをするのだろう。とハラハラしながら視聴しました。が、堂々としたものです、きっと秀吉は政宗がどんないい訳をしても呑んだのかも知れない。とも思いました。秀吉は政宗の人柄に惚れこんでいるように見えます。
そして、また初対面の時のように歌舞伎者の政宗は黄金の十字架を背負って都入りします。政宗が憧れて目指してきた織田信長と政宗はよく似ていて、だから秀吉は政宗を好んでいるのかな。とふと思いました。
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独眼竜政宗 第28話「知恵くらべ」

京の人々に大歓迎された政宗は、秀吉から聚楽第(じゅらくだい)に豪勢な館を与えられ、さらに、朝廷から官位を授かります。しかし、師と仰ぎ、親交を深める利休が秀吉から事実無根の罪で切腹を命じられ、さらに、会津近辺の所領を召し上げられます。政宗は再び起きた一揆を討伐することになると、家康からは花押の細工は二度と通用しないと釘を刺され、家臣からは京に攻め入る好機と言われます。政宗と秀吉の知恵くらべです。
第28話「知恵くらべ」のみどころ&感想
冒頭の解説パートでは「伊達」の意味が紹介されました。①意気を競うこと。②派手に振舞うこと。③見栄を張ること。語源の諸説も紹介されました。立てる→伊達。派手→伊達。そして伊達政宗こそ「伊達」のルーツだという説。歴史的には、伊達政宗以前にも伊達という言葉は使われていたそうですが今となっては伊達といえば伊達政宗が代名詞で。私の中では伊達政宗といえば渡辺謙さんなので、伊達=渡辺謙さん。に変換されます。
26話は「千利休」の回でした。出生街道まっしぐらの政宗ですが、石田三成(奥田英二さん)は良く思っていないようで、また利休(池部良さん)と秀吉の軋轢も一気に燃え上がります。「橋立の壺」の意味が壺だけでなく思想なのだということがよく分かる話でした。
茶々役には樋口可南子さんです。大河ドラマ『篤姫』で聡明な篤姫の母を演じておられましたが、茶々役でも聡明さが光ります。秀次を演じるのは陣内孝則さんでボンボンな感じが出ています。
政宗は利休とわびさびの心が通じているのですが、それがあだになりそうでハラハラします。利休は切腹となり、領地のことでも小十郎の進言でどうにか生き延びた政宗。愛姫に母・お東を許せとも言われ、憤慨やるかたなき政宗ですが、秀吉と知恵比べをしていくことで活路を見出そうとします。政宗の器が更に大きくなってきました。
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独眼竜政宗 第29話「左遷」

政宗は一揆を鎮圧して秀吉の信用を回復します。側室・猫御前の懐妊の知らせが届きますが、一方、秀吉の嫡男・鶴松が病で命を落とします。新しい知行割りがあり、政宗は伊達家本領を蒲生に渡し、大崎、葛西への国替えを命じられます。政宗は納得できず、この国替えを考えた家康に理由を問いただします。すると家康は、一見左遷と見える国替えも考え方とやり方次第で国は豊かにできると言い、時の流れに逆らわないよう助言します。
第29話「左遷」のみどころ&感想
リアルタイムで見た当時は、29話の印象はあまり強くなかったのですが、今回見返してみて、「名場面」としてよく紹介される24話”天下人”に勝る珠玉の名場面満載の放送回だと思いました。
吉が鶴丸を病で失い、髻を切るシーンの鬼気迫る勝新さんの演技。それが元で朝鮮出兵に走った。という展開も納得でき、身じろぎもせず見入ってしまいました。八千草薫さんが演じるねねが慈悲深く、秀吉も政宗の正室の愛姫(桜田淳子さん)をも救っている姿に感動します。
