大河ドラマ『べらぼう』第9話は”玉菊燈籠 恋の地獄”。お互いの気持ちが通い合ったのも束の間、蔦重と瀬川に吉原の厳しい現実が突きつけられます。二人の切ないシーンがいっぱいの9話でした。
・9話を見逃してしまった
・9話のみどころやあらすじは?
・9話の江戸ことばの面白さを知りたい
・尾美としのりさんはどこで登場するの?
・『べらぼう』再放送は?どこで見れる?全話を見たい!
について、お届けします。
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第9話”玉菊燈籠 恋の地獄”の簡単あらすじ
※以下、ネタバレを含みますのでご注意ください。
・市中の地本問屋に手を切ると言われる
・鳥山検校が瀬川の身請けを希望する
・蔦重は瀬川への気持ちに気付く
市中の地本問屋たちが吉原と手を切ると言い出し、蔦重(横浜流星さん)は細見を作っても市中で売り広められなくなると心配します。そんな中、鳥山検校(市原隼人さん)が、瀬川(小芝風花さん)を身請けしたいという話を耳にします。それを聞いて、初めて瀬川への気持ちに気付いた蔦重。
ようやくお互いの気持ちに素直になった蔦重と瀬川でしたが、新之助(井之脇海さん)とうつせみ(小野花梨さん)の駆け落ち騒動を目の当たりにして、蔦重と瀬川は自分たちの置かれている状況を認めざるを得なくなります。瀬川は鳥山検校の身請けを受けることを決意します。

鳥山検校の存在を意識するようになって、初めて瀬川への気持ちに気付いた蔦重。九郎助稲荷での蔦重と瀬川のやり取りに胸がキュンとなりましたが…
9話のみどころと注目ポイント
蔦重と瀬川のシーンが切ない
まずは九郎助稲荷での蔦重が自分の気持ちに気付いて、瀬川への気持ちを絞り出していく場面。吉原のためだから→嫌なんだよ→俺が幸せにしたいの。三段活用でした。

ここでBGMが「戦い」のイメージになりました。「小さな恋のメロディー」風だったらホッとしたのですが、戦いの火ぶたが切って落とされた感じがしました。
瀬川から「どうやって幸せにしてくれるんだい。べらぼうめ!」とダメ出しを受けて、年季奉公が終わったら。と絞り出す蔦重。「心変わりなんかしねぇだろうね」のダメ出しにも、蔦重は「当たりめぇだろう、20年もかかってんだぞ」の返事。男前の瀬川に引き出してもらって、ようやく自分の本心が分かった蔦重でした。

この時、蔦重は25歳。瀬川が2~3歳年下なら22~3歳。一般的な年季明けは27歳なので、まだ4~5年先の話になってきます涙
日頃は男前の瀬川ですが、一瞬にして頬を染めて涙をためる姿が可愛らしい。吉原育ちで世慣れているはずの蔦重は蔦重で、この日初めて瀬川を一人の女性として意識してそわそわ。割と長いシーンでしたが、二人の間にわぁーッと恋心が花咲いていく様子に見ていてドキドキソワソワ感動しました。

今回は、九郎助稲荷はただ黙って二人を見守っていたようですね。
横浜流星さんと小芝風花さんの演技にとても惹かれました。ちょっとした表情と仕草にグッとくる場面でした。
将来を誓い合った蔦重と瀬川ですが、松葉屋の主と、女将・いねが総力戦で見せた吉原の現実と、新之助とうつせみの末路を見せつけられて、瀬川は鳥山検校の身請けを受ける決意をします。
瀬川&蔦重の唯一のラブシーン。
蔦重が偽の名前「女・しお」と書いた通行証をはさみこんで瀬川に貸本として渡した本を、瀬川が蔦重に返す場面です。
瀬川:この本、馬鹿らしゅうありんした。
蔦重:あぁ
瀬川:この話の女郎もマブもバカさ。手に手を取って足抜けなんてうまくいくはずがない。この筋じゃ、誰も幸せになんかなれない。
蔦重:悪かったよ。つまんねぇ話、勧めちまって。
瀬川:何、云ってんだい!馬鹿らしくって面白かったって云ってんだよ。この馬鹿らしい話を重三が進めてくれたことを、きっとわっちは一生忘れないよ。とびきりの思い出になったさ。
(蔦重の手を握って、手の平を裏返し、そこに本をのせて返す)
瀬川:じゃ、返したよ。
『べらぼう』9話より
「何云ってんだい」から、蔦重も切なさいっぱいな表情をしていました。
瀬川から返された本(駆け落ち→心中ストーリーの人情本)をパラパラめくると、偽の通行証の「女・しお」と名前を書いた右上の部分がやぶり取られていました。

