『光る君へ』35話”中宮の涙”では、中宮・彰子の思いがあふれて、一条天皇の心を揺さぶりました。
道長がまひろの娘・賢子が実は我が子だと悟った場面や、彰子が『源氏物語』の若紫に自分を投影する場面、一条天皇が雪を見て定子への気持ちに区切りをつける場面など『源氏物語』の世界観たっぷりな35話でした。
を知りたい方にネタバレあらすじとみどころと「光る君へ」35話の視聴方法をお届けします。
大河ドラマ「光る君へ」の再放送は、地上波では放送翌週の土曜午後1:05から放送されます。
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一条天皇が彰子の元に渡る折に雪を見あげて定子への愛に決着をつけた姿が、光源氏と葵上、そして若紫と重なります。
第35話あらすじ(ネタバレ注意)
道長(柄本佑さん)は中宮・彰子(見上愛さん)の懐妊祈願のため、息子の頼通(渡邊圭祐さん)と共に御嶽詣へ向かいます。
苦しい思いをしながらも無事に経典の奉納を終えた金峯山寺からの帰り道、伊周(三浦翔平さん)が武者を引き連れ、不穏な動きを見せます。
そのころ、まひろ(吉高由里子さん)の書く物語に興味を持った一条天皇(塩野瑛久さん)が、まひろに物語の真意を尋ねて自身の境遇を重ねます。そしてまひろは彰子の本心を知ります。
隆家(竜星涼さん)の兄・伊周へのすまない気持ちと、兄のことを思っての行動が良かったですね。
「光る君へ」ネタバレあらすじまとめはこちらから↓
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紫式部の生涯。まひろは38歳。
紫式部の生涯を年表にまとめてみました。第35話にあたるのは、赤字の部分です。
年 | 年齢 | 出来事 | 天皇と周辺 |
---|---|---|---|
966年 | 三郎/道長が生まれる | 円融天皇 | |
970年頃? | 1歳 | まひろ/紫式部が生まれる | |
978年 | 8歳 | 三郎/道長と出会う 母・ちやはが亡くなる | |
984年 | 15歳 | まひろが成人する。 父・為時、式部省の役人に。 | 花山天皇即位 |
985年 | 16歳 | 4月7日道隆主催・漢詩の会 | 忯子死去。 |
986年 | 17歳 | 為時、解職。 | 藤原義懐が権中納言に。 一条天皇即位 |
990年 | 21歳 | 藤原定子が一条天皇に入台。 兼家を継ぎ、道隆が関白に | |
993年 | 24歳 | 清少納言が定子に仕える | |
994年 | 25歳 | 都で天然痘が大流行する | |
995年 | 26歳 | 道隆が死去、道兼が死去。 6月 道長が右大臣に 長徳の変 | |
996年 | 27歳 | 父・為時の赴任地・越前に同行。 | 道長、左大臣に。 |
998年 | 29歳 | 帰京。藤原宣孝と結婚。 | |
999年 | 30歳 | 長女・賢子(大弐三位)出産。 | 彰子が一条天皇に入内。 一条天皇と定子に敦康親王誕生 |
1000年 | 31歳 | 定子が皇后、彰子が中宮に。 定子死去。 | |
1001年 | 32歳 | 藤原宣孝と死別。 | |
1004年 | 35歳 | 『源氏物語』執筆開始。 | |
1005年 | 36歳 | 道長の求めで宮仕え開始。 道長の娘・彰子に仕える。 | |
1006年 | 37歳 | 宮仕えを放棄→再び戻る。 | |
1007年 | 38歳 | 『源氏物語』が人気になる。 | |
1008年 | 39歳 | 一条天皇と彰子の間に敦成親王(後の後一条天皇)誕生 | |
1009年 | 40歳 | 一条天皇と彰子の間に敦良親王誕生 | |
1010年 | 41歳 | 『紫式部日記』執筆開始。 | |
1011年 | 42歳 | 弟・惟規死去。 | 一条天皇が退位。三条天皇即位。 一条天皇死去。 |
1012年 | 43歳 | 彰子が皇太后となる | |
1013年 | 43歳 | 宮仕えを辞める | |
1014~31年 | 44~61歳 | 紫式部死去(諸説あり) | |
1028年 | 道長死去(62歳) |
道長、頼通親子の御嶽詣
道長(柄本佑さん)は、娘・彰子(見上愛さん)の幸せを祈願するために息子・頼通(渡邊圭祐さん)、俊賢(本田大輔)と共に、御嶽詣へ出発しました。
34話で道長が頼通に言っていましたが、御嶽詣の前には100日間「酒肉欲色」を絶たなければならないそうで平安貴族の皆さんには苦行そのものです。
日頃、徒歩ではなく牛車や馬で移動している平安貴族の皆さんが、悪天候の中、断崖をよじ登るなんて想像を絶する過酷な行程です。道長は食事もとれないほど疲れ切っていました。俊賢は崖から落ちそうになって烏帽子も取れてしまって、道長の息子・頼通が救うシーンもありました。
苦難の末、都を出発して9日目にやっと道長が書き写した経典を納めることができましたが、この執念ともいえる道長の御嶽詣の意味は、いわゆる「神頼み」の他に、内外に自分の固い決意を示すという狙いもあるのだと感じました。
伊周が狙ったのは道長ではない???