政宗は菩提寺のある米沢から国替えを迫られたことに対して家康に真意を尋ねます。津川雅彦さん演じる家康の、重厚でありながら狡猾さのない、しなやかな演技に魅せられます。家康は政宗を買っていて、一歩進んだアドバイスをしている点が『独眼竜政宗』でのみどころです。
自分自身も駿府から江戸に移された経緯があるのと、肉親を殺さなければならなかった政宗と同じ境遇も相まって、政宗は家康に多くのことを学んで器を大きくしていきます。
政宗の側室・猫御前が無事に男子を出産し、政宗がようやく親になります。ここからの政宗の進化も楽しみで仕方ないです。国替えをする時に、政宗が家臣と共に盃を交わす姿が凛としていてとてもカッコイイです。
独眼竜政宗 第30話「伊達者」

文禄元年(1592)、政宗は秀吉から朝鮮出陣の命を受けて上らくする途中、猫御前が産んだ息子に初めて対面します。京に着いた政宗は、喜多が愛姫(めごひめ)を狙う秀吉に替え玉の側室を差し出したことを知り、喜多をちっ居させます。ついに、朝鮮遠征が始まりました。政宗は3千の兵を3万に見せようと軍装を飾り立てます。その絢爛(けんらん)華麗な出で立ちに、出陣を見送る京の人々は、伊達者と賛辞を送ります。
第30話「伊達者」のみどころ&感想
タイトルの「伊達者」はどこに出てくるのだろうと思いながら見ていました。前半は、愛姫がまさか色好み秀吉の餌食になるの?と思いハラハラしましたが、喜多(竹下景子さん)が独断で側室を差し出して愛姫を守りました。喜多はその責任を取って、愛姫の元を去って蟄居するというストーリーでした。
喜多は6話でも愛姫と政宗を守るために思い切った行動をとりました。そういえば、初登場から振り切った人でした。ここまで愛姫の世話役だけでなく、政宗の母代わりとして命を張って伊達家と政宗に貢献してきたので、ここで退場なのか…と寂しく思いました。
肝心の「伊達者」は、朝鮮出兵に旅立つ伊達の軍勢の着飾った姿のことでした。3千を3万にも見せようということで、甲冑だけでなく刀も長いモノを盛ったり、金銀の色を付けたりのファッションショーさならがらの装いを政宗自らが指示していました。
ラストは秀吉が母・北政所が倒れたと聞いて、ショックで倒れるシーン。30話も秀吉を演じる勝新太郎さんの怪演が光ります。政宗はお東の方から授かった数珠を手に遠くを見つめていました。数珠を持っている姿1カットでお東の方を思い起こしていることが分かるすごいシーンです。
そして、政宗が国替えしたことによって、政宗に命を奪われた弟・小次郎のお墓も移さなければならないのか…と当時の武士の大変さを感じました。秀次を演じる陣内孝則さんの2代目の苦悩もすごく分かります。
独眼竜政宗 31話「子宝」

伊達勢は肥前・名護屋城で朝鮮への出兵命令を待っていました。文禄2年(1593)4月、遠征軍は釜山(ふざん)に上陸します。苦しい戦いが続き、伊達勢にも壮絶な戦いが待っていました。政宗は異国に骨を埋める覚悟で、母・保春院(お東)に別れの手紙を送ります。そんな中、淀君が嫡男を産むと秀吉は狂喜して、大坂へ戻って遠征軍を撤退させます。政宗も無事に帰国。翌年、愛姫(めごひめ)は、嫁いで15年目で懐妊します。
第31話「子宝」みどころ&感想
冒頭の解説パートで秀吉の「朝鮮出兵」について解説されています。その規模の大きさに驚くとともに、秀吉は途方もないことを実行したんだと再認識しました。映像が絶対スターウォーズの影響を受けている点も『独眼竜政宗』のタイトルバックからも感じ取れますので、当時の世相を反映してのことだと思いました。
