この記事では、全54帖ある超長編『源氏物語』の【源氏物語】七帖「紅葉賀(もみじのが)」のあらすじと主な登場人物を簡単にまとめました。
2024年大河ドラマ『光る君へ』で、主人公まひろ(吉高由里子さん)が『源氏物語』の執筆を始めました。
『光る君へ』では何話のどの辺りのこと?についても独自の考察をお届けします。『光る君へ』『源氏物語』の両方を楽しんでいただくきっかけになれば幸いです。
大河ドラマ「光る君へ」の全話のあらすじ&感想はこちらからどうぞ。
【源氏物語】七帖「紅葉賀(もみじのが)」あらすじ。光源氏は19歳
七帖「紅葉賀(もみじのが)」のあらすじを一言で表すと
藤壺は不義の子(冷泉)を出産する。源氏は源典侍と戯れに関係する。
【ざっくりあらすじ】七帖「紅葉賀(もみじのが)」
朱雀院での行幸では特に選りすぐられた歌舞が披露されるという評判があり、後宮の人々のためにリハーサルとして源氏と頭中将が「青海波」の舞を披露しました。源氏のこの世のものとは思えない美しさに帝も後宮の人々も感動し涙を流した。
源氏は恋しい藤壺に手紙を送り、藤壺も短い返事を返します。源氏はこれを大いに喜び、その返事を宝物のように大切にします。
一方、源氏は若紫を迎え、彼女を二条の院で大切に育てています。源氏の正妻・葵上は源氏のこの行動に不満を抱き、特に新たな女性が二条の院に迎えられたことに嫉妬していましたが、源氏はそのことに対してあまり心を動かさず、むしろ紫上の養育を楽しんでいた。
藤壺の宮が皇子を出産。その皇子が源氏に似ていることに藤壺は苦悩し心を痛めていた。帝は新皇子を非常に愛し、源氏と似た美しさを疑うことはありません。このことを知った源氏は恐れと喜びの感情が入り混じり、複雑な思いを抱きます。
藤壺の宮は皇子を産んだことで中宮に立てられますが、源氏は彼女がますます手の届かない存在になってしまったことを辛く感じました。源氏の藤壺への情愛と後宮の権力構造が交錯し始め、二人はそれぞれの立場で苦悩し続けた。
後宮には多くの美しい女官がいたが、源氏は彼女たちに恋愛感情を示すことなく接していた。が、好色の典侍からのアプローチを受け源氏と典侍は密に関係を持ちます。が、頭中将がそれを偶然目撃し、二人を困惑させた。
頭中将は源氏との関係を楽しみ、典侍は源氏への強い愛情を持ち続けていきます。源氏は秘密の恋愛を反省しながら、愛憎の複雑さに更に悩まされることになります。
七帖「紅葉賀(もみじのが)」の主な登場人物
光源氏:18~19歳
頭中将:源氏の親友であり良きライバル。源氏と共に青海波を舞う。
桐壺帝:源氏の父。
弘徽殿女御(こきでんのにょうご):桐壺帝の女御。ラスボス的存在。
藤壺:桐壺帝の妻。源氏の継母。源氏との不義の子を出産する。
葵の上:22~23歳。源氏の正妻。
紫の上:10~11歳。源氏の養育を受けている。
源典侍(げんのないしのすけ):57~58歳くらいの好色な女官
七帖「紅葉賀(もみじのが)」のポイント
七帖「紅葉賀(もみじのが)」は大きく3つのパートに分けられます。
最初のパートは桐壺帝の前で朱雀院の行幸の予行演習として舞う「青海波」の場面。源氏のあまりの美しさに見ている者は皆感動の涙を流します。ただ一人、源氏との不義の子を宿している藤壺だけは苦しい気持ちで見ています。
青海波のシーンは、映画『源氏物語 千年の謎』で見れます。生田斗真さんが源氏役、頭中将は尾上松也さんが演じられています。
二番目のパートは藤壺が源氏との子を出産した部分。何も知らない(本当は知っていたのかも)桐壺帝は手放しで大喜び。藤壺は罪の意識にさいなまれていきます。
最後のパートは源氏の悪い癖、色好みの老女と関係を持ち、その場に頭中将がいて源氏と直衣を引っ張り合ったりするというコントのような場面。頭中将との盟友でもあり良きライバルでもある側面が大いに表現されています。
源氏の風変りな衝動が引き起こした源内侍との関係。頭中将にも完全にからかわれています。
「光る君へ」では何話のどの辺りに出てくる?
