この記事では、全54帖ある超長編『源氏物語』の二十帖「朝顔(あさがお)」のあらすじと主な登場人物を簡単にまとめました。
『源氏物語』二十帖「朝顔(あさがお)」は『光る君へ』では何話のどの辺りのこと?についても独自の考察と感想もお届けします。
『光る君へ』『源氏物語』の両方を楽しんでいただくきっかけになれば幸いです。
大河ドラマ「光る君へ」の全話のあらすじ&感想はこちらからどうぞ。
【源氏物語】二十帖「朝顔(あさがお)」あらすじ。
二十帖「朝顔(あさがお)」のあらすじを一言で表すと
斎院を退いた朝顔の元に光源氏は訪れて長年の思いを伝えるも、朝顔は取り合わない。
では、ざっくりあらすじは?
桐壺帝の弟・桃園式部卿宮の姫君で、光源氏のいとこにあたる朝顔は、かつて光源氏が熱心に求愛したいた人。父・式部卿宮が亡くなり、朝顔は斎院から退き桃園宮に移った。斎院を退いて恋ができるようになった朝顔に光源氏は会いに行ったり、和歌を送ったり猛アタックしますが、返事はつれないものでした。二条院へ戻っても朝顔のことばかり考えている光源氏に紫の上は思い悩む。
主な登場人物
光源氏:32歳。内大臣という社会的地位から、若い頃のような奔放な恋はできないと自覚。
紫の上:24歳。源氏の正妻。光源氏が寄せる身分の高い朝顔への思いに悩む。
朝顔の姫宮:源氏からの求愛を拒み続ける。
二十帖「朝顔(あさがお)」のポイント
光源氏の求愛を拒み通した唯一の女性・朝顔の巻です。本当は光源氏に思いを寄せているものの、斎院として8年間務めた朝顔は花の盛りを過ぎたと自覚しているようで、光源氏とは美しいまま心の奥にしまっておきたいという思いだったようです。藤壺を失った悲しみから立ち直れない光源氏は都で噂になるほど、朝顔に執着しています。高貴な朝顔との噂は、正妻の紫の上は平常心ではいられません。
よせばいいのに、これまでの女性遍歴を紫の上に話して聞かせる光源氏。この頃の正妻の役目は「夫の相談相手になる」「夫に香を焚いてあげる」「装束を準備する」とのことですが、気遣いの光源氏も紫の上にはすっかり心を許してしまっていたようです。
光源氏の夢枕に「秘密をバラしたわね」と藤壺が立ち、横で寝ていた紫の上は金縛りに合います。
光源氏がどんなに頑張っても手に入れることのできなかったのが朝顔と言うことになっています。若い時の勢いではなく、地位も名誉もある壮年になったからの恋は難しいという象徴でもあります。
「光る君へ」では何話のどの辺りなのか考察、そして感想も。
『光る君へ』で「朝顔」そのものズバリという場面はないものの、まひろの弟・惟規(高杉真宙さん)が34話”目覚め”で、まひろに「神の斎垣を越えるかも、俺」とドッキリ発言をして、35話”中宮の涙”で、男子禁制の斎院の塀を越えて斎院の中将(小坂菜緒さん)に会いに行って、捕らえられるシーンがありました。
惟規がとっさに詠んだ「神垣は木の丸殿にあらねども名乗りをせねば人咎めけり」という歌が斎院の選子内親王に気に入られ、お咎めなし。という展開でした。歌人としての実力が認めらた惟規のエピソードはまさに「芸は身を救う」です。
「超えてはいけない斎垣を超える」というハードルの高さこそ、恋の炎を燃え上がらせる原動力になるのかもしれなくて、「朝顔」における、斎院を退いたものの手が届かないかもしれない朝顔への執拗なまでの求愛は、光源氏が内大臣としての地位をわきまえつつ、挑戦できる最高峰の壁なのかもしれません。
『光る君へ』の惟規は都に思いを残したまま、父・為時に見守られて亡くなりました。
