この記事では、全54帖ある超長編『源氏物語』の十帖「賢木（さかき）」のあらすじと主な登場人物を簡単にまとめました。
『源氏物語』十帖「賢木（さかき）」は『光る君へ』では何話のどの辺りのこと？についても独自の考察をお届けします。『光る君へ』『源氏物語』の両方を楽しんでいただくきっかけになれば幸いです。
大河ドラマ「光る君へ」の全話のあらすじ＆感想はこちらからどうぞ。
【源氏物語】十帖「賢木（さかき）」あらすじ。
十帖「賢木（さかき）」のあらすじを一言で表すと
光源氏が朧月夜との現場を押さえられ、転落への道を歩む。
では、ざっくりあらすじは？
六条御息所は娘の斎宮と伊勢に下向。桐壺院崩御、藤壺は出家。光源氏の手がついたために格下げされた尚侍（ないしのかみ）として朱雀帝に入内した朧月夜は光源氏との密会を父である右大臣に目撃される。怒った右大臣派は光源氏追い落としをもくろむ。
主な登場人物
光源氏：23～25歳
六条御息所：教養が深く気品あふれる元東宮后。源氏の愛人。
藤壺：桐壺の崩御。光源氏からの執拗な追いかけを受けて出家する。
朧月夜：源氏の異母兄・朱雀帝の寵愛を受ける。
弘徽殿女御：亡き桐壺帝と一番早く結婚した。一番寵愛を受けた桐壺更衣の息子・光源氏の最大の敵。
十帖「賢木（さかき）」のポイント
自分が生霊となってしまっていることを嘆いて六条御息所が娘と共に伊勢に下向します。気位の高い方なので、そんな自分の業に耐えられなくなったのでしょう。そして、光源氏は出家して手が届かなくなってしまった藤壺への思いのやり場を探すように、朧月夜との逢瀬を重ねます。こともあろうに朧月夜の父・右大臣に現場を押さえられても鷹揚に構える光源氏。これを機に政治家・弘徽殿女御が光源氏の追い落としにかかってきます。
いよいよ「場数」の光源氏と、ラスボス・弘徽殿女御の対決スタートです。
「光る君へ」では何話のどの辺りに出てくる？
そのものずばりというシーンはないものの、月夜の下での逢瀬は『光る君へ』での道長とまひろの逢瀬を想像させます。
庚申待の夜、まひろは妾でもいいと道長に返事をしようとしたのですが、道長はまひろの望む政を行うことに決めた。と倫子の元に走っていきます。倫子は右大臣の娘なので、御簾の向こうでの倫子と道長を想像すると賢木での光源氏と朧月夜を思い起こします。
「光る君へ」は『源氏物語』を土台にして全方位にストーリーを展開していますね。
大河ドラマ「光る君へ」の全話ネタバレあらすじはこちらかどうぞ↓
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まとめ
十帖「賢木（さかき）」の簡単あらすじと、「光る君へ」におけるオマージュを探りました。
やめておけばいいのに、密会を続けた朧月夜と光源氏。逢瀬の瞬間を父・右大臣に見つかるなんてコントみたいですが、慌てふためく右大臣とは反対に余裕を見せる光源氏のふるまいに経験値の高さを感じざるを得ません。
光源氏は政治判断も確かなので、さっさと自分から須磨へ下ってしまいます。引き際すら美しい。
『源氏物語』は54帖の超大作。スキマ時間を利用して3か月かかってやっと読破しました。前半で目の疲れに悩まされて、耳の読書を色々試してみました。その様子はこちらからお読みいただけます。
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「源氏物語」を読んでみたい方におすすめの本7選！
『源氏物語』原文は文字数約100万文字（といってもイメージ沸きませんよね）、400字詰め原稿用紙で約2400枚と言われています。現代語訳だと注釈の言葉も入ってくるので、とんでもない長編小説です。
まずはオーディブルでざっくり内容を把握して、興味のある部分を深堀りしていくことをおススメします。
活字や紙のボリュームを見ると「むり～」と思ってしまいますが、オーディブルだと全体ボリュームに関係なく流れていきますので私には耳での読書が合っていました。
一番売れている現代語訳は角田光代さん版。全8巻です。
現代語訳は瀬戸内寂聴版と与謝野晶子版もおすすめします。
読破するぞと読み始めたものの、須磨の巻あたりでギブアップするのを「須磨がえり」（高床式倉庫のネズミ返しみたいですね）と言うらしいですが、そこまでたどり着けず、二帖”帚木”で「どの巻もこんなに長いの～」と思って諦める人も多いと聞きます。
私は七帖”紅葉賀”で目の疲労に悩まされて、オーディオブック併用にしました。朗読の収録時間は『源氏物語・与謝野晶子版』で70時間。瀬戸内寂聴版で135時間くらいです。途中寝てしまったり、意識を失いながら、約3か月で聴き終わりました。
いきなり100万文字の大海に漕ぎ出さず、とにかくざっくり『源氏物語』を味わいたい方には、田辺聖子さんの『新源氏物語』がおススメです。一帖”桐壺”がなくて二帖”帚木”から始まっていて、ぎゅっと詰まっています。
参考文献としておススメなのは「紫式部の欲望」。作者の酒井順子さんの着眼点が面白くて、今のご時世だと非難されてしまうかもしれない見解も楽しく読めました。
「イギリスは美味しい」など英国エッセイでご存知の方も多い国文学者の林望先生の源氏物語関連本は、分かりやすく古典に寄せた知見を読めます。「くり返し読みたい」シリーズは特に絵が多くて優しい内容です。
真打ちは林望先生の「謹訳源氏物語」。林望先生の「謹訳平家物語」もとてもいいのですが、源氏物語も読みやすくて、リンボー先生独特の品があります。前書きを読むと内容が予想できるので、ネタバレ不要の方はご注意下さい。
※本ページの情報は2024年11月時点のものです。最新の情報は各公式サイトでご確認下さい。
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