『光る君へ』38話”まぶしき闇”では、道長は権力の亡者になったのか?壊れていく伊周の恐ろしい姿と、清少納言、和泉式部、まひろ、それぞれの「書く」意味に注目です。
月を見上げながらのまひろ/籐式部と宮の宣旨の会話も心に染みました。
を知りたい方にネタバレあらすじとみどころと「光る君へ」38話の視聴方法をお届けします。
大河ドラマ「光る君へ」の再放送は、地上波では放送翌週の土曜午後1:05から放送されます。
放送後7日以内はNHKプラス、7日過ぎた場合や見逃しイッキ見したい場合には、1話から最新話まで全話配信されているNHKオンデマンドで。
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まひろのメイクの変化を感じました。今回からアイラインをしっかり引いているように見えました。『源氏物語』を書く意味を自覚して迷いがなくなった象徴なのでしょうか。
第38話あらすじ(ネタバレ注意)
まひろ(吉高由里子さん)の元にききょう(ファーストサマーウイカさん)が訪ねてきて、亡き后・定子の思い出を綴った『枕草子』から一条天皇(塩野瑛久さん)の関心を奪ったまひろの物語への思いを打ち明けます。
その後まひろは物語の次の構想を練り始めますが、道長(柄本佑さん)から新たな提案を受けます。一方、中宮・彰子(見上愛さん)と親王に対する呪詛の形跡が見つかり伊周(三浦翔平さん)の関与が明らかに。天皇は道長に相談して処分を検討しますが…。
清少納言も引き込まれた『源氏物語』の魅力はじっとりと根が暗いところ。『枕草子』を書いた明るくカラッとした清少納言もまぶしさの中にある闇に強く惹かれたようです。
「光る君へ」ネタバレあらすじまとめはこちらから↓
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紫式部の生涯。まひろは40歳。
紫式部の生涯を年表にまとめてみました。第38話にあたるのは、赤字の部分です。
年 | 年齢 | 出来事 | 天皇と周辺 |
---|---|---|---|
966年 | 三郎/道長が生まれる | 円融天皇 | |
970年頃? | 1歳 | まひろ/紫式部が生まれる | |
978年 | 8歳 | 三郎/道長と出会う 母・ちやはが亡くなる | |
984年 | 15歳 | まひろが成人する。 父・為時、式部省の役人に。 | 花山天皇即位 |
985年 | 16歳 | 4月7日道隆主催・漢詩の会 | 忯子死去。 |
986年 | 17歳 | 為時、解職。 | 藤原義懐が権中納言に。 一条天皇即位 |
990年 | 21歳 | 藤原定子が一条天皇に入台。 兼家を継ぎ、道隆が関白に | |
993年 | 24歳 | 清少納言が定子に仕える | |
994年 | 25歳 | 都で天然痘が大流行する | |
995年 | 26歳 | 道隆が死去、道兼が死去。 6月 道長が右大臣に 長徳の変 | |
996年 | 27歳 | 父・為時の赴任地・越前に同行。 | 道長、左大臣に。 |
998年 | 29歳 | 帰京。藤原宣孝と結婚。 | |
999年 | 30歳 | 長女・賢子(大弐三位)出産。 | 彰子が一条天皇に入内。 一条天皇と定子に敦康親王誕生 |
1000年 | 31歳 | 定子が皇后、彰子が中宮に。 定子死去。 | |
1001年 | 32歳 | 藤原宣孝と死別。 | |
1004年 | 35歳 | 『源氏物語』執筆開始。 | |
1005年 | 36歳 | 道長の求めで宮仕え開始。 道長の娘・彰子に仕える。 | |
1006年 | 37歳 | 宮仕えを放棄→再び戻る。 | |
1007年 | 38歳 | 『源氏物語』が人気になる。 | |
1008年 | 39歳 | 一条天皇と彰子の間に敦成親王 (後の後一条天皇)誕生 | |