蔦重が書いた「しお」の文字を、瀬川は『塩売文太物語』の最後のページに一生挟んでいるんでしょう。それと、万が一見つかった時に蔦重がひどい目に遭わないように名前を破ったのもあるのかもしれません。

『塩売文太物語』は誰も傷つかず、ハッピーエンドのお話です↑。この筋ならよかったですね。
松葉屋女将・いねの言葉
鳥山検校の身請けを断った瀬川を見て、蔦重が「間夫※」になったと瞬時に判断した松葉屋の主・半左衛門(正名僕蔵さん)と女将・いね(水野美紀さん)。半左衛門は蔦重に、いねは瀬川に吉原の現実を知らしめます。
いね:ここは不幸なところさ。けど、人生をガラリと変えるようなことが起きないわけじゃない。そういう背中を女郎に見せる務めが「瀬川」にはあるんじゃないかい。「瀬川」を背負うっていうのは、そういうことだと思うけどね。
『べらぼう』9話より
※間夫(まぶ):遊女が心底惚れた男のこと。歌舞伎の演目『助六』で、遊女の揚巻(あげまき)は、金持ちの遊客から間夫の助六が罵倒されたとき、有名なセリフ「間夫がなければ女郎は闇」と返します。

瀬川を演じる小芝風花さんは、『あきない世傳 金と銀』も、報われない女性が多い江戸時代に、自分の才覚で道を切り開いていく主人公・幸を演じていて、強さとしなやかさが通じています。
身請けって?
8話で九郎助稲荷・語り(綾瀬はるかさん)が解説していましたが、「身請け」とは、女郎が客に身の上を引き受けてもらうことで、その費用は100両(=4~600万円くらい)から「瀬川」クラスになると千両(=4~6千万円くらい)とも。

鳥山検校からの身代金は1400両。1両が現代の4~6万円相当なので、5600~8000万円と言うことになります。
吉原の年季奉公は10年。だいたい17歳でお披露目されるので27歳まで。ですが、有休は年に2日しかない、休みたければ自分でその日をお金を出して買う、身の回りの品々、禿の身の回り等々、全て花魁自身の負担なので、年季が明けても借金が残っていることが多く、また、心身ともに負担がかかることから、市中の女性より平均寿命も短く、1話でなくなった朝顔のように病で亡くなる人も多数いました。
鳥山検校のように、1億円近いお金を出せる人はごくわずか。瀬川は、「人生をガラリと変えて」他の女郎たちに「背中を見せる」ために決断しました。

やはり瀬川は男前です。
9話の「玉菊燈籠」と吉原のPR年中行事
9話では、吉原で7月に行われる「玉菊燈籠(たまぎくどうろう)」を見に来る人用に発行された通行証がキーワードになりました。
吉原の三大行事
吉原には、客寄せのためにさまざまな年中行事が催されていて、中でも7月の「玉菊燈籠(たまぎくどうろう)」、3月の「花見」と、8月の「俄(にわか)」が、吉原の三大行事と言われています。
7月の玉菊燈籠は「玉菊」を偲んで。

気立てが優しく、吉原に尽くした花魁・玉菊を偲んで、お盆に灯篭を飾っていたのが、吉原の客寄せ行事に発展していったそうです。
8月の「俄(にわか)」は九郎助稲荷の祭礼

「俄(にわか)」は九郎助稲荷の祭礼に併せて8月の1か月間、吉原の芸者衆が余興を行いました。

花見の季節の前には、桜の木をごっそり植えて、終われば抜いて、5月には菖蒲やあやめをごっそり植えたとのことです。夜もライトアップされて、蔦重がいる引手茶屋で通行証を書いてもらって女性も見物に来ていたので、さながらテーマパークのような賑わいだったのだと思います。

※玉菊燈籠、俄のほかに、月見や初会の絵なども描かれている『青楼絵抄年中行事(せいろうえしょう ねんちゅうぎょうじ)は、 絵師:喜多川歌麿、 作者:十返舎一九で、1804年に刊行されました。
9話に出てきた「江戸ことば」
9話は、シリアスな場面が多かったこともあり、江戸ことばは少なめでした。
鳥山検校「遅かりし由良之助」、瀬川「ご生害には間に合いんしたようで」は、「待ちわびたよ~」「あら、ごめんないさい」と言う感じですね。歌舞伎の不朽の名作「仮名手本」のセリフからです。

巌流島の「武蔵、遅い!」「小次郎、破れたり」のような「山と言えば川」的な言葉遊びが好きですね。
「遅かりし由良之助」:鳥山検校が瀬川が花魁道中で迎えに来るのを待ちわびて
「ご生害には間に合いんしたようで」:瀬川が鳥山検校の言葉に返事して
→歌舞伎の不朽の名作「仮名手本」の名ゼリフ
「べらぼうめ!」:九郎助稲荷で、瀬川が蔦重に向かって
9話も続く!平沢常富(尾美としのりさん)はどこ?

