この記事では、全54帖ある超長編『源氏物語』の二十八帖「野分(のわき)」のあらすじと主な登場人物を簡単にまとめました。
『源氏物語』二十八帖「野分(のわき)」は『光る君へ』では何話のどの辺りのこと?についても独自の考察と感想もお届けします。
『光る君へ』『源氏物語』の両方を楽しんでいただくきっかけになれば幸いです。
大河ドラマ「光る君へ」の全話のあらすじ&感想はこちらからどうぞ。
【源氏物語】二十八帖「野分(のわき)」あらすじ。
一言あらすじは?
野分に襲われた六条院を夕霧が見舞いに訪れ、偶然にも紫の上を垣間見てしまう。
もうちょっと長いあらすじは?
8月のある日、激しい野分(台風)に六条院も襲われます。見舞いに訪れた夕霧は偶然、紫の上の姿を垣間見てしまい、その美貌に心が惑います。
翌日、源氏は夕霧を連れて、六条院の女君たちを順に見舞いに訪れます。玉鬘の元へ光源氏が訪れた時、こっそりと覗き見た夕霧は、玉鬘の美しさに見とれると共に、光源氏と玉鬘の親子とは思えないふるまいに一種の嫌悪感を覚えます。
主な登場人物
光源氏:36歳。
紫の上:28歳。
玉鬘:22歳。光源氏から言い寄られて困っていたが、近江の君と我が身を照らし合わせ、光源氏に感謝し始めている。
夕霧:15歳。偶然垣間見てしまった紫の上の美しさに心奪われる。
二十八帖「野分(のわき)」のポイント
六条院に野分(台風)が襲った日の翌日のことが描かれています。美しく整えられた庭園の草花もすべてなぎ倒され、それを童子たちが集めているさまや、強風に怖がる女君たちの姿が美しく描かれています。
庭の萩が気になった紫の上が、外に近い場所に出てきます。見舞いに来ていた夕霧が何気なく開いていた妻戸の奥を覗くとそこに美しい紫の上がいて夕霧は心を奪われてしまいます。「垣間見(かいまみ)」の名場面です。紫の上は、五帖「若紫」では、光源氏に垣間見られて、引き取られ、そして光源氏と生涯を共にすることになりますので、たぐいまれな美貌と雰囲気の持ち主だったのでしょう。
その次に夕霧は玉鬘も垣間見てしまいます。玉鬘の美しさにも惹かれますが、それよりも父・光源氏が玉鬘と親子らしからぬ接し方をしている点に、気持ち悪さを感じます。
「野分」という自然のアクシデントによって六条院はいつもと様相が違っていて、年若い夕霧の心はかき乱れます。
与謝野晶子版と瀬戸内寂聴版では「光源氏の玉鬘への思い」の現代語訳が若干違います。それぞれの解釈を楽しむことできますので、ぜひ読み(聴き)比べて見て下さい。
「光る君へ」では何話のどの辺りなのか考察、そして感想も。
『光る君へ』では、『源氏物語』のような「垣間見」のシーンこそありませんが、母・定子を亡くし藤壺の彰子に養育された敦康親王が彰子に「御簾を乗り越えて」いった時の感情は、夕霧が継母の位置にあたる紫の上を見て心奪われるた感情に通じるところがあります。
若い夕霧が、父・光源氏の玉鬘への接し方を垣間見て、気持ち悪いと感じたのは健全な青年の証拠なので、読んでいて好ましく感じました。そして、後に光源氏と玉鬘は実の親子ではなかったからだ。と納得するのも書かれているので、夕霧は今ちょうどプレーボーイ学を学んでいる過程だと感じました。
台風に襲われた翌日には、面倒を見ている女性たちのもとへ様子伺いをするという光源氏のマメさと気配り上手こそ、源氏の「モテ」の要因だとも思いました。
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まとめ
二十八帖「野分(のわき)」の簡単あらすじと感想、「光る君へ」におけるオマージュを探りました。
野分の翌日の六条院の様子。艶やかな女性たちの様子と光源氏の粋な計らいの数々。夕霧は色々学んだことでしょう。
風流人の気配り、目配りは、さすが光源氏です。
『源氏物語』は54帖の超大作。スキマ時間を利用して3か月かかってやっと読破しました。前半で目の疲れに悩まされて、耳の読書を色々試してみました。その様子はこちらからお読みいただけます。
『光る君へ』の放送が終了した2024年12月には『源氏物語』の2周目も聴き終えて、まひろへの新たな気付きがありました。そのことを書いた記事が『天狼院書店メディアグランプリ』に掲載されました。よろしければこちらもどうぞ↓
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「源氏物語」を読んでみたい方におすすめの本7選!
『源氏物語』原文は文字数約100万文字(といってもイメージ沸きませんよね)、400字詰め原稿用紙で約2400枚と言われています。現代語訳だと注釈の言葉も入ってくるので、とんでもない長編小説です。
まずはオーディブルでざっくり内容を把握して、興味のある部分を深堀りしていくことをおススメします。
活字や紙のボリュームを見ると「むり~」と思ってしまいますが、オーディブルだと全体ボリュームに関係なく流れていきますので私には耳での読書が合っていました。
一番売れている現代語訳は角田光代さん版。全8巻です。
現代語訳は瀬戸内寂聴版と与謝野晶子版もおすすめします。
読破するぞと読み始めたものの、須磨の巻あたりでギブアップするのを「須磨がえり」(高床式倉庫のネズミ返しみたいですね)と言うらしいですが、そこまでたどり着けず、二帖”帚木”で「どの巻もこんなに長いの~」と思って諦める人も多いと聞きます。
私は七帖”紅葉賀”で目の疲労に悩まされて、オーディオブック併用にしました。朗読の収録時間は『源氏物語・与謝野晶子版』で70時間。瀬戸内寂聴版で135時間くらいです。途中寝てしまったり、翌日はまた最初から、でもやっぱり意識を失いながら、約3か月で聴き終わりました。
いきなり100万文字の大海に漕ぎ出さず、まずはざっくり『源氏物語』を味わいたい方には、田辺聖子さんの『新源氏物語』がおススメです。一帖”桐壺”がなくて二帖”帚木”から始まっていて、ぎゅっと詰まっています。
参考文献としておススメなのは「紫式部の欲望」。作者の酒井順子さんの着眼点が面白くて、今のご時世だと非難されてしまうかもしれない見解も楽しく読めました。
「イギリスは美味しい」など英国エッセイでご存知の方も多い国文学者の林望先生の源氏物語関連本は、分かりやすく古典に寄せた知見を読めます。「くり返し読みたい」シリーズは特に絵が多くて優しい内容です。
真打ちは林望先生の「謹訳源氏物語」。林望先生の「謹訳平家物語」もとてもいいのですが、源氏物語も読みやすくて、リンボー先生独特の品があります。前書きを読むと内容が予想できるので、ネタバレ不要の方はご注意下さい。
※本ページの情報は2024年12月時点のものです。最新の情報はU-NEXTや各公式サイトでご確認下さい。
#源氏物語
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