大河ドラマ『べらぼう』第2話は「吉原細見 嗚呼(ああ)御江戸」。平賀源内と花の井のやり取りがみどころです。
タイトルの「吉原細見 嗚呼(ああ)御江戸」は平賀源内が書いた吉原のガイドブック『吉原細見』の序文の決め台詞。江戸ことばの小気味よいリズムと、しゃれた響きにグッときます。本編中に飛び交う軽快な明るさに浮世の辛さを笑い飛ばすエネルギーがあふれています。
そんなあなたに、ネタバレあらすじとみどころと『べらぼう』2話の視聴方法をお届けします。
大河ドラマ『べらぼう』の再放送は、地上波では放送翌週の土曜午後1:05から放送されます。
放送後7日以内はNHKプラスで、7日過ぎた場合や『べらぼう』第2話からの見逃しイッキ見には、U-NEXTでNHKオンデマンドを。
2話は安田顕さん演じる平賀源内の魅力が満載でした。『50ボイス』で安田さんが語っていた「べらぼうに早口でセリフ回しをしている」様子と、愛する「瀬川」の面影をしのんで、花の井(小芝風花さん)に「変わった求め」をしている時の源内の表情が慈愛にあふれていて、そのギャップにじんわりしました。
そして、蔦重を助けようと一肌脱ぐ花の井(小芝風花さん)の男装と目がいいです。小芝さんの声に艶と響きがあって風格ある花魁を見事に体現されています。
癒しパートでは、花の井に夢中な平蔵が蔦重に騙されるまま紙花(ピンク色の薄い紙でできた今でいうチップ。1枚=2万円前後)をばらまく姿が『大富豪同心』の卯之吉そのままで、いつあの鬼平に生まれ変わるのだろうと期待しかありません。
※『べらぼう』放送直前番組の『ボイス50』『見て頂戴スペシャル』は2025年1月18日までの配信です。この機会にお見逃しなく。
>>U-NEXT31日間無料体験で『べらぼう』も『ボイス50』も『見て頂戴スペシャル』もイッキ見はここから!
第2話あらすじ(ネタバレ注意)
蔦屋重三郎(横浜流星さん)は、吉原の案内本『吉原細見』で客を呼び寄せる案を思いつく。その序文の執筆を依頼するため、歯磨き粉の宣伝文句を作った江戸の有名人・平賀源内(安田顕さん)探しに奔走します。
源内を知っているといる炭売りが、源内を紹介する代わりに吉原で遊ばせて欲しいというので、蔦重は案内することになりますが……。
1話で初めて蔦重が源内(とはまだ知らず)が出会った厠で『50ボイス』でコメントされていたエキストラの方の映像が流れました。今後も出演されると嬉しいですね。
『べらぼう』1話から最新話ネタバレあらすじまとめはこちらから↓
U-NEXT31日間無料体験で『べらぼう』イッキ見はここから!
蔦屋重三郎の生涯。
蔦屋重三郎の生涯を年表にまとめてみました。数え年などで多少前後します。ご了承下さい。
第2話にあたるのは、赤字の部分です。
年 | 何歳 | 出来事 |
---|---|---|
1750(寛延3)年 | 1歳 | 1月7日誕生。父は丸山重助、母は廣瀬津与 |
1756(宝暦6)年 | 7歳 | 両親が離婚、重三郎は喜多川家(吉原の茶屋「蔦屋」)に養子入りする |
1758(宝暦8)年 | 9歳 | 松平定信誕生 |
1772 (明和9/安永元)年 | 23歳 | 田沼意次が老中に就任 明和の大火が発生 |
1773(安永2)年 | 24歳 | 重三郎が吉原大門口間道の左側に書店を構える |
1774(安永3)年 | 25歳 | 春、鱗形屋からの依頼で吉原細見『細見嗚呼御江戸』を改め押し売りを開始。7月、女郎を生け花に見立てた『一見千本』を刊行する。 |
1775(安永4)年 | 26歳 | 書肆(本屋)として独立する |
1783(天明3)年 | 34歳 | 一流版元の並ぶ日本橋通油町に進出、江戸屈指の地本問屋に成長 |
1791(寛政3)年 | 42歳 | 寛政の改革によって出版物が摘発され、身上半減の過料を受ける |
1797(寛政9)年 | 48歳 | 5月6日死去。 |
U-NEXT31日間無料体験で『べらぼう』2話からイッキ見はここから!
