この記事では、全54帖ある超長編『源氏物語』の十六帖「関屋(せきや)」のあらすじと主な登場人物を簡単にまとめました。
『源氏物語』十六帖「関屋(せきや)」は『光る君へ』では何話のどの辺りのこと?についても独自の考察をお届けします。『光る君へ』『源氏物語』の両方を楽しんでいただくきっかけになれば幸いです。
大河ドラマ「光る君へ」の全話のあらすじ&感想はこちらからどうぞ。
【源氏物語】十六帖「関屋(せきや)」あらすじ。
十六帖「関屋(せきや)」のあらすじを一言で表すと
夫の東国赴任が終わって帰京する途中の空蝉が、石山寺詣の光源氏と逢坂の関で偶然再会する。
では、ざっくりあらすじは?
かつて一度源氏と関係を持ったもののその後一向に源氏になびかなかった空蝉。心の底では源氏に哀切な未練を抱いていた空蝉は、夫の常陸介と共に赴任先から帰京する途中、石山詣でに来ていた源氏と逢坂の関で再会し、彼への感情が揺れ動きます。やがて夫が病死し、血の繋がらない継子の河内守から言い寄られて空蝉は困り果て、それを避けるために密かに出家します。
主な登場人物
光源氏:29歳。空蝉とは17歳の時に強引に関係を結ぶ。
空蝉:源氏と一度関係を持つが、その後も言い寄る源氏を拒絶する。
十六帖「関屋(せきや)」のポイント
二帖「帚木」で無理やり関係を結び、三帖「空蝉」で軒端萩と囲碁をしている様子を垣間見て、空蝉にはセミの抜け殻のような衣だけを残して逃げられ、代わりに軒端萩と関係してしまった源氏。
その源氏と空蝉が逢坂の関でばったり再会します。縁は異なもの味なものです。
百人一首で皆さんご存知の清少納言「夜をこめて 鳥のそらねは はかるとも よに逢坂の 関は許さじ」や、蝉丸の「これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂の関」からも、逢坂の関は、地理上だけではなく、心情的にも結界のようなものと考えらえます。
空蝉は源氏を拒絶し続けてきましたが、心の底では源氏を慕っていました。逢坂の関で再会できたことで、その思いも回収できたのように思いました。
理想の女性を探すべく欲望のままに突っ走っていた若き日の源氏と、今しみじみ元カノたちと文を交わしたり、語り合う源氏。どちらも女性を惹きつけてやみません。
「光る君へ」では何話のどの辺りに出てくる?
39話「とだえぬ絆」大河紀行で逢坂の関が取り上げらていました。まひろの弟・惟規が父・為時の越後への赴任を見送るのに、同行した先で急逝します。惟規は都への思いを残したまま亡くなります。逢坂の関を戻って都に帰れなかった無念さがにじみ出ていました。
15話「おごれる者たち」では、まひろとさわが石山詣に行き、石山寺で道綱がまひろだと思って忍んで来たらさわで「ごめん」と言って退散するシーンがありました。光源氏だと、そこで「ごめん」とはならず軒端萩と関係を持ってしまいますが、そこは『光る君へ』の道綱でした。
そして、27話「宿命の命」で、石山寺で再会した道長とまひろが結ばれ、やがてまひろは賢子を産みます。
また、光源氏と一度は関係したものの、凛とした態度で光源氏を拒絶する芯の強さが、身分や容姿を上回る魅力として光源氏の心をとらえ続けた点で、『光る君へ』のまひろと道長の関係に通じると思いました。
逢坂の関を超えると、都とは別世界だという意識。地方から帰ってきた時は「やっと帰ってきた」と安堵する地点なのだと思います。
「光る君へ」は『源氏物語』を土台にして全方位にストーリーを展開していますね。
大河ドラマ「光る君へ」の全話ネタバレあらすじはこちらかどうぞ↓
『光る君へ』の最新話までのイッキ見にはU-NEXTがおトクです。NHKオンデマンドを31日間無料お試し登録できるのは現時点ではU-NEXTが唯一のサービスです。下の緑のボタンからで1000ポイント付与(通常は600ポイント)!登録はこちらからどうぞ↓
まとめ
十六帖「関屋(せきや)」の簡単あらすじと、「光る君へ」におけるオマージュを探りました。
光源氏が拒絶され続けた空蝉との再会を果たした逢坂の関。行って、その場に立ってみたくなりますね。
『源氏物語』は54帖の超大作。スキマ時間を利用して3か月かかってやっと読破しました。前半で目の疲れに悩まされて、耳の読書を色々試してみました。その様子はこちらからお読みいただけます。
耳からの情報が大丈夫な方でしたらオーディブルがダントツおススメです。オーディブルの30日間無料お試しはこちらから↓
「源氏物語」を読んでみたい方におすすめの本7選!
『源氏物語』原文は文字数約100万文字(といってもイメージ沸きませんよね)、400字詰め原稿用紙で約2400枚と言われています。現代語訳だと注釈の言葉も入ってくるので、とんでもない長編小説です。
まずはオーディブルでざっくり内容を把握して、興味のある部分を深堀りしていくことをおススメします。
活字や紙のボリュームを見ると「むり~」と思ってしまいますが、オーディブルだと全体ボリュームに関係なく流れていきますので私には耳での読書が合っていました。
一番売れている現代語訳は角田光代さん版。全8巻です。
現代語訳は瀬戸内寂聴版と与謝野晶子版もおすすめします。
読破するぞと読み始めたものの、関屋の巻あたりでギブアップするのを「関屋がえり」(高床式倉庫のネズミ返しみたいですね)と言うらしいですが、そこまでたどり着けず、二帖”帚木”で「どの巻もこんなに長いの~」と思って諦める人も多いと聞きます。
私は七帖”紅葉賀”で目の疲労に悩まされて、オーディオブック併用にしました。朗読の収録時間は『源氏物語・与謝野晶子版』で70時間。瀬戸内寂聴版で135時間くらいです。途中寝てしまったり、意識を失いながら、約3か月で聴き終わりました。
いきなり100万文字の大海に漕ぎ出さず、とにかくざっくり『源氏物語』を味わいたい方には、田辺聖子さんの『新源氏物語』がおススメです。一帖”桐壺”がなくて二帖”帚木”から始まっていて、ぎゅっと詰まっています。
参考文献としておススメなのは「紫式部の欲望」。作者の酒井順子さんの着眼点が面白くて、今のご時世だと非難されてしまうかもしれない見解も楽しく読めました。
「イギリスは美味しい」など英国エッセイでご存知の方も多い国文学者の林望先生の源氏物語関連本は、分かりやすく古典に寄せた知見を読めます。「くり返し読みたい」シリーズは特に絵が多くて優しい内容です。
真打ちは林望先生の「謹訳源氏物語」。林望先生の「謹訳平家物語」もとてもいいのですが、源氏物語も読みやすくて、リンボー先生独特の品があります。前書きを読むと内容が予想できるので、ネタバレ不要の方はご注意下さい。
※本ページの情報は2024年11月時点のものです。最新の情報は各公式サイトでご確認下さい。
#源氏物語
コメント