「光る君へ」は『源氏物語』を土台にして全方位にストーリーを展開していますね。
大河ドラマ「光る君へ」の全話ネタバレあらすじはこちらかどうぞ↓
『光る君へ』の最新話までのイッキ見にはU-NEXTがおトクです。NHKオンデマンドを31日間無料お試し登録できるのは現時点ではU-NEXTが唯一のサービスです。下の緑のボタンからで1000ポイント付与(通常は600ポイント)!登録はこちらからどうぞ↓
まとめ
二十帖「朝顔(あさがお)」の簡単あらすじと、「光る君へ」におけるオマージュを探りました。
冷泉帝に光源氏の養女として入内した秋好中宮(六条御息所の娘)は斎宮、光源氏の求愛をやんわり振り切った朝顔の姫君は斎院を務めていました。光源氏でも思いが遂げられない恋があるという「朝顔」の巻でした。
惟規は超えた神の斎垣。平安時代の男子はチャレンジャー揃いですね。
『源氏物語』は54帖の超大作。スキマ時間を利用して3か月かかってやっと読破しました。前半で目の疲れに悩まされて、耳の読書を色々試してみました。その様子はこちらからお読みいただけます。
耳からの情報が大丈夫な方でしたらオーディブルがダントツおススメです。オーディブルの30日間無料お試しはこちらから↓
「源氏物語」を読んでみたい方におすすめの本7選!
『源氏物語』原文は文字数約100万文字(といってもイメージ沸きませんよね)、400字詰め原稿用紙で約2400枚と言われています。現代語訳だと注釈の言葉も入ってくるので、とんでもない長編小説です。
まずはオーディブルでざっくり内容を把握して、興味のある部分を深堀りしていくことをおススメします。
活字や紙のボリュームを見ると「むり~」と思ってしまいますが、オーディブルだと全体ボリュームに関係なく流れていきますので私には耳での読書が合っていました。
一番売れている現代語訳は角田光代さん版。全8巻です。
現代語訳は瀬戸内寂聴版と与謝野晶子版もおすすめします。
読破するぞと読み始めたものの、絵合の巻あたりでギブアップするのを「絵合がえり」(高床式倉庫のネズミ返しみたいですね)と言うらしいですが、そこまでたどり着けず、二帖”帚木”で「どの巻もこんなに長いの~」と思って諦める人も多いと聞きます。
私は七帖”紅葉賀”で目の疲労に悩まされて、オーディオブック併用にしました。朗読の収録時間は『源氏物語・与謝野晶子版』で70時間。瀬戸内寂聴版で135時間くらいです。途中寝てしまったり、意識を失いながら、約3か月で聴き終わりました。
いきなり100万文字の大海に漕ぎ出さず、とにかくざっくり『源氏物語』を味わいたい方には、田辺聖子さんの『新源氏物語』がおススメです。一帖”桐壺”がなくて二帖”帚木”から始まっていて、ぎゅっと詰まっています。
参考文献としておススメなのは「紫式部の欲望」。作者の酒井順子さんの着眼点が面白くて、今のご時世だと非難されてしまうかもしれない見解も楽しく読めました。
「イギリスは美味しい」など英国エッセイでご存知の方も多い国文学者の林望先生の源氏物語関連本は、分かりやすく古典に寄せた知見を読めます。「くり返し読みたい」シリーズは特に絵が多くて優しい内容です。
真打ちは林望先生の「謹訳源氏物語」。林望先生の「謹訳平家物語」もとてもいいのですが、源氏物語も読みやすくて、リンボー先生独特の品があります。前書きを読むと内容が予想できるので、ネタバレ不要の方はご注意下さい。
※本ページの情報は2024年11月時点のものです。最新の情報は各公式サイトでご確認下さい。
#源氏物語
コメント