2話のみどころと感想。
1話で蔦重と花の井を幼いころから可愛がってくれた朝顔姉さんが無残な形で亡くなったことで、同じ哀しみを背負った蔦重と花の井の距離間がこれまでは明らかに違ってきました。
「あんたは一人じゃない」と、蔦重の夢を助ける花の井。(平賀源内にはお見通しの)花の井の蔦重への思いが感じ取れて、嬉しいような哀しいような気持ちになりました。
2話のみどころは平賀源内のこれぞコピーテイラー!のすごさ。自分がいいと思わないと心が動かなくて宣伝文が書けないんですね。
男性が好きな源内に吉原を気に入ってもらうためには、蔦重が女装して…とあらぬ方向に話しが進んでいくのかとヒヤヒヤしましたが、源内の心のうちは二代目瀬川菊之丞(花柳寿楽さん)という大好きな方を亡くして、せめて「瀬川」という名の花魁に会って瀬川を偲びたいんだ。という深い情感を感じました。
花の井が男装した時に頭に乗せていた紫の布、時代劇などで女形の人に良く見かけます。あの布はちょんまげを結っている男性が女装する時に髷を隠すためや生え際を隠すために付けているそうで「紫帽子」など呼び方があります。花の井は女性が男装していたので逆バージョンでしたが「女形の菊之丞を演じている」とわかるので、なるほど~と思いますね。
花の井を演じる小芝さんの「目」はもちろんのこと、セリフ回しの時の声の艶と張り、草子を読み上げている時の声の抑揚が妖艶で素晴らしいです。
滑舌がいいだけでなく艶のあるよく響く声。天性の資質もおありだと思いますが、たゆまぬ努力の賜物だと感じました。
『大河ドラマ名場面スペシャル』で渡辺謙さんが石坂浩二さんの過去作の名場面シーンを見て、「口跡が素晴らしい」※口跡:発音が正確明瞭でなめらかなこと。とコメントされていたのを思い出しました。小芝さん、まさに口跡が素晴らしいです!
「瀬川」を求めにやってきた源内に、男装して「引け四つまでのたかが戯れ、とがめるヤボもおりますまい」と粋な気遣いを見せる花の井のカッコよさ。それを受けて「諸国大名、弓矢で殺す、松葉の瀬川は目で殺すってなとこか」と、花の井の気持ちを受け取る平賀源内。どちらも粋です。
一晩、源内の求めに答えた花の井。翌朝、肩が凝っている様子の花の井に「何をしたんだ?」と詮索したくなるような場面。「変わった求め」の内容が分かると、蔦重は思わず「なんかすげえな」と言います。
源内のしっとりした情緒とそれをくみ取る花の井の心映えがピタッと合って、素晴らしい『吉原細見嗚呼(ああ)御江戸』が生まれたように思いました。
幕府も、第2話で役者が出揃いました。
南鐐二朱銀銭を出して、武士が経済を握る政策を進める田沼意次(渡辺謙さん)、田沼意次と敵対する勢力のトップ・松平武元(石坂浩二さん)。
2人を軋轢を静観する吉宗の孫で一橋徳川家の当主・一橋治済(生田斗真さん)。
そして生真面目な(後に寛政の改革を行う)田安賢丸(寺田心さん)。
足軽から老中にのぼりつめた田沼意次は松平武元に対して常に慇懃無礼な態度。松平武元とのけん制にゾワゾワします。
南鐐二朱銀(なんりょうにしゅぎん)って何?
田沼時代に幕府が発行した銀貨。表面には「以南鐐八片換小判一両(銀貨8枚=金貨1両)」と刻印されていて裏には「銀座常是(幕府公式の鋳造場で製造)」と刻印されていました。江戸は金貨が中心、京都や大坂は銀貨が中心だったのを金貨と銀貨を統一して経済を発展させるねらいがありました。
舞台設定が全く違う吉原と幕府で、物語がドラマティックに展開していきます。
>>U-NEXT31日間無料体験で『べらぼう』の見逃しイッキ見はこちらから!
花の井にぞっこんの平蔵の金使い、大丈夫なの?
のちに火付盗賊改方として江戸市民から絶大の信頼を得る長谷川平蔵宣以(中村隼人さん)のハチャメチャ放蕩ぶりが笑いを誘います。
「初会で花魁が笑顔を見せたら落ちた証拠」なんて蔦重に吹き込まれて、平蔵は花の井の気を引こうと必死です。
花の井の好みは江戸っ子で向こうみず、「紙花=チップ」をまいて見せるような…と言われて、盛大に紙花をまく平蔵さん。
紙花はピンク色の薄い紙でした。一枚2万円前後とのことで、2万円の紙がヒラヒラ舞い散ります。平蔵さん一晩で何枚撒いたんでしょうか?
この平蔵の放蕩ぶりは、中村隼人さん主演の『大富豪同心』の卯之吉のパロディ化と思う程です。大富豪同心の三国屋は日本一の大富豪なので、財産は尽きませんが、『べらぼう』の平蔵さんの行く末が心配です。
『べらぼう』放送直前スペシャル番組『50ボイス』で撮影裏話をご覧いただけます。
>>U-NEXT31日間無料体験で『べらぼう』の見逃しイッキ見はこちらから!
