2025年大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華の夢噺〜』は、江戸中期が舞台。主人公は武士でもなければ文化人でもない、出版業者の蔦屋重三郎(通称・蔦重)といういわば一般庶民。
この記事では、これまでの大河ドラマの枠を超えた『べらぼう』から、どんなメッセージを受け取ることができるのできるのか?を管理人独自の視点で考察していきます。
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どうぞ最後までお付き合いただけますよう、お願い申し上げます。
武士が主人公ではない(ここでは男性限定)の過去の大河ドラマたち
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大河ドラマは「武士や合戦」って意味だろと思われた方は「てやんでぇ、べらぼうめ。どう楽しめばいいんだい?」と思われているかもしれません。
そこは皆さまお立合い、大河ドラマ史上、武士が主人公ではない作品は、実はこれまでにも4作品放送されてきてるんですよ。
簡単にご紹介しますと、蔦屋重三郎と同じように、主人公が男性&武士ではなかった過去の大河ドラマは、『花神(1977年)※』『黄金の日々(1978年)』『山河燃ゆ(1984年)』『いだてん~東京オリムピック噺(2019年)』の4作品です。
1977年の『花神(かしん)』は幕末の軍事学者・大村益次郎(ちなみに花神ってのは、花咲かじいさんのこと)、1978年の『黄金の日々』では豪商・助左衛門、1984年の『山河燃ゆ』では日系人通訳が主人公だったんです。
そして、2019年の『いだてん〜東京オリムピック噺〜』では、日本初のオリンピック選手・金栗四三と東京オリンピックを誘致した田畑政治の2人が主人公として描かれていました。明和9年の「メイワクな大火」同様に、迷惑なコロナ禍で東京オリンピックが一年延期になった年でしたね。
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4作品の時代背景はバラバラですが「時代の変革期に新しい視点で挑む人々」の物語という点では共通してるんじゃないでしょうか。
主人公が非武士の大河ドラマについて、詳しくはこちらをどうぞ↓
ちなみに『光る君へ』を初めとする女性が主人公の大河ドラマは全部で15作。詳しくはこちらの記事をどうぞ↓
『べらぼう』 の主人公 蔦屋重三郎とは?
今年の大河ドラマ『べらぼう』で横浜流星さん演じる主人公の蔦重も、「時代の変革期に新しい視点で挑む人」と言えると思います。注目していただきたいのは、これまでの非武士主人公の大河ドラマでは、ほぼ歌舞伎役者さんが主役を演じてこられたんですが、今回、若手俳優の横浜流星さんが主役に抜擢されたという点。
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なぜ、歌舞伎役者ではなく、横浜流星さんなんでしょうね。あなたもそう思いません?
![蔦重さん](https://dramani-hoheto.com/wp-content/uploads/2025/01/tsutajyu-150x150.jpg)
そりゃ、横浜さんと私が似てるからじゃないの?
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もちろん、横浜さんのカッコイイ容姿やずば抜けた身体能力もあると思いますが、一番の理由は、蔦重というキャラクターそのものにあるんだと思いますよ。
![蔦重](https://dramani-hoheto.com/wp-content/uploads/2025/01/tsutajyu-150x150.jpg)
やっぱり私と似てるってことだね。
蔦重は出版業者に留まらず、文化のプロデューサーであり、時代の改革者といえます。蔦重が仕掛けた「宣伝と広告」というビジネス手法、吉原の女郎たちの日常を描いたアプローチなんかは、まさに現代の「ポップカルチャー」と「ビジネスモデル」そのもの。毎日、仕事で資料を作ってプレゼンして交渉しているあなたと同じなんです。
横浜流星さんが演じる理由とその魅力
ちょうど1月5日に1話「ありがた山の寒がらす」が放送されましたが、武士ではない蔦重は「世渡り上手な人たらし」。自分自身には才も財もありませんが、生まれ育った吉原でのネットワークを最大の武器に、横浜流星さんの持つやんちゃで粋な雰囲気と、躍動感ある演技でもって江戸のポップカルチャーと現代ビジネスの交差点をべらぼうに表現してました。
横浜流星さんが蔦重から学んだという「人を信じ、絶対良くなると希望を持つ」姿勢は、現代の私たちにも刺さります。蔦重の情報収集能力や、才能あるクリエイターたちとの協力、吉原の女郎たちへの思いやり、そして時代を動かすプロデュース力。その動き方は現代の若きスタートアップ起業家そのものです。