9話では、30分48秒に画面奥右手の引手茶屋から出てきて、新之助が吉原大門を入っていくのと入れ違いに31分に新之助とすれ違い、その後、尾美としのりさんが楽しそうに一人で大写しで大門を出ていく姿がばっちりと確認できました。

9話では(7月だからか)羽織は羽織らず、白地に藍色の柄の涼し気な着流し姿でした。
9話の30分頃は、新之助が玉菊燈籠を見たいと言っている「久(ひさ)」という娘(東雲うみさん)のために、吉原大門を通る通行証を蔦重に書いてもらった後の場面。
実はその通行証は新之助がうつせみを足抜けさせるために、うつせみに持たせる用の偽の通行証で、久にはお駄賃を上げて吉原大門の前でバイバイした後の場面でした。
9話も、8話に続くボーナス出題です。ニコニコ楽しそうな尾美としのりさんの姿が9話の残酷なストーリーの癒しパートになっていると感じました。
クレジットにお名前が出た2話からの「尾美としのりはどこ?」について、こちらで詳しくレポートしていますので、よろしければお読みください↓
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第9話のキャスト
9話では、田安賢丸の妹・種姫を演じる小田愛結さんと、通行証に名前を借りるための久(ひさ)役東雲うみさんが新登場されました。
松葉屋のやり手・まさ(山下容莉枝)と、7話でかをりの目付け役で登場した大文字屋のやり手・しげ(山村紅葉さん)がおしゃべりする場面などが今後あるのか楽しみです。
第9話の全キャスト一覧(役名のある人) |
蔦屋重三郎:横浜流星 花の井:小芝風花 小田新之助:井之脇海 うつせみ:小野花梨 田安賢丸:寺田 心 松の井:久保田紗友 とよしま:珠城りょう まさ:山下容莉枝 留四郎:水沢林太郎 種姫:小田愛結 ひさ:東雲うみ はなぞの:平尾菜々花 はなさと:齋藤さくら さくら:金子莉彩 あやめ:吉田帆乃華 丁子屋長十郎:島英臣 長崎屋小平治:千葉清次郎 桐屋伊助:キンタカオ 伊勢屋九平治:会田泰弘 玉屋庄兵衛:岡山和之 万字屋半四郎:岡けんじ 鳥山検校:市原隼人 次郎兵衛:中村蒼 松葉屋半左衛門:正名僕蔵 大文字屋市兵衛:伊藤淳史 扇屋宇右衛門:山路和弘 りつ:安達祐実 いね:水野美紀 ふじ:飯島直子 きく:かたせ梨乃 平沢常富:尾美としのり 鶴屋喜右衛門:風間俊介 西村屋与八:西村まさ彦 鱗形屋孫兵衛:片岡愛之助 駿河屋市右衛門:高橋克実 語り(九郎助稲荷):綾瀬はるか |
『べらぼう』9話のキャスト徹底解説はこちらで詳しくお届けしています↓
第9話の制作陣
脚本 | 森下佳子 |
音楽 | ジョン・グラム |
テーマ音楽指揮 | 下野竜也 |
演出 | 新田真三 |
『べらぼう』1週間の放送予定は?
日曜日 | おひる12時15分~13時 | BSプレミアム4K |
日曜日 | ゆうがた6時~6時45分 | BS |
日曜日 | よる8時~8時45分 | NHK総合 |
次の土曜(日曜日の再放送) | おひる1時05分~1時50分 | NHK総合 |
※地上波放送のNHK総合よりも、NHK BSプレミアム4K、NHK BSの方が早く放送されます。※放送日時は変更される場合があります。
また、NHKの受信契約をしている方はNHK+(プラス)で放送後の番組を7日間視聴できます。
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まとめ
『べらぼう』第9話では、蔦重と瀬川は気持ちを確かめ合ったものの、2人の前に吉原の厳しい現実が突きつけられます。手を触れただけのラブシーン。切なさいっぱいの9話でした。
・市中の地本問屋に手を切ると言われる
・鳥山検校が瀬川の身請けを希望する
・蔦重は瀬川への気持ちに気付く
『べらぼう』ネタバレあらすじまとめはこちらから↓
『べらぼう』のキャスト一覧はこちらから
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