2024年大河ドラマ『光る君へ』で、主人公まひろ(吉高由里子さん)がいよいよ『源氏物語』を執筆していきます。
この記事では、全54帖ある超長編「源氏物語」の一番有名な冒頭の一帖「桐壺(きりつぼ)の」あらすじを簡単にまとめました。
『光る君へ』では何話のどの辺りのこと?についてもご紹介します。『光る君へ』『源氏物語』の両方を楽しんでいただくきっかけになれば幸いです。
大河ドラマ「光る君へ」の全話のあらすじ&感想はこちらからどうぞ。
一帖「桐壺(きりつぼ)」あらすじ(光源氏誕生~12歳)
いつの時代のことだったか、帝の寵愛を一身に受けるそれほど身分の高くない更衣(桐壺更衣)がいました。
父である大納言もすでに亡くし、格別の後見もないため、帝の后である弘徽殿女御をはじめとする後宮の女たちから嫉妬されていました。
ほどなくして、更衣は玉のような皇子を出産しました。帝はますます更衣を寵愛しましたが、女たちからの嫌がらせに耐えかねた更衣は病に伏せ里に戻り亡くなりました。
母亡き後、里で若宮(光源氏)を養育していた更衣の母も亡くなったため、若宮は帝のいる内裏に戻ります。美貌、学問、音楽まで神才を見せる若宮が政争の種になることを恐れ、帝は若宮を帝の後継者から外すため、臣籍に降して源氏の姓を与えました。
ほどなく桐壺更衣に生き写しの藤壺の宮が入内しました。帝の心は大いに癒され、光源氏も藤壺に亡き母の面影を求めます。帝の寵愛を受ける源氏と藤壺を人は「光る君」「輝く日の宮」と呼びます。
十二歳となった光源氏は元服し、4歳年上の左大臣の娘(葵の上)と結婚しますが、ますます藤壺への思慕を強めていくのです。
一帖「桐壺」のポイント:光をまとって生まれた皇子
有名な冒頭部分を引用します。
いづれの御時にか、女御・更衣あまたさぶらひ給ひけるなかに、いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めき給ふありけり
現代語訳は瀬戸内寂聴版と角田光代版をご紹介します。
いづれの御代のことでしたか、女御や更衣が賑々しくお仕えしておりました帝の後宮に、それほど高貴な家柄のご出身ではないのに、帝に誰よりも愛されてはなばなしく優遇されていらっしゃる更衣がありました。(瀬戸内寂聴訳)
いつの帝の御時だったでしょうかーー。その昔、帝に深く愛されている女がいた。宮廷では身分の高いものからそうでもない者まで、幾人もの女たちがそれぞれに部屋を与えられ、帝に仕えていた。帝の深い寵愛を受けたこの女は、高い家柄の出身ではなく、自身の位も、女御より劣る更衣であった。女に与えらえた部屋は桐壺という。(角田光代訳)
このほかにも与謝野晶子版があります。現代語訳によって趣が違いますね。
「光源氏」の名の由来:臣籍に下り「源」姓を名乗る
光源氏のあまりの輝きと高麗人の人相見の見立てに、帝は光源氏の後々のことを案じて、跡継ぎ候補から外し臣下へと下します。『光る君へ』では倫子の父・源雅信(益岡徹さん)が同じ経緯で臣籍の人です。敦実親王(宇多天皇の皇子)と左大臣を務めた藤原時平の娘との間に誕生して、承平6(936)年に「源」姓を授けられて臣籍に入った、宇多源氏の祖でもあります。
「光る君へ」では何話のどの辺りに出てくる?
帝は一条天皇(塩野瑛久さん)、桐壺更衣は定子(高畑充希さん)と見て取れます。
定子は内裏を出て出家、その後皇女を産み、一条天皇のそばに戻り皇子を産みます。幸せな日々も長くは続かず、三度目の懐妊で姫皇子を産んで亡くなります。
定子の父・源雅信は既に他界、母・高階貴子も他界して、兄・伊周と隆家のみという後ろ盾がない状態です。ただ帝の寵愛だけが頼り。というのはまさに定子のことでした。
「光る君へ」19話”放たれた矢”で伊周の弟・隆家が花山院の牛車に矢を放ったのが発端で、ラブラブの一条天皇と定子の間に亀裂が生じることになります。「光る君へ」19話~28話では、まひろの越前でのストーリーと同時進行で一条天皇と定子の愛の軌跡と抗えない運命が描かれていきます。
19話~28話のあらすじは↓のそれぞれのリンクからお読みいただけます。
- 19話定子の兄弟・伊周と隆家の軽率な行動が発端
- 20話政(まつりごと)と定子への思いで揺れ動く一条天皇
- 21話懐妊した定子を元気づけるために清少納言が『枕草子』を書き始める
- 22話母・貴子が亡くなり定子は道長にすがる
- 23話一条天皇が定子の懐妊を知る
- 24話詮子の計らいで一条天皇は定子と姫皇子を腕に抱く
- 25話一条天皇が定子を寵愛し過ぎて政に身が入らない
- 26話都に災害が続き、心労で体調を崩す一条天皇
- 27話彰子が入内した6日後に定子が皇子を出産
- 28話三度目の懐妊。姫皇子を産んだ定子が亡くなる
まとめ
一帖「桐壺」は、「光る君へ」の一条天皇と定子そのまんまな気がします。
桐壺の更衣の身分がそれほど高貴でもないということで、色々ないじめに遭います。
「光る君へ」でも(定子に対してだけでなく)女房達の意地悪な囁きの場面が時々ありました。記憶に新しいのは、清少納言(ファーストサマーウイカさん)がまひろ(吉高由里子さん)を定子に引き会わせるために後宮に招いた時に、廊下に置かれた釘にまひろが「痛い!」と声を出したこと。
清少納言はこんなことは日常茶飯事で気にしてません。と言ってました。さすが令和の清少納言。
意地悪に耐え兼ねて桐壺更衣は里に下がり病で死んでしまうという『桐壺』のくだりがドラマで再現されています。
『源氏物語』では、桐壺に瓜二つの藤壺が入内して帝は大いに癒されます。そして光源氏も藤壺に母の面影を(知らないはずですが)見出し、思いが募っていきます。
※本ページの情報は2024年8月時点のものです。最新の情報は各公式サイトでご確認下さい。
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