この記事では、全54帖ある超長編『源氏物語』の八帖「花の宴(はなのえん)」のあらすじと主な登場人物を簡単にまとめました。
2024年大河ドラマ『光る君へ』で、主人公まひろ(吉高由里子さん)が『源氏物語』の執筆を始めました。
『源氏物語』八帖「花の宴」は『光る君へ』では何話のどの辺りのこと?についても独自の考察をお届けします。『光る君へ』『源氏物語』の両方を楽しんでいただくきっかけになれば幸いです。
大河ドラマ「光る君へ」の全話のあらすじ&感想はこちらからどうぞ。
【源氏物語】八帖「花の宴(はなのえん)」あらすじ。光源氏は20歳
八帖「花の宴」のあらすじを一言で表すと
宮中で桜の花の宴が催された日の夜、政敵である右大臣の娘・朧月夜と関係。
では、ざっくりあらすじは?
秋の紅葉賀に続き、二月には桜花の宴が開かれた。源氏の舞と詩の天賦の才は際立っていて、人々は涙を流さずにはいられなかった。
その夜、酒に酔った源氏は藤壺と会える機会をうかがっていたが叶わず、戸口の開いていた細殿に忍び入り、「朧月夜に似るものぞなき」とうたいながら来る女と関係を持つ。
誰とも知らず、朝には扇を交換してその場を去った源氏だが、その後、右大臣邸で藤の花の宴に源氏も招待され、ほろ酔い気分で歌を扇の持ち主を問いかけると、返した声はまさにあの夜の女君。それは右大臣の娘、弘徽殿女御の妹だった。
主な登場人物
光源氏:20歳
頭中将:葵の上の兄。源氏の親友であり良きライバル。
朧月夜:桜の花の宴の夜、源氏と関係を持つ。
弘徽殿女御(こきでんのにょうご):源氏の父桐壺帝の女御。後の朱雀帝の母。
葵の上:24歳。源氏の正妻。
紫の上:12歳。源氏の養育を受けている。
八帖「花宴(はなのえん)」のポイント
秋に催された七帖「紅葉賀(もみじのが)」と、春(といっても2月)に催された八帖「花宴」が対になっていて、源氏と頭中将の素晴らしい詩と舞の場面が展開されます。頭中将はこの時のために舞を練習していたようで、帝からお褒めの衣を賜ります。
桜の花の宴のあと、酔いに任せて藤壺のところに忍び込みたかった源氏が、願いは叶わず、その反動で朧月夜と関係してしまいます。この成り行きが三帖「空蝉」で空蝉に拒まれて軒端荻と関係してしまうパターンと似ています。
軒端荻には関係を持った後、文も出さないという冷たい源氏ですが、朧月夜には「誰か知りたい」「関係を続けたい」と色々な手を尽くして探ります。そして右大臣の六の姫だと判明するのですが、関係を続けていくことで源氏は窮地に追い込まれていくことになります。
満たされない藤壺への思いから、理想の女性や理想の恋を求めてさまよう20歳の源氏です。
源氏と頭中将の舞の美しさは、映画『源氏物語 千年の謎』で見れます。生田斗真さんが源氏役、頭中将は尾上松也さんが演じられています。
リスクを顧みず女君と関係を続けたい思う源氏の悪いクセが発動します。
「光る君へ」では何話のどの辺りに出てくる?