肥前・名護屋で出陣命令を待つ頃から、成実(三浦友和さん)の表情が曇りがちで気になります。そして結婚15年目にしてめでたく懐妊した愛姫の第一子が姫だとわかった瞬間にも「政宗が武芸を怠っているからだ」と憎まれ口をたたきます。武芸ではなく、茶や香道、歌を詠んだりすることに励んでいる政宗を見て「殿は変わられてしまった…」と寂しげな表情の成実。政宗の右腕として武功を立ててきた成実は反対に「古い」と言われて政宗との考え方にズレが生じてきています。
秀吉と茶々にも男の子が生まれます。秀吉が明の言葉(中国語)を練習しているのですが、その使い方が絶妙で勝新太郎さんのセンスはすごいなぁとしみじみ思います。
政宗は朝鮮の地に骨をうずめる覚悟で、自分を暗殺しようとした母にも手紙を出します。この手紙をきっかけに母と息子の大きな溝が埋まる予感がします。
それと、愛姫が政宗が持ち帰った朝鮮の茶碗で茶を点てるシーンがあるのですが、政宗の茶の飲み方も、愛姫の二服目を立てるまでの動作も流れるようで、会話をしながらの所作がお二人とも美しくてとても素敵でした。
独眼竜政宗 32話「秀次失脚」

京の伊達屋敷で、愛姫(めごひめ)は娘を産み、政宗は五郎八(いろは)姫と名づけます。突然、蒲生氏郷が京で命を落とし、毒殺のうわさが流れます。氏郷や政宗が親交を深める関白・秀次は秀吉に世継ぎができたため不仲とうわさされ、政宗がいったん岩出山城に戻ると、その間に秀次は三成の石田三成のざん言で秀吉から切腹を命じられ、妻子や側室までも処刑されます。その中には最上義光(よしあき)の娘・駒姫がいました。
第32話「秀次失脚」みどころ&感想
冒頭の解説のシーンで、政宗によって殺された弟・小次郎の墓所のことが流れました。朝鮮出兵からこのかたしばらく本国に帰っていなかった政宗が岩出山に帰郷します。それにあわせて政宗を教育した虎哉和尚が政宗に会いに戻ってきます。小次郎の墓に案内し、そこで仏の導きで母・お東の方に再会します。対面し、政宗は母を赦します。お東の方は政宗の元に戻って欲しいとの要望には、そんなことはできないと、山形の最上で骨をうずめると伝えます。弟小次郎の死から5年の母と子の再会でした。
秀吉に世継ぎが産まれたことによって、関白・秀次が排除されます。寺に蟄居させられた上切腹です。秀次を演じる陣内孝則さんの高笑いが最後まで哀しく響きました。秀吉の意を汲んだ石田三成の策略で謀反の疑いが次々とかけられていき、秀次の妻子・側室39人も連座させられて全員処刑されます。秀次の側室になっている最上義光の末娘・駒姫をどうにかして愛姫が北政所に懇願して助けようとするも無駄でした。東国一の美女と謳われた駒姫は15歳でした。国許に帰っていた政宗も三度目の絶対絶命の危機を迎えながら上洛します。
独眼竜政宗 33話「濡れ衣」
政宗は秀次の謀反に連座した疑いをかけられ、身の危険を感じて大坂にとどまり、秀吉が送った使者に無実を訴えます。しかし、秀吉は政宗に流罪を言い渡し、家督は4歳の長男・兵五郎が継ぐことになります。ある夜、何者かが徳川屋敷の門前に、義光(よしあき)と政宗が秀次反逆事件の中心人物と書いた不可解な高札を立てます。秀吉はそれを読むと、家康の助言を聞いて、政宗の流罪を取り消して豊臣への忠誠を誓わせようとします。
第33話「濡れ衣」みどころ&感想
史実や有力なエピソードを知らないので、実際のところ高札を立てたのは秀吉なのかどうかが分からないのですが、もともと政宗のことを気に入っているのと、最上義光と伊達政宗を反逆罪で成敗してしまうと、東北の安定が保たれないとも考えて、秀吉が企てたのかなと思いながら見ました。
