『光る君へ』36話”待ち望まれた日”では、中宮・彰子が念願の皇子を出産します。出産のシーンでは『紫式部日記』の記述が美しく再現されていて『源氏物語』九帖”葵”も連想させられます。
敦成(あつひら)親王の「五十日の儀」の夜を境に、道長とまひろの関係が怪しまれるようになります。
を知りたい方にネタバレあらすじとみどころと「光る君へ」36話の視聴方法をお届けします。
大河ドラマ「光る君へ」の再放送は、地上波では放送翌週の土曜午後1:05から放送されます。
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第36話あらすじ(ネタバレ注意)
一条天皇(塩野瑛久さん)の中宮・彰子(見上愛さん)がついに懐妊します。宮中が色めきだつ中、まひろ(吉高由里子さん)は彰子から、天皇に対する胸の内を明かされます。
一方、清少納言(ファーストサマーウイカさん)は、まひろが道長(柄本佑さん)の指示で物語を書いたことを知り、伊周(三浦翔平さん)にある訴えをします。
出産が近づくにつれて不安を抱える彰子に、頼りにされるまひろ。他の女房らに嫉妬されつつ、道長から新たな相談を受けます。
伊周から帝の心をとらえた物語を書いたのは前越前守の娘=まひろと聞いた瞬間の清少納言(ファーストサマーウイカさん)の顔のピク付きがすごかった…
「光る君へ」ネタバレあらすじまとめはこちらから↓
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紫式部の生涯。まひろは39歳。
紫式部の生涯を年表にまとめてみました。第36話にあたるのは、赤字の部分です。
年 | 年齢 | 出来事 | 天皇と周辺 |
---|---|---|---|
966年 | 三郎/道長が生まれる | 円融天皇 | |
970年頃? | 1歳 | まひろ/紫式部が生まれる | |
978年 | 8歳 | 三郎/道長と出会う 母・ちやはが亡くなる | |
984年 | 15歳 | まひろが成人する。 父・為時、式部省の役人に。 | 花山天皇即位 |
985年 | 16歳 | 4月7日道隆主催・漢詩の会 | 忯子死去。 |
986年 | 17歳 | 為時、解職。 | 藤原義懐が権中納言に。 一条天皇即位 |
990年 | 21歳 | 藤原定子が一条天皇に入台。 兼家を継ぎ、道隆が関白に | |
993年 | 24歳 | 清少納言が定子に仕える | |
994年 | 25歳 | 都で天然痘が大流行する | |
995年 | 26歳 | 道隆が死去、道兼が死去。 6月 道長が右大臣に 長徳の変 | |
996年 | 27歳 | 父・為時の赴任地・越前に同行。 | 道長、左大臣に。 |
998年 | 29歳 | 帰京。藤原宣孝と結婚。 | |
999年 | 30歳 | 長女・賢子(大弐三位)出産。 | 彰子が一条天皇に入内。 一条天皇と定子に敦康親王誕生 |
1000年 | 31歳 | 定子が皇后、彰子が中宮に。 定子死去。 | |
1001年 | 32歳 | 藤原宣孝と死別。 | |
1004年 | 35歳 | 『源氏物語』執筆開始。 | |
1005年 | 36歳 | 道長の求めで宮仕え開始。 道長の娘・彰子に仕える。 | |
1006年 | 37歳 | 宮仕えを放棄→再び戻る。 | |
1007年 | 38歳 | 『源氏物語』が人気になる。 | |
1008年 | 39歳 | 一条天皇と彰子の間に敦成親王 (後の後一条天皇)誕生 | |
1009年 | 40歳 | 一条天皇と彰子の間に敦良親王誕生 | |
1010年 | 41歳 | 『紫式部日記』執筆開始。 | |
1011年 | 42歳 | 弟・惟規死去。 | 一条天皇が退位。三条天皇即位。 一条天皇死去。 |
1012年 | 43歳 | 彰子が皇太后となる | |
1013年 | 43歳 | 宮仕えを辞める | |