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そして、横浜流星がインタビューで語られていた「蔦重を生きる」という言葉。第1話を見て、底抜けに明るい蔦重が横浜流星さんと一体となっているのを感じた方も多いと思います。
江戸の遊郭「吉原」とインテマシーコーディネーターの注目点
ここで忘れちゃいけないのが『べらぼう』では吉原という江戸唯一の幕府公認遊郭が大きなパートを占めていることです。合戦や血が流れないなら「色」で気を引こうと思っちゃいそうですけど、大河ドラマ初のインテマシーコーディネーターが制作に参加しているってのも注目ポイントなんです。
インテマシーコーディネーターってのは「映像作品などにおいてヌードや性的な描写があるときに、俳優が精神的にも身体的にも安心安全に演じることができ、かつ演出家の求めるビジョンを最大限に実現するためのスタッフ」って意味で、平たく言うと親密なシーンの撮影にはインテマシーコーディネーターが間に入って演者さんと演出の架け橋になるってこと。
こう聞くと弱者=女性を守るのかいって思いますが、ドラマ『大奥』で性暴力の加害者役を演じた高嶋政伸さんがオファーを受ける前に、自ら「インテマシーコーディネーターをお願いしたい」と制作側に伝えて、制作陣も初めからインテマシーコーディネーターを参加させる予定だった。という話からも、弱者=女性、強者=男性という固定概念はとうの昔に飛び越えて、性別や年齢、キャリアに関係なく演じる人が選ぶ自由と責任を持てるってことなんですよ。
1話では、女郎たちが着物を剝ぎ取られて丸裸の死体で横たわっていましたが、これも撮影現場の勢いでその場で指示でこういう絵になったのではなく、事前に打ち合わせをした上でのこと。だと思うと納得して見れるってもんです。
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見る側も、「やらせじゃないなんだな」「納得してこの表現なんだな」と分かるだけで作品そのものに没入できるってのは不思議なもんですし、極上にいいもんです。
「インテマシーコーディネーター」という役割については、『50ボイス』『見て頂戴スペシャル』で詳しく書いていますので、よろしければご覧ください↓
江戸のメディア革命が描く新しいエンターテインメント
蔦重が掲げた「江戸のメディア革命」は、血で血を洗う戦ではありませんが、教科書には載ってないリアルな歴史を確かに動かしました。蔦重が上の世代の既得権益や既成概念を打ち破って、江戸っ子の粋とユーモアを武器に文化を作り上げていく様子は、まさに「痛快エンターテインメント」そのもの。
江戸の活気ある街並みを背景に、蔦重と仲間たちが織りなすドラマがどのように展開していくのか楽しみでなりません。
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もうこうなってくると武士の主人公が当たり前田のクラッカーなんて時代は遠い昔です。
市井の視点がもたらす大河ドラマの新たな可能性
『べらぼう』は、「英傑」や「戦国の猛将」が登場しない分、一瞬で勝敗が決まる派手な対立ではなく、文化や商売という“市井のドラマ”です。蔦屋重三郎の周囲には、彼の出版物を手にする庶民たちや、その作品に関わる職人や芸術家たちがいて、それが総合力となって時代をイノベーションしていきます。
これまで大河ドラマが描いてきたのは「戦国武将」というトップの物語でしたが『べらぼう』はその逆、「下からの視点」で蔦重が鼻を聞かせ、風を読み、江戸で成り上がっていく姿を見せてくれます。
まとめ
1話をご覧になった方は体感されたと思いますが、武士が主人公じゃなくたって熱くて面白い大河ドラマができるんです。むしろ戦に頼らないからこそ、粋で軽妙な江戸言葉の洒落っ気の中で、人間の業や葛藤がよりリアルに描かれるんだと思います。
『べらぼう』1話”ありがた山の寒がらす”ネタバレあらすじはこちらからどうぞ↓
「武士が主人公じゃない大河ドラマなんてどうなのよ?」って思うのは野暮ってもんです。武士たちの熱血ドラマが好きな方も、庶民文化に興味がある方も、文化と商売の狭間で生きた蔦屋重三郎の物語は現代を生きる私たちの心にべらぼうに響くメッセージを届けてくれるに違いありません。
あなたも極上上吉の読み物をぜひ。
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『べらぼう』の見逃しイッキ見についてはこちらで詳しくご紹介しています↓
本ページの情報は2025年1月時点のものです。最新の情報はU-NEXTサイトでご確認ください。
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