秀吉が時々、認知症のようなそぶりを見せ、それを敏感に感じ取っている家康。ただ、津川雅彦さん演じる独眼竜での家康は虎視眈々という感じではなくて、もっと奥深いところで日本全体のことを考えている印象を受けます。
独眼竜政宗 34話「太閤の死」
慶長元年(1596)、政宗の長男・兵五郎が元服し、秀吉の一字を賜り秀宗と名乗ります。成実は、秀吉の機嫌を取る政宗の姿に失望して姿を消します。政宗が従四位下に叙せられた祝宴の席で、秀吉が倒れてしまいます。健康に不安を抱える秀吉は政宗に秀頼への力添えを頼みます。一方、越後の上杉景勝が会津に領地替えになり、政宗は家康を警戒した三成の気配を感じます。慶長3年(1598)、秀吉は62年の生涯を終えます。
独眼竜政宗 35話「成実失踪」
秀吉が死ぬと、淀君と三成は政宗の長男・秀宗を秀頼の小姓に差し出すよう迫る一方、家康は今井宗薫を通じて長女・五郎八(いろは)姫と家康の六男・忠輝の縁組みを申し入れます。行方をくらましていた成実の居場所がわかり小十郎が連れ戻しに行くと、成実は政宗を見限って再び失踪します。三成と家康の対立が激しくなる中、前田利家が死ぬと家康の力がさらに増します。そんな中、政宗は愛姫(めごひめ)から懐妊を告げられます。
独眼竜政宗 36話「天下分け目」
慶長4年(1599)、家康は三成を追放して実権を握ります。伊達家では愛姫(めごひめ)が嫡男を産み、虎菊丸と名づけられます。翌春、政宗は家康に上杉討伐の先陣を命じられ出陣すると、そこに失踪していた成実が戦と聞いて一騎だけで駆けつけます。京では三成ら西側の諸将が挙兵し、上杉討伐の軍勢を背後から突こうとします。家康は諸大名が敵か味方かを見極めるため江戸城に入ります。天下分け目の戦いが迫ります。
独眼竜政宗 37話「幻の百万石」
関ヶ原の合戦は東軍の大勝利でしたが、政宗は奥羽で上杉勢とにらみ合いを続けていたため、勝利の知らせが届きませんでした。三成が勝利すれば、家康が約束した、伊達の旧領返還を含む百万石が幻になるため、政宗は最上の要請を受けて上杉との和睦を破棄して援軍を送り、この好機に上杉を攻めて領土を獲得しようとします。政宗は関ヶ原の合戦の東軍勝利を半年後に知り、百万石の夢を膨らませますが、家康に謀反を疑われます。
独眼竜政宗 38話「仙台築城」
政宗は家康に謀反を疑われて上らくすると、帰郷を禁じられます。処分は無いものの旧領返還を含む百万石の約束は無くなります。家康は徳川体制を強化するため、江戸城周辺に大名屋敷を建てます。政宗は仙台築城を進めますが、家康の命で江戸屋敷に住むことになります。家康は征夷大将軍になると、秀頼を関白にして大坂方の懐柔を計り、政宗の娘・五郎八(いろは)姫と六男・忠輝の縁組みを決めて、政宗に帰郷を許します。
独眼竜政宗 39話「五郎八嫁ぐ」
政宗の長女・五郎八(いろは)姫と家康の六男・松平忠輝の婚礼が江戸・松平屋敷で執り行われ、さらに、嫡男・虎菊丸と家康の一姫の縁組も決まります。家康は大御所になり幕藩体制作りに専念します。政宗は1年ごとに江戸と仙台を往復し、江戸では儀礼や外交に努め、仙台では国づくりと経営に力を入れます。猫御前が産んだ長男・秀宗は井伊直政の娘・亀姫を妻に迎え、伊達は隆盛を極める中、旧臣や旧知の者が次々と世を去ります。
独眼竜政宗 40話「大船造り」
政宗は娘婿・忠輝の家老・大久保長安から、天主教(キリスト教)の入信帳に署名を求められますが、謀反を疑われるため断ります。しかし、そこには豊臣秀頼と忠輝の署名と花押がありました。政宗は南蛮との交易をもくろみ、宣教師ルイス・ソテロに仙台での布教を認めて、家康に大船の建造を願い出て許されます。しかし、政宗は、家康から長安の屋敷で怪しい連判状を発見したことを告げられ、忠輝を助けるため手を打ちます。