1009年 | 40歳 | 一条天皇と彰子の間に敦良親王誕生 | |
1010年 | 41歳 | 『紫式部日記』執筆開始。 | |
1011年 | 42歳 | 弟・惟規死去。 | 一条天皇が退位。三条天皇即位。 一条天皇死去。 |
1012年 | 43歳 | 彰子が皇太后となる | |
1013年 | 43歳 | 宮仕えを辞める | |
1014~31年 | 44~61歳 | 紫式部死去(諸説あり) | |
1028年 | 道長死去(62歳) |
清少納言、まひろ、泉式部それぞれ「書くこと」の意義
38話ではききょう/清少納言(ファーストサマーウイカさん)、まひろ/籐式部(吉高由里子さん)、あかね/和泉式部(泉里香さん)という平安時代を代表する女流作家が登場します。3人はそれぞれ自分が書く意味をこんな風に話していました。
清少納言「定子さまの灯を守るため、私の命はそのためにある」まひろ「帝の心をとらえる物語を書きたいと思った」和泉式部「書くことで命が再び息づいてきた」
かつて道綱(上地雄輔さん)の母・寧子(財前直見さん)が道長の父・兼家(段田安則さん)との関係を綴った『蜻蛉日記』を書いたのは「己の悲しみを救うため」と語っていたこともあかねとの会話で出てきました。
清少納言のようにただ一途に定子を思い、その行動を貫く人。あかねのように亡き親王との思い出を綴った『和泉式部日記』によって生きる希望を見出す人もいれば、まひろのように教養高く、じっとりと『源氏物語』を書く人もいます。
物語は書かなくても倫子には赤染衛門。彰子に仕える宮の宣旨も、それぞれに家や家族、生きるため以上の思いを持って仕えています。
ドラマの中で清少納言が言っていたように『源氏物語』中国の史実や漢詩がふんだんに盛り込まれた教養の宝庫であり、読者は女性だけでなく、貴族の男性の心もつかんで読み継がれてきました。「自分ごと」と思えるリアリティーも大きな魅力の一つです。
- さまざまな女性の生き方が書かれている
- 史実の摂関政治を彷彿させるリアリティ
- 中国の史実や漢詩が盛り込まれた教養の宝庫
- 草子地による皮肉たっぷりなツッコミで臨場感アップ。
『源氏物語』の1帖”桐壺”の簡単あらすじはこちらからご覧いただけます。「光る君へ」でのオマージュ拾いも独自に考察していますので、よろしければどうぞ↓
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壊れてしまった伊周
一度は弟・隆家の行動で目覚めたかに見えた伊周でしたが、もう呪詛(じゅそ)には負のエネルギーをたくさん使います。「因果応報」と言いますか、人を呪った分、自分にもその報いが訪れることになります。
14話「星落ちてなお」では、道長の妻・明子が亡き父の恨みを晴らすため、義理の父である兼家を呪詛するシーンがありました。明子の呪詛が効いたのかどうかは分かりませんが、兼家は亡くなります。が明子は身ごもっていた道長との子を流産してしまいます。因果応報です。14話「星落ちてなお」のネタバレあらすじはこちらから
伊周は自分も呪詛返しを受けて、恐ろしい状態になっています。
歴代大河ドラマでも呪詛シーンは数多くありますが、人形を噛みきる怪演は三浦翔平さんの伊周が初めてです。
一時は伊周サイドに付くのかと思われた弟の隆家も、兄の様子にギョッとした表情をしていました。辛いですが正気ではない兄になす術はないという悟ったようです。
道長の御嶽詣の辺りからシリアスな演技が連続の隆家を演じる竜星涼さん。大河ドラマ『黄金の日々』で石川五右衛門を演じた根津甚八さんを彷彿させるニヒルな表情に魅かれます。
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道長は父・兼家と同じ道を歩むのか?
ここ数話の道長の政治的な動きを見ていると、「光る君へ」放送当初の兼家そのままなのですが、違いはどこにあるのでしょうか?