1014~31年 | 44~61歳 | 紫式部死去(諸説あり) | |
1028年 | 道長死去(62歳) |
彰子の変化
35話で泣きながら一条天皇に直球の告白をした彰子。思いは一条天皇に届き、彰子は懐妊、皇子を出産することになります。
今までの「奥ゆかしくて、何を考えているのかわからない」彰子はもういません。お慕いする一条天皇に一歩でも近づきたいと帝が好む白居易の『白氏文集』を密かに学び、一条天皇を驚かせたいとまひろに個人レッスンを頼みます。
政で頂点に立つために必要なマインドや一条天皇はどう考えているのかを知るには『白氏文集』とまひろの解説を聞くのが一番の近道です。まひろほどの適任者はいないと思います。
もう一点、彰子の心が目覚めるのに大いに影響を受けているのがまひろ/籐式部の人生観です。
「人の好き嫌いの心はとても変わりやすいもの。嫌いとなれば傷ばかり探し出します」と彰子に話すまひろ。これを聞いた彰子は自分に投影して「私も間もなく、帝に傷を探されるのだろうか」と不安げな表情をします。まひろは「瑕、とは、大切な宝なのでございますよ」と諭します。「瑕こそ、人をその人たらしめるものにございますれば」。
まひろが一歩一歩心の扉を開く手伝いをして、次第に彰子は感情を表に出すようになります、二人で寄り添ってきた敦康親王にも言葉多く語りかけます。
彰子が明るくよく話すようになってビックリしました(^^)『源氏物語』的に考えますと敦康親王は彰子に強い愛情を感じているのかもしれませんが、彰子は感覚としては母と言うより姉の位置で敦康親王に家族愛を感じています。
命がけの出産
彰子は出産の向けて土御門邸に里帰りします。籐式部や女房たちもみな一緒です。道長とまひろが同じ空間にいるだけでハラハラするのに、倫子さんも同じ屋根の下かと思うと今後の展開が心配でなりません。
道長はそんなことはお構いなしで、まひろのところにやってきて、籐式部の目から見た出産の記録を残すよう頼みます。これが『紫式部日記』です。
道長は彰子や倫子との姫たちの父であり、ザ・左大臣の権力者の顔です。
母・倫子の腕の中で彰子が産気づきます。物怪や怨霊が彰子とお腹の子に襲い掛かります。高僧たちが祈祷してそれを寄坐(よりまし)に乗り移らせようとして念仏や祈祷、叫び声がカオスとなって恐ろしい光景が繰り広げられていきます。
『紫式部日記』に記された彰子出産の一部始終がまひろの心の声で流れます。
五十日の儀
現代の「お食い初め」の儀式にあたる五十日の儀、敦成親王(あつひらしんのう)が元気に育っているようでよかったですね。こんなめでたい日には公達が皆集まって、無礼講で酒宴が催されます。
まひろが公任にまたチクリ
第7話”おかしきことこそ”の「雨夜の品定めトーク」で公任(町田啓太さん)はまひろのことを「地味でつまらぬ女」と言っていました。これを外で聞いていたまひろ。
それを受けて、33話”式部誕生”の公任と斉信(金田哲さん)がまひろを訪れる場面では、彰子に仕える女房たちが世間知らずのお嬢様ばかりで、見た目はいいが使い物にならないとまひろに話します。
まひろは「雨の品定め」からの「私のように地味でつまらぬ女は己の才を頼みにするしかありません」とチクリ。
そして、また五十日の儀の酒宴でほろ酔い公任がまひろにちょっかいを出します。
町田啓太さんの公任は品があって、ちょっかいの出し方も風流だなぁと思いました。
公任:このあたりに、若紫はおいでかな。若紫のように美しい姫はおらぬなぁ笑。
まひろ:ここには光る君のような殿がおられませぬ。ゆえに若紫もおりませぬ。
「光る君へ」36話より
文学を愛する公任とまひろならではのジャブの応酬という気がしましたが、御簾の向こう側にいる道長には二人の会話は聞こえません。見えるのはシルエットだけです。
道長が思わず動いてしまう
公任への嫉妬心なのか、まひろへの「僕を見て」の気持ちなのか、道長が籐式部/まひろに歌を詠むよう命じます。
まひろは「え、なんでここで私を呼ぶの?」という顔付きでしたが、即座に歌を詠みます。
