「鎌倉殿の13人」47話”ある朝敵ある演説”のネタバレあらすじと感想をお届けします。
これまで鎌倉のために手を汚してきた義時が、汚れ仕事をしないで生きてこれた政子と泰時に救われます。
40話過ぎから闇落ちしていった義時が「伊豆の片田舎の次男坊」に戻れた回です。政子と実衣との兄弟関係、泰時との親子の絆が丹念に描かれていて、悲しい涙ではなく温かい涙があふれた回でした。
次回が最終回となる「鎌倉殿の13人」。
>>こちらの記事で『鎌倉殿の13人』のあらすじネタバレを全話紹介 しています。
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真面目な義時の「面白き人生」
47話が始まってすぐの、なぜか脱いでる義村が以前は御家人の言うことは何でも相談に乗っていたのになぁと義時に言っていたシーン。
8話で鎌倉のどこに御所を構えるかについて、頼朝の父の義朝の住まいを引き継いでいた岡崎義実(たかお鷹)さんが小四郎に「うちの場所はどうだ?」と相談を持ち掛ける回想シーンが流れました。
懐かしい8話はこちらから
この頃の小四郎は、御家人からの相談に耳を傾けていました。御所の場所については、頼朝と岡崎の間に入って困って、義村に相談していました。
政子、義時、実衣の三兄弟
自分が京に行って「執権の首を差し出して、鎌倉を守る」と話す小四郎。政子と実衣との3人の会話シーンが目を細めて見ると幼い兄弟のケンカとも取れます。
三谷幸喜さんが言っていた「北条家のホームドラマ」ここにあり。です。
義時は頼朝亡き後、矢面に立って歯を食いしばって鎌倉を守ってきました。
義時のやり方は古臭いところもあったかもしれませんが、ここにきて朝廷という史上最大の敵に立ち向かうにあたり、一気に報われた思いがしました。実衣の出家姿もキュートでした。
政子の演説(ステージングは2パターンあった)
12月11日のヤフーニュースによると、チーフ演出・吉田照幸監督が演説のシーンはA、Bの2つのパターンをステージングされていたそうです。
2パターンあった「政子の大演説」舞台裏 熱演生んだ“ステージングの妙”
この記事を図にしてみました。
Aパターン
Aのパターンは、「草燃える」でも採用されていた、政子と義時は横並びで、御家人たちの正面に立つ「シアター式の講演会スタイル」。これだと、義時の表情は御家人に丸見えです。
B 円形劇場スタイル
オンエアで採用されたのはBのパターンでした。政子の背後にも御家人たちがひしめき、義時は政子から離れて室内の奥にいる“客席が360度、舞台を取り囲む円形劇場スタイル。義時が一人こっそり涙を流しても誰も気づく者はいない形になります。
この2つのステージングを準備して、演じる小池さんに選んでもらったそうです。小池さんは役者としては大いなる挑戦であるBのパターンを選び、結果、小栗さんも坂口さんも感情豊かに演じることができた。と演出の吉田監督が語られていました。
義時が次男坊の「素」に戻って、また泰時の言葉を聞いて「父」の顔に戻れたのは、あの立ち位置があったからでは。と思いました。
「草燃える」での演説の内容は?
