この記事では、全54帖ある超長編『源氏物語』の二十三帖「初音(はつね)」のあらすじと主な登場人物を簡単にまとめました。
『源氏物語』二十三帖「初音(はつね)」は『光る君へ』では何話のどの辺りのこと?についても独自の考察と感想もお届けします。
『光る君へ』『源氏物語』の両方を楽しんでいただくきっかけになれば幸いです。
大河ドラマ「光る君へ」の全話のあらすじ&感想はこちらからどうぞ。
【源氏物語】二十三帖「初音(はつね)」あらすじ。
一言あらすじは?
六条院で初めての元日を迎える。正月最初の「子の日」であり、さらにめでたい。
もうちょっと長いあらすじは?
六条院では、初めての正月を迎える。光源氏は春の御殿で紫の上と歌を詠み交わし新春を寿ぎます。紫の上に養育されている明石の姫君に、冬の御殿で暮らす生母・明石の君から贈り物と「鶯の初音聞かせよ」という和歌が届きます。光源氏は、実の娘との対面が叶わない明石の君を哀れに思います。夕暮れ時、源氏は夏の御殿の花散里と玉鬘、そして冬の御殿の明石の君を尋ね、紫の上に悪いと思いながらも明石の君の元に泊まって、紫の上に気を遣いながら朝早くに春の御殿に戻ります。
二日は二条東院の末摘花や空蝉を訪れ、それぞれに気を配ります。その夜は男踏歌があり、六条院に回り来る際に、玉鬘は紫の上や明石の姫君と共に見物しました。
主な登場人物
光源氏:35歳。太政大臣。
紫の上:光源氏の正妻(級)春の御殿で光源氏と住み、明石の姫君を養育している。
玉鬘:20歳。花散里が養育している。
二十三帖「初音(はつね)」のポイント
六条院での初めての正月。極楽浄土のような美しさの中で、光源氏が正妻級の紫の上に気を遣いながらも、住まわせている女性たちや、面倒を見ているかつての女性たちの元へかいがいしく挨拶に行くところがみどころです。
末摘花の相変わらずの野暮で気が利かない点にも「こんな女性を愛してあげられるのは私しかいない」と重ね着しなさいとアドバイスしたり、衣を送ったり、出家した空蝉が垣間見せる美しさに迫りたいと思う気持ちが沸いたり。元旦に明石の君のところに泊まってしまうのですが、紫の上に悪いので、明け方そそくさと帰って行ったりする点も光源氏の面白味に溢れています。
元日に「冬」の御殿の明石の君のもとに光源氏が泊まったのは、季節とストーリーをリンクさせた紫式部の腕のみせどころ。光源氏の風流を好む上質な暮らしぶりが伺えます。
そして、初音の最後の場面では、六条院で新たに暮らし始めた女性と自分だけの「家」としての会を催そうと楽器を出させたり、準備を行う光源氏。「おもてなし」と思いやりの気持ちが満ちあふれていて、女性たちは大層喜びます。
光源氏は稀代のプレーボーイと思われていますが、気配り目配りの人で、誰に対しても情を持って接するので年を重ねてもますます輝きを増して、モテ続けているのだと実感します。そうなったのは、若い頃の無茶ぶりで学んだからだとも思いますが。
明石の君が娘の明石の姫君に送った歌が哀しくて、光源氏は「この歌には自分で歌を返しなさい」と明石の姫君に言い聞かせている場面では、父であり教養人である光源氏の一面が垣間見えました。
「光る君へ」では何話のどの辺りなのか考察、そして感想も。
『光る君へ』ではそのものズバリのシーンはないものの、光源氏がかつて関係を持った女性にあまねく愛情を注いで面倒を見ている点で、柄本佑さんが演じる道長が正妻・倫子(黒木華さん)と明子(瀧内公美さん)、そしてまひろにも変わらぬ愛を持っているところに通じていると感じました。
『光る君へ』44話”望月の夜”で、頼通が三条天皇の娘を妻に迎えるのを固辞したことを、道長が彰子と話している場面で、まひろが「左大臣(道長)さまのように、倫子さま、明子さまを等しく慈しむ方は、そうはおられぬと思います」と言っていました。確かに道長は倫子にも明子にも優しいです。
現代のような婚姻制度ではないのと、女性か経済活動を行う場がないという点でも、光源氏のようなパトロン的な存在の人が存在していなければ成り立たない時代だったと思います。
「光る君へ」は『源氏物語』を土台にして全方位にストーリーを展開していますね。
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まとめ
二十三帖「初音(はつね)」の簡単あらすじと、「光る君へ」におけるオマージュを探りました。
六条院で迎えるお正月。光源氏と女性たちの華やかな暮らしとさまざまな人間模様が描かれています。
須磨での暮らしでさらに感性に磨きがかかった光源氏。息子の夕霧にも真面目に勉強させるだけでなく、風流も磨かないと、人として成長しないと気付いたりします。
『源氏物語』は54帖の超大作。スキマ時間を利用して3か月かかってやっと読破しました。前半で目の疲れに悩まされて、耳の読書を色々試してみました。その様子はこちらからお読みいただけます。
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「源氏物語」を読んでみたい方におすすめの本7選!
『源氏物語』原文は文字数約100万文字(といってもイメージ沸きませんよね)、400字詰め原稿用紙で約2400枚と言われています。現代語訳だと注釈の言葉も入ってくるので、とんでもない長編小説です。
まずはオーディブルでざっくり内容を把握して、興味のある部分を深堀りしていくことをおススメします。
活字や紙のボリュームを見ると「むり~」と思ってしまいますが、オーディブルだと全体ボリュームに関係なく流れていきますので私には耳での読書が合っていました。
一番売れている現代語訳は角田光代さん版。全8巻です。
現代語訳は瀬戸内寂聴版と与謝野晶子版もおすすめします。
読破するぞと読み始めたものの、絵合の巻あたりでギブアップするのを「絵合がえり」(高床式倉庫のネズミ返しみたいですね)と言うらしいですが、そこまでたどり着けず、二帖”帚木”で「どの巻もこんなに長いの~」と思って諦める人も多いと聞きます。
私は七帖”紅葉賀”で目の疲労に悩まされて、オーディオブック併用にしました。朗読の収録時間は『源氏物語・与謝野晶子版』で70時間。瀬戸内寂聴版で135時間くらいです。途中寝てしまったり、翌日はまた最初から、でもやっぱり意識を失いながら、約3か月で聴き終わりました。
いきなり100万文字の大海に漕ぎ出さず、まずはざっくり『源氏物語』を味わいたい方には、田辺聖子さんの『新源氏物語』がおススメです。一帖”桐壺”がなくて二帖”帚木”から始まっていて、ぎゅっと詰まっています。
参考文献としておススメなのは「紫式部の欲望」。作者の酒井順子さんの着眼点が面白くて、今のご時世だと非難されてしまうかもしれない見解も楽しく読めました。
「イギリスは美味しい」など英国エッセイでご存知の方も多い国文学者の林望先生の源氏物語関連本は、分かりやすく古典に寄せた知見を読めます。「くり返し読みたい」シリーズは特に絵が多くて優しい内容です。
真打ちは林望先生の「謹訳源氏物語」。林望先生の「謹訳平家物語」もとてもいいのですが、源氏物語も読みやすくて、リンボー先生独特の品があります。前書きを読むと内容が予想できるので、ネタバレ不要の方はご注意下さい。
※本ページの情報は2024年11月時点のものです。最新の情報は各公式サイトでご確認下さい。
#源氏物語
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