平賀源内と花の井/瀬川の気持ちのやり取り
蔦重は1話で田沼意次に会いに行けばいいとアドバイスしてくれた「厠の男」が平賀源内だとは知らないまま、吉原で遊ばせてくれたら源内に合わせてやると、炭焼きの男(=源内)言われて、その男と共にいた新之助(井之脇海さん)を吉原に連れて行きます。
源内は男性が好きなので、誰にもなびきませんが、新之助はうつせみ(小野花梨さん)に一目ぼれしたようです。それをにこやかに見守る源内。
源内の心には亡くなった歌舞伎役者・二代目瀬川菊之丞の面影が強く残っているので、吉原の名跡「瀬川」に会いたいと言い出します。
二代目瀬川菊之丞(にだいめ せがわ・きくのじょう)とは?
江戸・寛延から安政期で人気を集めた歌舞伎の女形役者。屋号は濱村屋、俳名は路考。現在の歌舞伎・日本舞踊で人気演目のひとつになっている『鷺娘』は二代目菊之丞が初演したもの。路考髷、路考茶、路考櫛など、その名の付くものが庶民に流行するほど大人気(今でいうインフルエンサー)。平賀源内との仲は有名だった。 安永2(1773)年没。源内は菊之丞を主人公にした『根南志具佐(ねなしぐさ)」という小説も書いています。
そこへ花の井が男装で現れ、源内は亡くなった菊之丞と同じ“瀬川”という名の者と過ごしたいからでしょうと今宵の自分は「瀬川」です。と粋に振舞います。
源内は、花の井に菊之丞が稽古していた時のように、舞って欲しいと願い出ます。花の井が鼻歌を歌いながら舞いはじめると、源内は花の井に菊之丞の姿を重ねます。
源内と花の井の「粋な心映え」がピッタリ合った場面です。
>>U-NEXT31日間無料体験で『べらぼう』の見逃しイッキ見はこちらから!
平賀源内の序文が生まれます。
映画のワンシーンのような吉原の映像が流れて、源内の序文が生まれます。
女衒(ぜげん)、女を見るに法あり。
一に目、二に鼻筋、三に口、四に生え際、ついで肌は歯はとなるそうで、吉原は女をそりゃ念入りに選びます。とはいえ、牙あるものは角なく、柳の緑には花なく、知恵のあるものは醜く、美しいのに馬鹿あり(中略)
ところがよ 引け四つ木戸の閉まる頃 これがみな 誰かのいい人ってな 摩訶不思議 世界ってなぁ まぁ広い 繁盛繁盛 嗚呼(ああ)御江戸
『べらぼう』第2話より~
七五調でリズムがいいですね。
この場面を見ていると、頭の中に「夕焼け小焼けで日が暮れて~」みんなお母さんの元に帰っていく図が浮かんできました。
情感たっぷりの平賀源内の広告文。流行らないはずがないですね。
蔦重と花の井の大合唱・漱石香の宣伝文句
当時、誰もが蔦重と花の井のように口ずさんでいただろう、漱石香のキャッチコピー。
効くか効かないかはわからないけど、使ってみたくなりますね。
東西、東西、ふしあわせ。
『べらぼう』第2話より~
商いの損 あい続き 効くか効かぬのほど 夢中にて一向存じ申さず候
歯磨き漱石香
「箱入り歯磨き漱石香~歯を白くし~口中あしき匂いを去る~」という歌を子どもたちに歌わえて大PRしたそうです。
>>U-NEXT31日間無料体験で『べらぼう』の見逃しイッキ見はこちらから!
2話に出てきた「江戸ことば」と専門用語
2話では「べらぼう」を初めとするも思わずニヤリとしてしまう軽妙な江戸ことばが出てきました。
だれが | |
---|---|
蔦重 (横浜流星) | ふてェこと考えるね(松の井姉さんに向かって) ありがた山のトンビがらすです(鱗形屋孫兵衛に) うまくはイカのくちばしか かたじけなすび(花の井に) |
花の井 | バカのバカ、バカの三段重ねでござりんす(蔦重に) |
源内 | 諸侯大名弓矢で殺す、松葉の瀬川は目で殺す(花の井に) |
ついでに2話では、聴き馴染みのない用語も出てきました。
花魁の張りの「張り」とは、人情味と反骨精神が混然一体となったもの、花魁のプライドや意地も含まれています。初会でなびいたら花魁の美意識とプライドが許さない。と、そういう意味に解釈しました。
蔦重が言っていた「因果を含める」とは、やむを得ない事情を説明してあきらめさせたりすることを意味する慣用句。でこの場合は、花の井に平蔵を適当にあしらってやってという言い含めだと理解しました。
U-NEXT31日間無料体験で『べらぼう』イッキ見はここから!