38話では道長の顔のアップが2シーンありました。自分と娘・彰子、皇子の三人が呪詛されていたと聞いたシーンで夕日に真っ赤に染まる道長の顔、そして嫡男・頼通に何のために。と説くシーン。カメラ目線のアップにびっくりしました。
カメラの寄せが少しずつ兼家っぽくなってきた気がして仕方なく、心配でたまりません。
道長の目的は「家」のためではなく「民」のため
道長の父・兼家は長男・道隆を日なたの道、次男・道兼は日陰の道と役割を完全に分けて使っていました。当初、三男の道長にはそこまで期待はしていませんでしたが、いち早く安倍晴明が道長の中にある「光」に気付いて、その予言通りに歴史が動いてきています。
兼家はかつて、娘・詮子が生んだ懐仁親王(後の一条天皇)を帝に立てるべく、花山天皇を無理やり出家に追いこんでいくため、流血なしの月夜のクーデターを企てました。
父の無慈悲な行動にどうしても納得がいかない道長は3話「謎の男」で父に「政は何のために行うのですか?」と聞いたことがあります。兼家はきっぱり「家を守るためじゃ」と答えました。兼家の持論では政とは民のためでも帝のためでもなく家を守るために行うものです。
なので、花山天皇を出家に追い込む作戦では、長男道隆、次男道兼、三男道長のうち、誰かが生き残るように思考を張り巡らしていました。
道長の最近の行動を見ていると、父の兼家と何ら違いはないのですが、父とは「何のため」が違います。道長は嫡男・頼通を呼んで話して聞かせます。
道長:家の繁栄のためではない。なすべきはゆるぎなき力を持って民のためによき政を行うことだ。
『光る君へ』38話より
私利私欲のためではなく、究極は民のため。という大義名分があるので、道長の言葉には迷いがありません。
道長本人の中ではこれで納得できていて、信じる道を進んで行けますが、周りから見ると、結局やってることは同じなので、道長が息子・頼通だけでなく、どこまで公卿たちに「目的」を説いて、納得してもらえるかがカギだと思います。
父・兼家のことを恨んでいた詮子も、思考回路や行動は兼家そのものだったので、道長も血は争えないと思います。
若い頃、道長が「全てを捨てて遠くの国に二人で逃げよう」とまひろに言った時に「直秀のように不条理に死んでいく人をなくすために、あなたは政で世の中を変えて」と泣きながら違う道を選んだ二人。
ここで道長が世の中を変えなければ、まひろとの別れが報われません。まひろからも祝福されるような道長でいて欲しいですね。
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まひろの物語と道長の行動
まひろは次に書く章の構想を練っています。紙には「宿命、密通、不義、幸不幸、出家」と書いてあります。前話では『源氏物語』33巻”若菜(上)”。そして光源氏に降嫁した女三宮が柏木と不義密通をして、出家する…36巻以降の構想に入ってきています。
「出家」のワードだけ除外すれば、まひろと道長の関係そのものでもありますね。『源氏物語』と「光る君へ」が完全にリンクしています。
ほかにも、彰子と敦康親王の様子を見た後に『源氏物語』を読んで、彰子よ敦康親王の関係を心配して、元服を急がせる道長の姿がありました。連想ゲームからの道長の取り越し苦労なのか、まひろからの忠告とも受け取れます。
そばにまひろがいる道長は、彰子のことも任せられるまひろに絶対的な信頼を寄せて心の支えにしているのが分かります。ソウルメイトでありビジネスパートナーですね。
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大河紀行めぐり
①神戸・須磨の関跡碑(現光寺)
須磨にあるお寺の中にひっそりとある須磨の関跡。伊周が須磨と明石は遠いと詠んでいましたが、神戸出身の私から見ると近いと思います。都落ちしてきた無念さや寂しさからそう思ったんですね。
②関守稲荷神社
③京都・土御門邸跡
④紫式部邸跡(蘆山寺)
土御門邸から歩いてほんの2~3分のところにある紫式部邸跡。
まとめ
38話”まぶしき闇”では、清少納言、泉式部、そしてまひろの「書く」意味が表現されました。
伊周に呪詛され続け、権力の頂点に立つ道長の「まぶしき闇」が濃くなってきます。それをそばで見ているまひろの悲しみと苦しみが筆を走らせることになります。
38話の放送翌日に須磨の伊周の歌碑と京都に行ってきました。土御門邸跡と紫式部邸跡(蘆山寺)が徒歩2~3分距離だったのが印象的でした。
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