独眼竜政宗 41話「海外雄飛」
慶長18年(1613)夏、浅草・南蛮寺で30人余りのキリシタンが捕らえられます。政宗は直ちに家康に会い、処刑寸前の宣教師・ソテロを助けます。同年9月、念願の大船は完成し、ソテロや支倉(はせくら)常長ら総勢180人を乗せてイスパニアを目指して出航します。一方、最上義光(よしあき)は病の床で家康が伊達の取り潰しを謀っていると遺言して、翌年、息を引き取ります。幕府はキリシタン禁止令を発布します。
独眼竜政宗 42話「大坂攻め」
慶長19年(1614)春、政宗は忠輝の居城・越後高田城の普請を見守り、家康の信用回復に務めます。片倉小十郎は病のため隠居し、長男・左門が後を継ぎます。一方、家康が秀頼に大坂城の明け渡しを迫ったため、真田幸村ら豊臣恩顧の武将は決起します。政宗が小十郎を見舞うと、大坂方の出陣要請に応じないよう進言されます。同年11月、政宗は秀忠から大坂討伐を命じられ、ついに大坂冬の陣が始まります。
独眼竜政宗 43話「ねこ、宇和島へ」
秀頼と淀君は家康の講和条件を受け入れたため、大坂冬の陣は終わります。徳川方は大坂城の本丸を残し、外堀や二の丸などを次々に埋めていきます。政宗が徳川の使者として大坂城に入ると、淀君らは約束が違うと怒ります。家康は政宗の長男・秀宗に伊予宇和島十万石の所領を与え、大名に取り立てます。生母の猫御前は、仙台から遠く離れた宇和島が不満ですが、孫の千松と離れたくないため秀宗の後見として宇和島へ同行します。
独眼竜政宗 44話「大坂夏の陣」
家康は秀頼に伊勢への転封を命じると、秀頼と淀君が拒否したため再び戦の様相を呈します。徳川勢は堺を掌握し、大坂への武器弾薬の補給路を断ちます。大坂城内では淀君が大軍を率いる徳川勢に動揺しますが、秀頼は覚悟を決めます。元和元年(1615)4月、大坂夏の陣が始まり、大坂方は真田幸村らが抵抗を続けますが、5月には城内に追い詰められて秀頼と淀君が自害し、関ヶ原の合戦から15年で豊臣家は滅亡します。
独眼竜政宗 45話「ふたりの父」
政宗は秀頼と淀君が自害した件で家康に詰め寄るつもりで、京・二条城を訪ねます。しかし、政宗は天下人としての家康の器を改めて思い知り、天下取りの野望を捨てて、天下太平のために尽力することを誓います。一方、忠輝は義父・政宗の力添えもあって階位に叙されることになりましたが、家康と御所に参内(さんだい)する約束を破り、ちっ居謹慎処分になります。政宗は忠輝を救うため、五郎八(いろは)姫に離縁を命じます。
独眼竜政宗 46話「離縁状」
元和元年(1615)8月、政宗を支えてきた片倉小十郎が、伊達家の将来を案じながら59年の生涯を終えます。江戸の伊達屋敷にいる政宗は、忠輝を助けるためには松平と伊達の関係を絶つことが必要と考えていました。そこには伊達と松平を切り離そうとする幕府の思惑もありましたが、五郎八(いろは)姫も夫・忠輝の命を救うほかの術がないと知り、忠輝との離別に同意します。翌年、忠輝は切腹を免れて、伊勢への流罪となります。
独眼竜政宗 47話「天下の副将軍」
元和2年(1616)正月、家康が倒れると、六男の忠輝はちっ居の身でありながら見舞いに駿府へ向かい、途中、江戸・伊達屋敷で五郎八(いろは)姫に再会します。政宗は忠輝が近くにいると家康に伝えると、家康は会いたくても会えないと言って信長から拝領した笛を忠輝への形見として政宗に預け、さらに、副将軍として将軍・秀忠を助けるよう頼みます。4月、家康が息を引き取ると、秀忠は政宗の謀反を疑い、側近を遣わします。