桜の宴で源氏と頭の中将が舞を披露するシーンのオマージュとして、29話”母として”で道長の姉・詮子の四十の賀で倫子の息子・田鶴と明子の息子・厳君が一条天皇の前で舞を舞うシーンがあげられます。八帖「花宴」では頭中将が舞った「柳花苑」に帝が褒美として御衣を与えたと記述があります。
源氏と朧月夜の逢瀬は、「政敵の娘と、月夜に関係する」という点で10話”月夜の陰謀”で結ばれたまひろと道長の逢瀬が『源氏物語』のオマージュだと考えられます。その後もまひろと道長は月の下で出会い、話し、石山寺での逢瀬で賢子を授かることになります。
『光る君へ』は月の場面が非常に多いです。朧月夜もあれば満月や三日月、そして皆既月食も。『源氏物語』の世界観をそのまま再現しているように感じます。
『光る君へ』の10話と29話のあらすじは↓のリンクからお読みいただけます。
- 29話
- 10話朧月夜の下で、政敵の二人が結ばれる。
「光る君へ」は『源氏物語』を土台にして全方位にストーリーを展開していますね。
大河ドラマ「光る君へ」の全話ネタバレあらすじはこちらかどうぞ↓
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まとめ
八帖「花宴(はなのえん)」の簡単あらすじと、「光る君へ」におけるオマージュを探りました。
ひとつ前の七帖「紅葉賀」と対になっている巻ですので、併せて読むとより一層楽しんでいただけます。藤壺と会えないジレンマから朧月夜に走ってしまう源氏。手に入らないから、手に入れたくなってしまう源氏の性癖がここでも現れています。
源氏が舞った「春鴬囀(しゅんおうてん)」、頭中将が舞った「柳花苑」の舞がどんなものなのか管理人にはわかりませんが、映画『源氏物語千年の謎』の生田斗真さんと尾上松也さんを見てなんとなくイメージしています。
源氏の恋愛と政治の行方が絡み合っていく様子に引き込まれます。
『源氏物語』は54帖の超大作。スキマ時間を利用して3か月かかってやっと読破しました。前半で目の疲れに悩まされて、耳の読書を色々試してみました。その様子はこちらからお読みいただけます。
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「源氏物語」を読んでみたい方におすすめの本7選!
『源氏物語』原文は文字数約100万文字(といってもイメージ沸きませんよね)、400字詰め原稿用紙で約2400枚と言われています。現代語訳だと注釈の言葉も入ってくるので、とんでもない長編小説です。
まずはオーディブルでざっくり内容を把握して、興味のある部分を深堀りしていくことをおススメします。
活字や紙のボリュームを見ると「むり~」と思ってしまいますが、オーディブルだと全体ボリュームに関係なく流れていきますので私には耳での読書が合っていました。
一番売れている現代語訳は角田光代さん版。2024年8月時点で7巻まで刊行されています。
角田光代さんの現代語訳はまだ全部刊行されていないので、今すぐ読みたい方は瀬戸内寂聴版か与謝野晶子版をおすすめします。
読破するぞと読み始めたものの、須磨の巻あたりでギブアップするのを「須磨がえり」(高床式倉庫のネズミ返しみたいですね)と言うらしいですが、そこまでたどり着けず、二帖”帚木”で「どの巻もこんなに長いの~」と思って諦める人も多いと聞きます。
私は七帖”紅葉賀”で目の疲労に悩まされて、オーディオブック併用にしました。朗読の収録時間は『源氏物語・与謝野晶子版』で70時間。瀬戸内寂聴版で135時間くらいです。途中寝てしまったり、意識を失いながら、約3か月で聴き終わりました。
いきなり100万文字の大海に漕ぎ出さず、とにかくざっくり『源氏物語』を味わいたい方には、田辺聖子さんの『新源氏物語』がおススメです。一帖”桐壺”がなくて二帖”帚木”から始まっていて、ぎゅっと詰まっています。
参考文献としておススメなのは「紫式部の欲望」。作者の酒井順子さんの着眼点が面白くて、今のご時世だと非難されてしまうかもしれない見解も楽しく読めました。
「イギリスは美味しい」など英国エッセイでご存知の方も多い国文学者の林望先生の源氏物語関連本は、分かりやすく古典に寄せた知見を読めます。「くり返し読みたい」シリーズは特に絵が多くて優しい内容です。
真打ちは林望先生の「謹訳源氏物語」。林望先生の「謹訳平家物語」もとてもいいのですが、源氏物語も読みやすくて、リンボー先生独特の品があります。前書きを読むと内容が予想できるので、ネタバレ不要の方はご注意下さい。
※本ページの情報は2024年8月時点のものです。最新の情報は各公式サイトでご確認下さい。
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