29話”母として”で、道長の姉・詮子の四十の賀で倫子の息子・田鶴と明子の息子・厳君が一条天皇の前で舞を舞うシーン。があげられます。
厳君が源氏に見立てられ、舞のすばらしさに一条天皇が厳君の師に位を与えていました。『源氏物語』でも源氏は従三位から正三位に。頭中将も正四位下から上に昇進しました。
雅楽の演奏、舞と歌、全てが幽玄で美しい。
29話”母として”のあらすじは↓のリンクからお読みいただけます。
- 29話
「光る君へ」を見ていると『源氏物語』を土台にして全方位にストーリーを展開してるように感じます。
大河ドラマ「光る君へ」の全話ネタバレあらすじはこちらかどうぞ↓
『光る君へ』の最新話までのイッキ見にはU-NEXTがおトクです。NHKオンデマンドを31日間無料お試し登録できるのは現時点ではU-NEXTが唯一のサービスです。下の緑のボタンからで1000ポイント付与(通常は600ポイント)!登録はこちらからどうぞ↓
まとめ
七帖「紅葉賀(もみじのが)」の簡単あらすじと、「光る君へ」におけるオマージュを探りました。
桐壺との不義の子(冷泉)が誕生するという主軸の脇に、40歳も年上の源内侍との関係、それも頭中将に知られる。というコントのようなサイドストーリーが流れる「紅葉賀」。
「青海波」の舞の美しさは目を閉じるとその光景が浮かんできます(イメージがわかない場合は、映画『源氏物語千年の謎』をどうぞ)。
源氏の恋愛と政治のパワーバランスが絶妙に交差していくのも読んでいて引き込まれます。
『源氏物語』は54帖の超大作。スキマ時間を利用して3か月かかってやっと読破しました。前半で目の疲れに悩まされて、耳の読書を色々試してみました。その様子はこちらからお読みいただけます。
耳からの情報が大丈夫な方でしたらオーディブルがダントツおススメです。オーディブルの30日間無料お試しはこちらから↓
「源氏物語」を読んでみたい方におすすめの本7選!
『源氏物語』原文は文字数約100万文字(といってもイメージ沸きませんよね)、400字詰め原稿用紙で約2400枚と言われています。現代語訳だと注釈の言葉も入ってくるので、とんでもない長編小説です。
まずはオーディブルでざっくり内容を把握して、興味のある部分を深堀りしていくことをおススメします。
活字や紙のボリュームを見ると「むり~」と思ってしまいますが、オーディブルだと全体ボリュームに関係なく流れていきますので私にはこの順番が合っていました。
一番売れている現代語訳は角田光代さん版。2024年8月時点で7巻まで刊行されています。
角田光代さんの現代語訳はまだ全部刊行されていないので、今すぐ読みたい方は瀬戸内寂聴版か与謝野晶子版をおすすめします。
読破するぞと読み始めたものの、須磨の巻あたりでギブアップするのを「須磨がえり」(高床式倉庫のネズミ返しみたいですね)と言うらしいですが、そこまでたどり着けず、二帖”帚木”で「どの巻もこんなに長いの~」と思って諦める人も多いと聞きます。
私は七帖”紅葉賀”辺りで目が疲れてオーディオブック併用にしました。朗読の収録時間は『源氏物語・与謝野晶子版』で70時間。瀬戸内寂聴版で135時間くらいです。途中寝てしまったり、意識を失いながら、約3か月で聴き終わりました。
いきなり100万文字の大海に漕ぎ出さず、とにかくざっくり『源氏物語』を味わいたい方には、田辺聖子さんの『新源氏物語』がおススメです。一帖”桐壺”がなくて二帖”帚木”から始まっていて、ぎゅっと詰まっています。
参考文献としておススメなのは「紫式部の欲望」。作者の酒井順子さんの着眼点が面白くて、今のご時世だと非難されてしまうかもしれない見解も楽しく読めました。
「イギリスは美味しい」など英国エッセイでご存知の方も多い国文学者の林望先生の源氏物語関連本は、分かりやすく古典に寄せた知見を読めます。「くり返し読みたい」シリーズは特に絵が多くて優しい内容です。
真打ちは林望先生の「謹訳源氏物語」。林望先生の「謹訳平家物語」もとてもいいのですが、源氏物語も読みやすくて、リンボー先生独特の品があります。前書きを読むと内容が予想できるので、ネタバレ不要の方はご注意下さい。
※本ページの情報は2024年8月時点のものです。最新の情報は各公式サイトでご確認下さい。
コメント