独眼竜政宗 48話「伊達流へそ曲がり」
元和2年(1616)、幕府に仙台藩討伐の動きが出ますが、政宗の嫡男・忠宗に将軍・秀忠の姪(めい)・振姫との縁組みの話が届きます。政宗は、将軍の娘ではなく姪であることにへそを曲げて断ります。すると、秀忠は姪の振姫を自分の養女に迎えて忠宗に嫁がせます。伊達家は将軍家と親族になりました。幕府がキリシタン弾圧と改易、転封を繰り返して支配体制を強化する中、支倉(はせくら)常長がイスパニアから戻ります。
独眼竜政宗 49話「母恋い」
元和8年(1622)、50代半ばの政宗は将軍・秀忠からの信頼も厚く、将軍のご意見番として采配を振るいます。そんな時、幕府は不祥事が続いた東北の名門・最上家に改易の断を下し、政宗に、母・保春院が住む山形城の召し上げを命じます。成実が大軍を率いて赴き、何の支障もなく引き渡しは行われます。政宗は保春院を仙台城に引き取ろうとしますが、保春院は最上家の再興を願って仙台入りを拒みます。
独眼竜政宗 50話(最終話)「大往生」
家光が三代将軍になり、副将軍・政宗の地位は盤石です。母の保春院は晩年を仙台城で過ごし、一生を終えます。寛永2年(1625)、政宗は嫡男・忠宗に家督を譲り、能や詩歌を楽しむ毎日を送ります。しかし、政宗の体はすでに病に侵されていました。政宗は「画像にも木像にも両眼を入れさせろ。来世では両眼でめごの姿を見たい」と愛姫(めごひめ)に言い残し、寛永13年(1636)5月、享年70で大往生を遂げました。
※随時、追記していきます。
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『独眼竜政宗』のみどころと感想
歴代最高視聴率を打ち立てた大河ドラマの金字塔だけあって、ジェームス三木さんの脚本のすばらしさ、伊達政宗を演じた渡辺謙さんをはじめとする豪華キャスティングが全員ハマりすぎでした。
リアルタイムで見ていた頃には気づかなかったのですが、政宗が母と確執を持ち続けていたのは、似た者母子だったからこそ。ということです。母役の岩下志麻さんの気迫のこもった演技に、当時は怖いとしか思わなったのですが、今ではその気持ちも分かります。
また、豊臣秀吉(勝新太郎さん)の怪演と、超大物に相対する渡部謙さんの若くてギラギラした様子が名場面中の名場面だと思います。
政宗の幼少期・梵天丸も藤次郎も素朴で素晴らしくて、愛姫を演じる後藤久美子さんも美しく、序盤から最終話まで日本全国が釘付けになりました。当時「梵天丸はかくありたい」というセリフが大流行しました。
梵天丸が不動明王を見て「化け物のように恐ろしい顔つきの不動明王がなぜ神様なのか」と喜多に聞いて、それに宗乙和尚が「不動明王は悪を追い払う、優しい神だ」と説きます。そして自分の姿を重ね合わせた梵天丸が「梵天丸は、かくありたい」と思います。
子どもから大人まで、なぜここまで『独眼竜政宗』に魅かれたのかを考えると、渡辺謙さんの押し出しの強い太陽のような明るさと、幼い頃に天然痘で右目を失明したという苦悩が混在していて、見る人の心に深く沁み込んだのだと思います。また、器はあるのに時代や天下に選ばれなかった。という点も無常観を強く感じて、最後まで見届けないではいられない作品になったのだと思います。
2022年秋、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」にちなんで金沢文庫「運慶展」に行きました。運慶作「不動明王」の写真をこちらに↓


当時『独眼竜政宗』をリアルタイムで視聴していまして、宗乙和尚が「不動明王が怖い顔をしているのは、悪を懲らしめるため。本当は優しい」と言っていましたが、そうは言っても不動明王の形相は怖いよね…と思った記憶があります。
