1979年放送の大河ドラマ17作目となる『草燃える』。当時高校生だった三谷幸喜さんも欠かさず見ていたそうです。
『草燃える』は鎌倉幕府を開いた源頼朝の妻・北条政子を中心に、武家社会を築いた頼朝の時代から、北条氏が実権を握り朝廷と対峙する承久の乱までが描かれています。
時代劇なのに、現代口調で演じるという、画期的な手法で制作されました。
原作は永井路子の『北条政子』、『炎環』、『つわものの賦』などです。
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キャストは、北条政子に岩下志麻、源頼朝は石坂浩二、義時は松平健、源頼家には郷ひろみ、源実朝には篠田三郎と、絢爛豪華な顔ぶれです。
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1話あらすじ(ネタバレ注意)
オープニング映像は、伊豆、鎌倉が舞台のドラマらしく、流鏑馬の矢が的を射抜き、雄大な富士山、運慶が彫ったかもしれない仏像に、浜辺を馬がドドドドッと駆け抜けます。
大河ファンにはたまらない絵に期待が高まります。
さて、舞台は伊豆。伊豆半島の小さな豪族・北条家、しっかり者の長男・北条宗時(中山仁)。
武芸より学問を好んでいる弟の義時(松平健)、姉の政子(岩下志麻)や妹の保子/実衣(真野響子)とともに仲良く暮らしています。
架空の人物設定である、義時の親友・伊東祐之(滝田栄)は、政子に恋心を抱いています。
義時と祐之が話をしているところに源氏の嫡流・源頼朝(石坂浩二)と馬を引く安達盛長(武田鉄矢)が通りかかります。
端麗で気品のある頼朝の姿に義時はどこか憧れを抱いています。
北条宗時(中山仁)
義時の兄・宗時は平家の世は終わりだ、坂東の武者による世の中を作りたいと、三浦義村(藤岡弘)、和田義盛(伊吹吾郎)、仁田常忠(中田譲治)ら若手に決起を呼び掛けていました。
挙兵の旗印として頼朝を、そして源氏と北条を結び付けるために頼朝と政子をひっつけようとして画策します。
頼朝からの恋文を装って政子の気を引き、政子は頼朝に恋心を抱きます。
北条と近づきたいと思っていた頼朝も政子の聡明さに魅かれます。
宗時と頼朝の野望が一致しました。
政子(岩下志麻)は山木兼隆(長塚京三)と?
京での役目を終え、父・北条時政が牧の方(大谷直子)を伴って帰ってきました。
政子と頼朝の仲を猛反対し、政子を伊豆の目代・山木兼隆(長塚京三)に嫁がせようとします。
時政は頼朝がいかに女癖が悪いかを政子に話すシーンがあります。
伊東祐親の娘との間に男の子が生まれたが、祐親が激怒し、3歳になる男子を沼に沈めて溺れさせた。
そして、娘は祐親自分の下僕に嫁がせた。と、八重さんのことですね。善児は出てきませんでした。
『鎌倉殿の13人』3話では、時政と義時が目代・山木のもとへご機嫌を取りに挨拶に行きます。時政が持参したナスを踏みにじられ、そのナスを顔に擦り付けられました。
これはかなりの屈辱だと思いましたが、『草燃える』では山木の方が政子に逃げられ、ひどい目にあっています。
『鎌倉殿の13人』3話のあらすじ・感想はこちら
京の都では
この頃、京の都では「義経」と名乗る盗賊が悪事の限りを働いていました。
盗賊の頭に苔丸(黒沢年男)、手下に小観音(かたせ梨乃)、猿太(佐藤蛾次郎)。
自分の名を語られたことに腹を立てた義経(国広富之)本人が登場します。
盗賊と義経に不思議な友情が芽生え、今後の展開に絡んできます。
伊東祐之(滝田栄)が転落の人生に
政子に恋心を抱いていた、祐之(滝田栄)が、かわいそうな役回りをします。
てっきり愛する政子と駆け落ちできると思い込んでいたのに、宗時の策略にまんまとはまりました(政子は頼朝しか目に入っていませんでしたが)。
まるで『卒業』のダスティン・ホフマンように、政子を山木から奪い取り、伊豆山権現まで連れてきたと思ったら、待ち構えていた僧兵に「当て馬」と笑われボコボコにされて、政子は頼朝の元に行ってしまいました。
義時も兄の手伝いをしていたので、祐之からすると、親友にも裏切られたことになります。
これは祐之が人間不信になって当然です。
頼朝と北条に復讐してやる!と義時とも決別します。
以仁王の乱
頼朝の叔父・源行家が以仁王の令旨を持ってきます。
しかし、以仁王の乱はすぐに鎮圧され、頼朝は追討される対象になってしまい、窮地に追い込まれます。
父・大庭景時が北条を攻め込もうとしていると、茜が義時に伝えます。
『鎌倉殿の13人』では、三島のお祭りの日、山木と堤が館にいるかどうかを、義時が川向いに住む八重に聞きに行きます。その後、八重が矢を放って頼朝に知らせていました。
『草燃える』では、義時が茜に大庭軍の出陣の日を聞きます。
茜は義時を愛するあまり、出陣日を教えてしまいます。
そして、北条一族が相談しているところで、義時は葛藤し汗一杯になりながら、8月19日だと皆に伝えます。まだまだ純粋で悩み多き若者です。