大江広元にスピーチ原稿をお願いする政子。
なんでもいいから、時がないの。急いで
「鎌倉殿の13人」47話より
のセリフには「なんでもいいの?」と思いましたが、後のシーンを見て納得しました。
「鎌倉殿の13人」の政子は、最初の一文を読み上げたあと、大江広元の用意した原稿を置きます。
そこで、正直に話します。
政子「本当のことを申します。上皇様が狙っているのは鎌倉ではない、執権義時の首です。
首さえ差し出せば兵を収めると院宣には書かれています。
そして義時は、己の首を差し出そうとしました」
義時「姉上」
政子「わたしは今、尼将軍として喋っているの。口をはさむな」
「鎌倉殿の13人」47話より
政子は続けます。
「ここで皆さんに聞きたいの。あなた方は本当にそれでよいのですか。
確かに。執権を憎む者が多いことはわたくしも知っています(義時に目をやる)。
彼はそれだけのことをしてきた。でもね、この人は生真面目なのです。
すべてこの鎌倉を守るため。一度たりとも私欲に走ったことはありません
「鎌倉殿の13人」47話より
何度見ても感動する政子の本音演説ですね。この後に出てくる「ばかにするな!」発言も圧巻です。
>>TSUTAYA DISCASで「鎌倉殿の13人」47話。登録3分。
ここで、「歴史探偵」で政子の演説が取り上げられた時のお話をご紹介します。
政子の演説が、シェークスピア作『ジュリアス・シーザー』のアントニーの演説に文章構造が似ているとのことで、その文章構造を解説していました。
「草燃える」での政子(岩下志麻さん)は朗々と演説します。文言を引用して掲載します。
今幕府は創設以来の危機に見舞われています。
私の一生に一度の言葉です。
亡き頼朝公が朝敵を征伐して、坂東に武家の府を創立されて以来
官位や俸禄のすべて、みな頼朝公のお陰でないものはありません。
昔の坂東の豪族の暮らしは、己の土地から高く税を取られ
官位など望むべくもなかったのです。
それを頼朝公は武士の力を結集して全国の領地に地頭職として武士を配したのです。
鎌倉の力をここまでにするために頼朝公がどれほどの努力を払われたか
どれほどの努力を すべて 武士のためにと。力の限りを尽くされた
亡き殿の厚恩を今こそ思い出さねばなりません。
この恩義に報いるため、何をなすべきか(涙)
それは、亡き殿が作り賜おうた、この鎌倉の力、武士の地盤としての地頭職を守り通すことなのです。にもかかわらず、上皇側は近臣の讒言を入れて、道理の合わぬ令旨を下されました。このままでは鎌倉は危うい、鎌倉は危ういのです。
今鎌倉は創立以来の危険に見舞われているのです。
亡き殿の恩義に感じ、名を惜しむものは早速出発するのです。
鎌倉を出でて逆党を討ち取るのです。
ただし上皇側に尽きたいというものはそれではも構わぬ。
この場で早速、その旨申し出るがよい。
「草燃える」5話より
「草燃える」総集編の5話では、
ここで、三浦義村が「そのような者は、おるはずがない!」
と声をあげます。
確かに「草燃える」も「鎌倉殿の13人」47話でも、この文章構造が効いています。
「情に訴える部分」は、「草燃える」では頼朝の実績について具体的に述べ、「鎌倉殿の13人」47話では義時について「生真面目」「鎌倉を守るため」「私欲に走ったことがない」というワードで情に訴えています。
視覚に訴える部分では、「草燃える」では、政子の演説中に頼朝の回想シーンが流れ、「鎌倉殿の13人」では政子が目に涙をためながら話している姿、小四郎がこらえきれずに泣く顔、政子が小四郎に微笑む方が映し出されます。
まとめ
47話は承久の乱まで進むと予想していたので、いい意味で期待を裏切られました。
北条家の大いなるホームドラマ、政子は誰も死なせたくない。という一貫したポリシーが貫かれていて、心の奥底を揺さぶられる放送回でした。神回です。愛嬌がなくて、真面目一辺倒の義時の頑張りが報われた気がしました。
次回が最終回となる「鎌倉殿の13人」。これまでの「鎌倉殿の13人」の見逃しや「草燃える」もU-NEXTのNHKオンデマンドをどうぞ。
>>こちらの記事で『鎌倉殿の13人』のあらすじネタバレを全話紹介 しています。
『鎌倉殿の13人』は、NHKオンデマンドの配信が07月01日で終了しました。→2023年9月配信再開!
本ページの情報は2023年9月時点のものです。最新の情報はTSUYATA DISCAS、U-NEXTサイトでご確認ください。
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