昨年の大河ドラマ「どうする家康」では松本潤さんが家康を演じましたが「独眼竜政宗」で家康を演じたのは津川雅彦さんで、津川・家康といえば2000年の「葵・徳川三代」でのゴッドファーザーのような凄みのある家康が印象的なのですが、「独眼竜政宗」での津川・家康は、誠実なお人柄でした。
例えるなら「江~おんなたちの戦国」で北大路欣也さんが演じた家康に雰囲気が似ている気がします。

今回改めてじっくり視聴してみまして、当時は気づかなかった義姫(岩下志麻さん)の気持ちや、喜多(竹下景子さん)の姿にジーンときまして、見る側の年月も感じました…。
大河ドラマ「独眼竜政宗」基本情報
最近の大河ドラマでは、悪役だった人が最後にはいい人。になるパターンが多いのですが、伊達政宗の叔父にあたる最上義光(原田芳雄さん演)だけは最後まで食えない人でした。
大河ドラマ | 25作目 |
放送期間 | 1987年1月4日~12月13日 |
全回数 | 全50話(カラー作品) |
原作 | 山岡荘八『伊達政宗』 |
脚本 | ジェームス三木 |
演出 | 樋口昌弘 他 |
音楽 | 坂田晃一 |
キャスト | 伊達政宗:渡辺謙(28) 藤次郎:嶋英二(15) 梵天丸:藤間遼太(7) 愛姫:桜田淳子(29)/後藤久美子(13) 伊達輝宗:北大路欣也(44) 保春院:岩下志麻(46) 喜多:竹下景子(34) 虎哉宗乙:大滝秀治(62) 豊臣秀吉:勝新太郎(56) 徳川家康:津川雅彦(47) 伊達成実:三浦友和(35) 片倉景綱:西郷輝彦(40) 鬼庭左月:いかりや長介(56) 伊達実元:竜雷太(47) 留守政景:長塚京三(42) 茂庭綱元:村田雄浩(27) 松平忠輝:真田広之(27) 最上義光:原田芳雄(47) 高台院:八千草薫(56) 豊臣秀次:陣内孝則(29) 浅野長政:林与一(45) 石田三成:奥田瑛二(37) 大野治長:榎木孝明(31)その他 ( )内は当時の年齢 |
語り | 葛西聖司 |
公式HP | 独眼竜政宗 |
『独眼竜政宗』の再放送スケジュール
2024年4月からBS4Kの「大河ドラマアンコール」で再放送が始まっています。視聴できる環境の方はぜひどうぞ。詳細はこちらの記事をどうぞ↓
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まとめ
1987年放送の大河ドラマ『独眼竜政宗』は、戦国時代末期、陸奥国(現在の青森県、岩手県、宮城県、福島県)を拠点に、仙台藩62万石の礎を築いた「伊達政宗(だてまさむね)」の生涯を描いた作品。
みどころはなんといっても主演の渡辺謙さんの品格の中のギラギラ野性味あふれる演技と、周りをがっちり固める豪華なキャストの気迫に満ちた演技です。
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1.『独眼竜政宗』のあらすじやキャスト、見どころは?
2.『独眼竜政宗』見逃し配信はどこで見られる?
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今も「独眼竜政宗」が大河ドラマの中で一番好きと答える方が多い、名作中の名作です。リアルタイムで見た方も、改めて見るとまた違う感情が湧いてくること必至です。ぜひ、この機会にU-NEXTのNHKオンデマンドで心ゆくまで堪能してください。
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