この記事では、全54帖ある超長編『源氏物語』の九帖「葵(あおい)」のあらすじと主な登場人物を簡単にまとめました。
『源氏物語』九帖「葵」は、2024年大河ドラマ『光る君へ』では何話のどの辺りのこと?についても独自の考察をお届けします。『源氏物語』と『光る君へ』の両方を楽しんでいただくきっかけになれば幸いです。
大河ドラマ『光る君へ』の全話のあらすじ&感想はこちらからどうぞ。
【源氏物語】九帖「葵(あおい)」あらすじ。
九帖「葵」のあらすじを一言で表すと
源氏の君をめぐる車争い、六条御息所の生霊が葵の上を襲う悲劇。
では、ざっくりあらすじは?
桐壺帝に代わり、源氏の君の兄・朱雀帝が即位する。賀茂祭に先立つ斎院御禊にお供する源氏の君を一目見ようと人々が集まる中、正妻の葵の上と、愛人である六条御息所の間で牛車を停める場所をめぐりいさかいが起こる(車争い)。辱めを受けた六条御息所は、生霊となって葵の上を苦しめる。葵の上は男子(のちの夕霧)を出産後、息を引き取る。悲しみに暮れる源氏の君だが、喪が明け源氏の君はすっかり大人びた紫の上と契りを交わす。
主な登場人物
光源氏:22歳
六条御息所:教養が深く気品あふれる元東宮后。源氏の愛人。
葵の上:26歳。源氏の正妻。
紫の上:14歳。
九帖「葵(あおい)」のポイント
「車争い」という正妻・葵の上と愛人・六条御息所の修羅場、のちの夕霧となる男子の誕生と正妻・葵の上の死、幼妻・紫の上との結婚。と九帖「葵」は見どころが盛りだくさんの巻です。
六条御息所は自覚のないまま生霊となって葵の上に襲いかかります。自分が生霊となったことを、我が身についた芥子の匂い(邪気を払う時に焚くお香)で悟る六条御息所が憐れですし、ようやく夫婦らしくなってきた源氏の君と葵の上の幸せが長く続かなかったのもあわれです。
葵の上と結婚当初から仲睦まじいと、源氏の君の女性遍歴物語は成立しなかったので、致し方ないのかもしれませんが…
そして、悲しみを癒すかのように、源氏は紫の上と契りを交わします。紫の上は裳着の儀もまだで、思いもよらぬ源氏の君の仕打ちにショックが隠せません。のちに紫の上は正妻格になっていくものの、最後まで正妻にはなれずに終わります。
惟光が「お餅を」と源氏の君から指示されて、ピンとくるところなど、『光る君へ』の百舌彦と同じように一心同体なんだと思いました。
「光る君へ」では何話のどの辺りに出てくる?
葵の上の出産シーンは、中宮・彰子の出産シーンと重なります。六条御息所のオマージュとしては、道長の妻・明子が兼家を呪詛している姿があげられます。
『光る君へ』では、彰子に生霊が襲い掛からなくてホッとしました。彰子の出産の記録は『紫式部日記』にも記されていて、『光る君へ』の中では、道長がまひろに彰子の出産の一部始終を記録してくれ。と依頼していました。
「光る君へ」は『源氏物語』を土台にして全方位にストーリーを展開していますね。
大河ドラマ「光る君へ」の全話ネタバレあらすじはこちらかどうぞ↓
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まとめ
九帖「葵(あおい)」の簡単あらすじと、「光る君へ」におけるオマージュを探りました。
正妻と愛人のバトル、愛人の六条御息所が生霊になったのはそれなりの理由があったこと。そして、葵の上の死と次の世代へと続く夕霧の誕生、紫の上が源氏の妻となっていく、という読み応え満点の九帖です。
六条御息所は嫉妬心の外に、自分の自尊心が傷つけられたことに耐え切れず生霊になってしまったんですね。
『源氏物語』は54帖の超大作。スキマ時間を利用して3か月かかってやっと読破しました。前半で目の疲れに悩まされて、耳の読書を色々試してみました。その様子はこちらからお読みいただけます。
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「源氏物語」を読んでみたい方におすすめの本7選!
『源氏物語』原文は文字数約100万文字(といってもイメージ沸きませんよね)、400字詰め原稿用紙で約2400枚と言われています。現代語訳だと注釈の言葉も入ってくるので、とんでもない長編小説です。
まずはオーディブルでざっくり内容を把握して、興味のある部分を深堀りしていくことをおススメします。
活字や紙のボリュームを見ると「むり~」と思ってしまいますが、オーディブルだと全体ボリュームに関係なく流れていきますので私には耳での読書が合っていました。
一番売れている現代語訳は角田光代さん版。2024年8月時点で7巻まで刊行されています。
角田光代さんの現代語訳はまだ全部刊行されていないので、今すぐ読みたい方は瀬戸内寂聴版か与謝野晶子版をおすすめします。
読破するぞと読み始めたものの、須磨の巻あたりでギブアップするのを「須磨がえり」(高床式倉庫のネズミ返しみたいですね)と言うらしいですが、そこまでたどり着けず、二帖”帚木”で「どの巻もこんなに長いの~」と思って諦める人も多いと聞きます。
私は七帖”紅葉賀”で目の疲労に悩まされて、オーディオブック併用にしました。朗読の収録時間は『源氏物語・与謝野晶子版』で70時間。瀬戸内寂聴版で135時間くらいです。途中寝てしまったり、意識を失いながら、約3か月で聴き終わりました。
いきなり100万文字の大海に漕ぎ出さず、とにかくざっくり『源氏物語』を味わいたい方には、田辺聖子さんの『新源氏物語』がおススメです。一帖”桐壺”がなくて二帖”帚木”から始まっていて、ぎゅっと詰まっています。
参考文献としておススメなのは「紫式部の欲望」。作者の酒井順子さんの着眼点が面白くて、今のご時世だと非難されてしまうかもしれない見解も楽しく読めました。
「イギリスは美味しい」など英国エッセイでご存知の方も多い国文学者の林望先生の源氏物語関連本は、分かりやすく古典に寄せた知見を読めます。「くり返し読みたい」シリーズは特に絵が多くて優しい内容です。
真打ちは林望先生の「謹訳源氏物語」。林望先生の「謹訳平家物語」もとてもいいのですが、源氏物語も読みやすくて、リンボー先生独特の品があります。前書きを読むと内容が予想できるので、ネタバレ不要の方はご注意下さい。
※本ページの情報は2024年11月時点のものです。最新の情報は各公式サイトでご確認下さい。
#源氏物語 #葵
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