御嶽詣の帰路、伊周に矢で射られそうになった道長。間一髪のところで、突然現れた隆家が「落石が多いからこちらへ」と道長を救います。隆家のこの行動で暗殺は阻止されました。
その後、隆家は伊周から「なぜ邪魔をするのか」と問いただされます。伊周は自分が止めるのも聞かず隆家が花山院の牛車に放った矢が全てを狂わせたと言い、それでも隆家のことを「恨んだ覚えはない」と語ります。
隆家も「(伊周を)大切に思うゆえ、過ちの詫びなのだ」と阻止した理由を打ち明けます。
普段、飄々としている隆家の本音が聞けたこの場面にジーンときました。
最終的に暗殺は阻止されましたが、伊周の「道長を狙うつもりはない」という言葉。気になりますね。
『源氏物語』によって解き明かされる賢子の父
道長は娘・彰子に御嶽詣の報告と護符を渡しに訪れたあと、まひろ/籐式部の局にも足を運びます。そして彼女が昨晩書きあげた『源氏物語』若紫の巻を読みます。
若紫の段を二人で読んでいる姿はしみじみいい感じです。
雀の子を犬君(いぬき)が逃がしつる(雀の子を犬君が逃がしてしまったの)
『源氏物語』五帖”若紫”
光源氏が若紫を初めて見たくだりで、昔の思い出を懐かしんで二人は微笑み合います。
ですが、光源氏と継母・藤壺の密通の場面では道長の顔が曇ります。おそらく道長は彰子と敦康親王の関係を連想して心配になったのかもしれません。
道長が「この話はどういうつもりで書いたのか」と尋ねると、まひろは「わが身に起こったことです」と答えます。
えー!ここでこういう展開に持っていくの?と思われた方が多いと思います。私もその一人です。
「お前は不義の子を産んだのか」の問いにまひろは禅問答のような答えをしていましたが、去り際に道長が廊下で足をとめた様子から、まひろの娘・賢子の父が自分だと悟ったようです。
といいますか、ここまで道長は賢子が我が子だと気づいていなかったんですね。ぼーっとした三男坊・道長の真骨頂ですね。
まひろからの何とも絶妙なメッセージだとも受け取れる藤壺出産のくだりには『源氏物語』若紫の巻に書かれています。【源氏物語】五帖「若紫(わかむらさき)」簡単あらすじ&登場人物で詳しく解説しています。ご興味のある方はぜひ。
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「若紫」は下の画像から試し聴きできます。
源氏物語 第五帖 若紫
彰子が涙で一条天皇に思いを届けます
『源氏物語』若紫の巻を読んだ彰子は、幼くして源氏に養育され始めた若紫に自分を投影しました。
そして彰子はまひろに若紫が「光る君の妻になるのが良い」、「なれるようにしておくれ」と頼みます。その言葉を聞いて、まひろは彰子が一条天皇を慕っていることに気付きます。
「その息付くお心のうちを帝にお伝えなさいませ。」と伝えた途端、涙があふれる彰子。そこに現れた一条天皇に彰子は泣きながらあふれんばかりの思いを伝えます。
彰子のピュアで直球の告白。一条天皇は突然の彰子の様子にたじろいで「また来る」とその場を立ち去りましたが、しっかり想いを受け止めて、その夜「藤壺に渡る」と道長に伝えました。
まひろもびっくりな展開です。まひろの物語や言葉によって、自分でも気づいていなかった心の内にハッと気づいて、せき止められない気持ちが彰子からあふれ出た瞬間でした。
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一条天皇の定子への思い
彰子の思いを受け止めて、藤壺に渡る一条天皇。その視線の先には雪が。定子との思い出(16話”華の影”の香炉峰の雪)を噛みしめるように雪を見上げる一条天皇。定子を大切なフォルダーに収めた瞬間です。
一条天皇も彰子も心の奥底に辛さや悲しさをじっとためていましたが、まひろの紡ぐ物語によって心が開かれていきました。彰子は大きく心を揺さぶられ、それが一条天皇に届いたのです。
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『源氏物語』の魅力:リアリティー
35話では、まひろの書く『源氏物語』を読む人が「自分のこと」と自己投影する様子が多く見られました。
『源氏物語』は光源氏の華麗なる恋愛小説と捉えられることが多いですが、実は中国の史実や漢詩がふんだんに盛り込まれた教養の宝庫であり、読者は女性だけでなく、貴族の男性の心もつかんで読み継がれてきました。「自分ごと」と思えるリアリティーも大きな魅力の一つです。
- さまざまな女性の生き方が書かれている
- 史実の摂関政治を彷彿させるリアリティ
- 中国の史実や漢詩が盛り込まれた教養の宝庫
- 草子地による皮肉たっぷりなツッコミで臨場感アップ。
『源氏物語』の1帖”桐壺”の簡単あらすじはこちらからご覧いただけます。「光る君へ」でのオマージュ拾いも独自に考察していますので、よろしければどうぞ↓
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まとめ
35話”中宮の涙”では、中宮・彰子のあふれる思いに心が揺さぶられました。
隆家の兄を思う気持ちと道長がやっと悟った事実も。今後の展開が気になります。
まひろの弟・惟規は34話での予告通り、神の斎垣(いがき)を越えてしまいました。歌で救われたのはやはりまひろの弟!ですね。
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