第2話のキャスト
役名 | 俳優名 |
蔦屋重三郎 | 横浜流星 |
厠の男 | 安田顕 |
花の井 | 小芝風花 |
長谷川平蔵宣以 | 中村隼人 |
小田新之助 | 井之脇海 |
うつせみ | 小野花梨 |
田安賢丸 | 寺田心 |
松の井 | 久保田紗友 |
とよしま | 珠城りょう |
まさ | 山下容莉枝 |
長兵衛 | 三浦獠太 |
田安治察 | 入江甚儀 |
清水重好 | 落合モトキ |
小泉忠五郎 | 芹澤興人 |
磯八 | 山口祥行 |
仙太 | 岩男海史 |
徳兵衛 | 山本圭祐 |
唐丸 | 渡邉斗翔 |
松平輝高 | 松下哲 |
瀬川菊之丞 | 花柳寿楽 |
はなぞの | 平尾菜々花 |
はなさと | 齋藤さくら |
さくら | 金子莉彩 |
あやめ | 吉田帆乃華 |
次郎兵衛 | 中村蒼 |
松葉屋半左衛門 | 正名僕臓 |
いね | 水野美紀 |
藤八 | 徳井優 |
平沢常富 | 尾美としのり |
大崎 | 映美くらら |
松平康福 | 相島一之 |
一橋治済 | 生田斗真 |
鱗形屋孫兵衛 | 片岡愛之助 |
駿河屋市右衛門 | 高橋克実 |
松平武元 | 石坂浩二 |
田沼意次 | 渡辺謙 |
『べらぼう』のキャスト一覧はこちらから
U-NEXT31日間無料体験で『べらぼう』2話からイッキ見はここから!
第2話の制作陣
2話では江戸の文化や風俗に興味を持たれる方も多いと思います。時代考証の方を中心にご紹介します。『50ボイス』で吉原風俗考証や版元考証の方のコメントが見れますのでぜひ。
脚本 | 森下佳子 |
音楽 | ジョン・グラム |
語り(九郎助稲荷) | 綾瀬はるか |
テーマ音楽指揮 | 下野竜也 |
演出 | 大原拓 |
時代考証 | 山村竜也 |
版元考証 | 鈴木俊幸 |
戯作考証 | 棚橋正博 |
風俗考証 | 佐多芳彦 |
吉原風俗考証 | 山田順子 |
所作指導 | 花柳寿楽 |
芸能指導 | 友吉鶴心 |
江戸糸あやつり人形指導 | 結城孫三郎 |
江戸ことば指導 | 柳亭左龍 |
廓ことば指導 | 園英子 |
インテマシーコーディネーター | 浅田智穂 |
衣装 | 阿部司 |
メイク | 北原勇樹 |
かつら | 山田康文 |
特殊メイク | 平瀬絵美 |
インテマシーコーディネーターについては、『50ボイス』の記事で詳しくご紹介しています。よろしければどうぞ>>『べらぼう50ボイス』番組に携わる50人にインタビュー
U-NEXT31日間無料体験で『べらぼう』イッキ見はここから!
まとめ
『べらぼう』第2話「吉原細見 嗚呼御江戸」花魁・花の井の「張り」と平賀源内の粋で深い気持ちが見事に表現されました。漱石膏や『吉原細見』の序文は今聞いてもその軽快さに心掴まれます。
『吉原細見』の改めをすることになった蔦重。さて来週はどんな試練が待ち受けているのでしょうか、そしてどんな痛快な展開が待っているのか、楽しみですね。
『べらぼう』ネタバレあらすじまとめはこちらから↓
放送後7日以内はNHKプラスで、7日過ぎた場合や『べらぼう』第2話からの見逃しイッキ見には、U-NEXTでNHKオンデマンドを。
U-NEXT31日間無料体験で『べらぼう』イッキ見はここから!
『べらぼう』大河ドラマガイド・前編はこちらから↓
第16話までのあらすじや、豪華な出演者インタビューなど盛りだくさんの内容です。
NHK大河ドラマ 歴史ハンドブック べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~: 蔦屋重三郎とその時代 (NHKシリーズ) はハンディタイプで、ゆかりの地めぐりのおともにピッタリです↓
台本から書き起こした小説本はこちら。ネタバレ中のネタバレ内容なので、お読みになる方は心してご購入下さい↓
本ページの情報は2025年1月時点のものです。最新の情報はU-NEXTサイトでご確認ください。
#べらぼう
コメント