いかにいかが かぞへやるべき 八千歳の あまり久しき 君が御代をば
(さていかが数えおおせられましょう。幾千年も続くに違いない、末永い若様の行く末を。)
「光る君へ」36話より
『光る君へ』の設定の中では、漢詩も歌もあまり得意ではない道長がすぐ返歌を詠みます。
あしたづの よはひしあらば 君が代の 千歳の数も 数へ取りてむ
鶴の齢は千年。その寿命がもし我にあるならば、君が代も千年先までお年を数えとってやろうぞ。(ともあれ、命の尽きるまで若君に尽くす覚悟だ。)
「光る君へ」36話より
まひろは文才があるので、ソク読み可能だと思いますが、道長の返歌は『光る君へ』では出来すぎ。つまり事前に二人で打ち合わせ済みなのか、心が響き合っているためなのか…と倫子と赤染衛門は感じたに違いありません。
どちらかというと、道長がお酒に酔いしれて少年に戻ってしまったから、気持ちが表に出てしまった感がありますが、この歌のやり取りによって2人の関係が周囲に怪しまれることになります。
特に、倫子や赤染衛門がその様子に疑念を抱く場面が描かれています。
『紫式部日記』とは
紫式部が彰子の女房として仕えていた頃のことが記されています。36話は『紫式部日記』の再現フィルムのようで興味深いです。
角川ソフィア文庫の『紫式部日記 ビギナーズ・クラシックス』が原文と現代語訳が別立てになっているので読みやすいです。kindle Unlimited対象本ですので(2024年9月現在)、加入されている方はぜひどうぞ。
一方、伊周と清少納言は。
御嶽詣の帰路での暗殺プランも隆家によって阻止されて、これで伊周は大人しくするのかと思ったのも束の間、彰子の出産時には母子の人形を作って必死に呪詛していました。怖いですね。
そんな伊周のもとに、清少納言がやってきます。そして一条天皇が破れるほど夢中になった『枕草子』から、今夢中になっている物語『源氏物語』は、旧知のまひろ/籐式部が書いていると知らされます。
この時のファーストサマーウイカさんの顔の動きがすごかったです。自分とまひろの比較だけではなく、大好きな定子を思っての悔しさが噴き出た表情でした。
月を見上げる道長とまひろ
彰子が無事に出産を終えました。土御門邸で柱にもたれる道長とまひろの二人のシーンは本当にドキドキしました。
まひろの家でのシーンだとほのぼの感じたのに、倫子さんがいる館だと思うだけでそわそわしてしまいます笑
まひろが一人、月を見上げながら歌を詠んでいます。
めずらしき 光さしそふ さかづきは もちながらこそ 千代をめぐらめ
中宮様という月の光に皇子様という新し光が加わった盃は、今宵の望月そのままに千代もめぐり続けるでありましょう。
「光る君へ」36話より
その歌に誘われるように道長がやってきて「その歌の心を聞かせよ」と言います。
まひろの説明を聞いたあと「良い歌だ。覚えておこう。」じっと月を見上がる二人。
1話のタイトル「約束の月」も連想しますし、道長の「望月の~」の歌も思い浮かびますね。
権力の頂点にのぼり詰めて、これから闇落ちしていくかもしれない道長ですが、まひろの前では三郎のままでいられるようです。
本話から少しだけ道長がブラックになってきた気がするのは私だけでしょうか。栄華を極めるとはこういう事なのですね涙
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まとめ
36話”待ち望まれた日”では、彰子が敦成親王を出産します。
五十日の儀での歌詠みで道長とまひろの運命は「光」と「闇」どちらに傾くのでしょう。
赤染衛門は歌の詠み合いで二人の中を確信しました。倫子は母が彰子にしてやれなかったことをまひろが…という思いもあって悟ったようです。これをきっかけに過去のピースが全て答え合わせできてしまうと倫子は辛くなりますね涙
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