この記事では、全54帖ある超長編『源氏物語』の十四帖「澪標(みおつくし)」のあらすじと主な登場人物を簡単にまとめました。
『源氏物語』十四帖「澪標(みおつくし)」は『光る君へ』では何話のどの辺りのこと?についても独自の考察をお届けします。『光る君へ』『源氏物語』の両方を楽しんでいただくきっかけになれば幸いです。
大河ドラマ「光る君へ」の全話のあらすじ&感想はこちらからどうぞ。
【源氏物語】十四帖「澪標(みおつくし)」あらすじ。
十四帖「澪標(みおつくし)」のあらすじを一言で表すと
都に戻った光源氏は明石の君と、彼女との間に生まれた娘を思う。
では、ざっくりあらすじは?
朱雀帝が譲位。藤壺と光源氏の子・冷泉帝が即位する。光源氏は内大臣に。女の子を出産した明石の上に乳母を派遣し、紫の上が嫉妬する。六条御息所が亡くなり、光源氏は娘(のちの秋好中宮)を養女に迎える。
主な登場人物
光源氏:28~29歳。
紫の上:20~21歳。源氏の妻。
明石の君:19~20歳。明石で光源氏の子を身ごもる。
冷泉帝:10~11歳。故桐壺院と藤壺の子。実は実の父は源氏。
六条御息所:かつての源氏の恋人。
前斎宮(さきのいつきのみや):六条御息所の娘。伊勢の斎宮を務めていたが、朱雀帝の譲位により任期を終え都へ戻る。
十四帖「澪標(みおつくし)」のポイント
父・明石の入道の思惑通りに源氏との子を授かった明石の君。高貴な光源氏の子を産み、幸せの絶頂なはずなのに、身分の差と自分が田舎育ちであることにコンプレックスが捨てきれずに苦しむ明石の君。
「数ならで難波のこともかひなきになどみをつくし思ひそめけむ(身分の低い私なのに、どうして身を尽くして愛してしまったのでしょう)」と嘆きます。ですが、明石の君との間の生まれた子たちによって源氏の君の栄華が極まっていきますので、縁は異なもの味なものです。
明石の入道の思惑通りですが、母・明石の尼君の客観的で現実的な考え方によって、このあと娘を紫の上の養女にすることを決意します。
ところで、澪標の意味は?
「澪つくし」と聞くと沢口靖子さんが主演された朝ドラしか思い浮かばないので、調べたところ
澪標(みおつくし)とは
デジタル大辞泉(小学館)より
《「澪 (みお) つ串 (くし) 」で、「つ」は助詞「の」の意》澪にくいを並べて立て、船が往来するときの目印にするもの。和歌では「身を尽くし」にかけて用いることが多い。
澪標は大阪市のマークでもあります。
「澪標」という言葉からは、自分が盾や目印になって身を尽くして光源氏を愛していこう、という明石の君の決意が伝わってきます。
「光る君へ」では何話のどの辺りに出てくる?
「澪標」の巻、そのものズバリは『光る君へ』のエピソードにはありませんが、明石の君が受領階級の出身であることから、源氏の従者・良漬に求婚されていた点からも、まひろが道長の正妻にはなれなかったことは、平安時代の身分の差の厳しさを物語っています。
『光る君へ』43話では、まひろの娘・賢子と、武者の双寿丸の様子を見て、まひろが「若い二人は自分たちが超えられなかった壁を軽々と超えている」と語っていたのは、大石脚本ならではで新鮮でした。
「光る君へ」は『源氏物語』を土台にして全方位にストーリーを展開していますね。
大河ドラマ「光る君へ」の全話ネタバレあらすじはこちらかどうぞ↓
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まとめ
十四帖「澪標(みおつくし)」の簡単あらすじと、「光る君へ」におけるオマージュを探りました。
須磨・明石で生き返った光源氏。明石の君との間に生まれた姫が、将来、紫の上と明石の君を繋ぐ役割も果たし、源氏一族を反映に導きます。
光源氏が惹かれるだけあって、明石の君は品格と教養を兼ね備えています。
『源氏物語』は54帖の超大作。スキマ時間を利用して3か月かかってやっと読破しました。前半で目の疲れに悩まされて、耳の読書を色々試してみました。その様子はこちらからお読みいただけます。
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「源氏物語」を読んでみたい方におすすめの本7選!
『源氏物語』原文は文字数約100万文字(といってもイメージ沸きませんよね)、400字詰め原稿用紙で約2400枚と言われています。現代語訳だと注釈の言葉も入ってくるので、とんでもない長編小説です。
まずはオーディブルでざっくり内容を把握して、興味のある部分を深堀りしていくことをおススメします。
活字や紙のボリュームを見ると「むり~」と思ってしまいますが、オーディブルだと全体ボリュームに関係なく流れていきますので私には耳での読書が合っていました。
一番売れている現代語訳は角田光代さん版。全8巻です。
現代語訳は瀬戸内寂聴版と与謝野晶子版もおすすめします。
読破するぞと読み始めたものの、澪標の巻あたりでギブアップするのを「澪標がえり」(高床式倉庫のネズミ返しみたいですね)と言うらしいですが、そこまでたどり着けず、二帖”帚木”で「どの巻もこんなに長いの~」と思って諦める人も多いと聞きます。
私は七帖”紅葉賀”で目の疲労に悩まされて、オーディオブック併用にしました。朗読の収録時間は『源氏物語・与謝野晶子版』で70時間。瀬戸内寂聴版で135時間くらいです。途中寝てしまったり、意識を失いながら、約3か月で聴き終わりました。
いきなり100万文字の大海に漕ぎ出さず、とにかくざっくり『源氏物語』を味わいたい方には、田辺聖子さんの『新源氏物語』がおススメです。一帖”桐壺”がなくて二帖”帚木”から始まっていて、ぎゅっと詰まっています。
参考文献としておススメなのは「紫式部の欲望」。作者の酒井順子さんの着眼点が面白くて、今のご時世だと非難されてしまうかもしれない見解も楽しく読めました。
「イギリスは美味しい」など英国エッセイでご存知の方も多い国文学者の林望先生の源氏物語関連本は、分かりやすく古典に寄せた知見を読めます。「くり返し読みたい」シリーズは特に絵が多くて優しい内容です。
真打ちは林望先生の「謹訳源氏物語」。林望先生の「謹訳平家物語」もとてもいいのですが、源氏物語も読みやすくて、リンボー先生独特の品があります。前書きを読むと内容が予想できるので、ネタバレ不要の方はご注意下さい。
※本ページの情報は2024年11月時点のものです。最新の情報は各公式サイトでご確認下さい。
#源氏物語
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