『鎌倉殿の13人』では、頼朝がくじを引いて、出陣の日を決めていました。(りくが全部17日のくじを入れていました。)
『草燃える』でも8月17日深夜、山木館に攻め入ります。三島大社のお祭りが8月19日だったそうで、緊迫した17、18,19日の3日間です。
これで勢いづいた頼朝軍は(もう死んでしまってはいるものの)以仁王の令旨を高竿にくくりつて、石橋山へと戦いを進めます。
『鎌倉殿の13人』では、三浦義澄(佐藤B作)が上皇の院宣を京から預かってきたと、時政→安達盛長に手渡していました。大義名分がないと挙兵できませんから。
朝廷からの文は、ドラマの展開に不可欠なパーツです。
源太産衣(げんたうぶい)の鎧、髭切(ひげきり)の太刀
頼朝が悪夢にうなされるシーン。『鎌倉殿の13人』では、後白河法皇(西田敏行)が夢枕に立ちますが、『草燃える』では、頼朝が14歳の頃、追討されそうになった時の記憶です。
頼朝はぐっちゃり寝汗をかき、政子が拭いてあげています。
『鎌倉殿の13人』でも、八重(新垣結衣)が政子(小池栄子)に
「佐殿(大泉洋)は寝汗をかきますから、枕元に手拭いを置いておいて」と伝えていました。
『草燃える』では、頼朝がうなされて「源太の産衣!」と叫び、政子に「鎧と太刀はあるか?」と聞いたときに「源氏嫡流だけに相伝できるもの、源太産衣(げんたうぶい)の鎧、髭切(ひげきり)の太刀は大切にしまってありますよ。」と答えていました。
『鎌倉殿の13人』では源氏嫡流の証として、文覚(市川猿之助)が持ってきた源義朝?のどくろを受け継いでいくことになります。
『鎌倉殿の13人』3話でどくろを掲げて挙兵を決意する最後の場面がシュールです。『鎌倉殿の13人』3話のあらすじ・感想はこちら
頼朝は「自分の運はどん詰まりにきて開くことがある。」と悟り、挙兵することを決意します。
石橋山の戦い
大庭軍と頼朝軍が、互いに朗々と名乗りを上げるシーン。
お互いに挑発しあって、軍勢の士気を上げます。
『鎌倉殿の13人』と同じで、政子を初めとする北条家の女たちは、伊豆山権現に避難しています。
そこでの牧の方(大谷直子)と実衣(真野響子)のわちゃわちゃとしたやりとりは『草燃える』も『鎌倉殿の13人』も同じ様子です。実衣がドライフルーツ好きなのも同じです。
石橋山の戦いに大敗して、頼朝一行は山中に隠れています。
梶原景時(江原真二郎)が隠れている頼朝を見逃します。
三浦に援軍を求めに行った宗時は伊東祐之との一騎打ちで、命を落とします。善児は出てきません。
祐之は宗時に顔を斬られ、顔には大きな刀傷が残ります。
『鎌倉殿の13人』では、
宗時は、頼朝が館に置いてきた観音菩薩像を取りに行くという設定でした。
日が暮れる寸前、宗時と義時の別れ。名シーンです。
北条家の次の総領は宗時だと大いに期待していた時政ですが、宗時が討ち死にしたと聞き、義時よ頑張れ。という場面で締めくくられます。義時にはまだ自覚が芽生えていません。
男女の愛憎劇
『草燃える』の脚本はドロドロ愛憎劇の大家・中島丈博さんです。ドラマ「失楽園」や「真珠婦人」などを手掛けられた中島さんによる『草燃える』は、男女の色恋や親子の愛憎で物語が展開していきます。
1話も政子も頼朝と一緒になれなければ死ぬとか、「あなた~」のようなシーンが、たくさんあります。
伊東祐之も政子に夢中になったがゆえに身の破滅につながりましたし、茜と義時も熱情的な愛です。
大姫が生まれて、しばらくの間の政子の幸せいっぱいな様子も、岩下志麻さんが演じるとどこか妖艶になります。
まとめ
『草燃える』1話の最後では上総広常も畠山重忠も頼朝側についたところまでサラッと描かれています。ここから頼朝の快進撃が始まります。歴史が動く瞬間です。
義時の思い人は、敵・大庭景時の娘・茜(松坂慶子)という設定です。
架空の人物設定の、茜(松坂慶子)と祐之(滝田栄)が『草燃える』の愛憎劇に非常に大事な役割を担っていきます。
茜に至っては、後半に二役の「小夜菊」という名前で義時の前に再登場します。
『草燃える』4話あらすじと感想
『草燃える』最終話5話あらすじと感想
義時を演じるのは『鎌倉殿の13人』では平清盛を演じている松平健さんです。
美しい顔立ちと、よく通る声で、まだおどおどしている義時を好演されています。
43年後には平清盛を演じるとは想像もされていなかったと思います。
小栗旬さんや片岡愛之助さんが、将来どんな役をされるのか楽しみです。
『草燃える』と『鎌倉殿の13人』の二作品を並べて視聴して、同じように描かれている場面、どくろと伝来の鎧のように作品によって違う描かれ方をしている物を比べるのも楽しいです。
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最後までお読みいただき、ありがとうございます。大河ドラマよ永遠に♪
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