この記事では、全54帖ある超長編『源氏物語』の二十五帖「蛍(ほたる)」のあらすじと主な登場人物を簡単にまとめました。
『源氏物語』二十五帖「蛍(ほたる)」は『光る君へ』では何話のどの辺りのこと?についても独自の考察と感想もお届けします。
『光る君へ』『源氏物語』の両方を楽しんでいただくきっかけになれば幸いです。
大河ドラマ「光る君へ」の全話のあらすじ&感想はこちらからどうぞ。
【源氏物語】二十五帖「蛍(ほたる)」あらすじ。
一言あらすじは?
光源氏は弟のに玉鬘の美しさを見せるべく、蛍を放つという演出を行う。
もうちょっと長いあらすじは?
光源氏の算段によって、光源氏の弟・兵部卿宮と玉鬘は文を交わします。六条院にやってきた兵部卿宮の前で、光源氏は準備していた蛍を几帳の内に放ち、その光で玉鬘の美しさを兵部卿宮見せつけます。予想以上の美しさに心を奪われた兵部卿宮は想いを訴えますが、玉鬘につれなくあしらわれ五月雨の夜に帰っていきます。
玉鬘への恋慕は抑えられないものの、自分の地位などから考えて強引な行動には出ない様子の光源氏。それでもなお玉鬘には言い寄っています。それに耐え兼ねている玉鬘。一方、実父である内大臣は、光源氏の下にいるとは知らずに玉鬘を捜していた。
主な登場人物
光源氏:36歳。
兵部卿宮:光源氏の弟。「蛍」のエピソードから蛍宮、蛍兵部卿宮と呼ばれるようになる。
玉鬘:22歳。花散里が養育している。
二十五帖「蛍(ほたる)」のポイント
五月雨の頃のエピソードで、雨が降っている情景が広がります。
光源氏の玉鬘の養父としての計算と、玉鬘に恋慕の気持ちを抱いている男性としての二面性が描かれているのが有名な「蛍」のエピソード。結婚相手としては申し分のない兵部卿宮に玉鬘の美しさを見せつけて、夢中にさせようという作戦です。実の父だったら、自分の美しい娘をこれでもか、とPRするようなことはしないと思います。自分の彼女の美しさを、他の男に見せびらかしたいような。そんな気持ちが見え隠れします。光源氏の微妙な心模様が描かれていると思います。
そして、光源氏が玉鬘に言い寄っているのは、光源氏と玉鬘しか知らない事実。玉鬘の女房たちの光源氏に対する「良き養父ぶり」を聞くにつけて、玉鬘の心は暗く沈んでいきます。
玉鬘の実の父、内大臣も夢占いで娘が誰かの養女になっていると知ります。息子たちに「気にかけて、そんな噂を聞いたら知らせてくれ」と言い含めていますが、まさか光源氏の養女になっているとは想像もしていません。
「光る君へ」では何話のどの辺りなのか考察、そして感想も。
『光る君へ』では、玉鬘のように御簾の中に蛍を放つというシーンはないのですが、21話”旅立ち”で清少納言(ファーストサマーウイカさん)が定子の身を案じて『枕草子』を書き始める場面で「夏は夜 月の頃は去らなり……」と筆を滑られているシーンで、ふと顔を上げると、無数の蛍が飛び交っていた場面がありました。そして、蛍の明るさが眠りを妨げては。と清少納言が定子が眠っている床の御簾をそっと下げに行きました。
もう一か所、37話”波紋”では、一条天皇が彰子から献上された『源氏物語』装飾本を読む会を開こうと提案して、皆が一堂に会している前で読まれていたのが「蛍」の巻でした。
「光る君へ」は『源氏物語』を土台にして全方位にストーリーを展開しています。
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蛍を事前に捕まえておいて、真っ暗な闇の中に放つ。なんて風流な演出には兵部卿宮でなくても心を奪われますね。
大河ドラマ「光る君へ」の全話ネタバレあらすじはこちらかどうぞ↓
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まとめ
二十五帖「蛍(ほたる)」の簡単あらすじと、「光る君へ」におけるオマージュを探りました。
六条院で繰り広げられる玉鬘の婿選び。蛍の放つ光によって玉鬘の美しさが浮き彫りになる光景は何とも幻想的です。光源氏の感情の揺れもみどころです。
光源氏の行動は玉鬘でなくても「どっちなの?」とツッコミたくなりますが、光源氏自身も自分の気持ちが掴みきれないのかなぁと感じました。
『源氏物語』は54帖の超大作。スキマ時間を利用して3か月かかってやっと読破しました。前半で目の疲れに悩まされて、耳の読書を色々試してみました。その様子はこちらからお読みいただけます。
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「源氏物語」を読んでみたい方におすすめの本7選!
『源氏物語』原文は文字数約100万文字(といってもイメージ沸きませんよね)、400字詰め原稿用紙で約2400枚と言われています。現代語訳だと注釈の言葉も入ってくるので、とんでもない長編小説です。
まずはオーディブルでざっくり内容を把握して、興味のある部分を深堀りしていくことをおススメします。
活字や紙のボリュームを見ると「むり~」と思ってしまいますが、オーディブルだと全体ボリュームに関係なく流れていきますので私には耳での読書が合っていました。
一番売れている現代語訳は角田光代さん版。全8巻です。
現代語訳は瀬戸内寂聴版と与謝野晶子版もおすすめします。
読破するぞと読み始めたものの、須磨の巻あたりでギブアップするのを「須磨がえり」(高床式倉庫のネズミ返しみたいですね)と言うらしいですが、そこまでたどり着けず、二帖”帚木”で「どの巻もこんなに長いの~」と思って諦める人も多いと聞きます。
私は七帖”紅葉賀”で目の疲労に悩まされて、オーディオブック併用にしました。朗読の収録時間は『源氏物語・与謝野晶子版』で70時間。瀬戸内寂聴版で135時間くらいです。途中寝てしまったり、翌日はまた最初から、でもやっぱり意識を失いながら、約3か月で聴き終わりました。
いきなり100万文字の大海に漕ぎ出さず、まずはざっくり『源氏物語』を味わいたい方には、田辺聖子さんの『新源氏物語』がおススメです。一帖”桐壺”がなくて二帖”帚木”から始まっていて、ぎゅっと詰まっています。
参考文献としておススメなのは「紫式部の欲望」。作者の酒井順子さんの着眼点が面白くて、今のご時世だと非難されてしまうかもしれない見解も楽しく読めました。
「イギリスは美味しい」など英国エッセイでご存知の方も多い国文学者の林望先生の源氏物語関連本は、分かりやすく古典に寄せた知見を読めます。「くり返し読みたい」シリーズは特に絵が多くて優しい内容です。
真打ちは林望先生の「謹訳源氏物語」。林望先生の「謹訳平家物語」もとてもいいのですが、源氏物語も読みやすくて、リンボー先生独特の品があります。前書きを読むと内容が予想できるので、ネタバレ不要の方はご注意下さい。
※本ページの情報は2024年11月時点のものです。最新の情報は各公式サイトでご確認下さい。
#源氏物語
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