8月24日放送の大河ドラマ『べらぼう～蔦重栄華乃夢噺～』第32話「新之助の義」は、江戸の町で高まる打ちこわしの機運と、田沼意次の復帰をめぐる幕府内の権力闘争に手に汗を握る展開でした。
丈右衛門の不穏な登場、一橋治済の市中潜入、そして「喧嘩こそ江戸の華」と掲げられた新之助ののぼり。市井に生きる蔦重と新之助の緊張感と胸アツな物語が伝わってきました。
本記事では、「べらぼう」32話の徹底レビュー＆感想をわかりやすくご紹介します。
見逃してしまった方や、もう一度じっくり振り返りたい方にもおすすめです。
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第32話のあらすじ
江戸の町と幕府、両方での大きな転機が描かれました。
救い米が出たものの、長屋の人々は田沼政治で利益を得た蔦重（横浜流星さん）に反発。妻・ふく（小野花梨さん）と、とよ坊を失った新之助（井之脇海さん）は「二人は田沼の世に殺された」と怒りをぶつけます。
蔦重は平賀源内（安田顕さん）の言葉を思い出し、「捕まらず死なず、江戸っ子らしく“喧嘩”に」と諭し、新之助は「喧嘩こそ江戸の華」とのぼりを掲げました。
一方、幕府では御三家が松平定信を推挙する一方、田沼派が田沼意次の復帰を画策。治済（生田斗真さん）が市中にサプライズ登場、流言を広めて人心を乱します。
さらに狂歌師・大田南畝（桐谷健太さん）が出版に迷いを見せ、文化にも陰りが漂いました。
31話「我が名は天」の感想と徹底レビュー！
第32話「新之助の義」は、幕府の権力争いと市井の怒りが交錯し、まさに“時代の変わり目”を描いた回でした。不気味に現れる丈右衛門と治済の暗躍、新之助と蔦重の魂をぶつけ合う場面、そして「喧嘩こそ江戸の華」と掲げられたのぼり。緊張と熱気が入り混じる展開の数々をご紹介します。
丈右衛門の登場と治済の狂気
第32話で視聴者をざわつかせたのは、丈右衛門（矢野聖人さん）の姿でした。まるで『鎌倉殿の13人』の善児を思わせる不気味さで、彼が出てくるだけで空気が重くなります。
さらに一橋治済（生田斗真さん）が変装して市中に現れるという衝撃展開。御三家や老中を相手に暗躍するだけでなく、ついに町にまで足を踏み入れ、直接民を煽動する治済の姿はまさに狂気そのもの。治済と丈右衛門が並び立つ場面は、この先の江戸を襲う暗雲を象徴していました。
善児＋仲章に恐ろしい展開しか想像できないです。蔦重の姿カタチを仲章、いえ一橋治済はしっかり目に焼きたようで、それが恐ろしいです。
新之助と蔦重、ぶつかり合う言葉
市井では、妻子を失った新之助（井之脇海さん）の怒りが蔦重（横浜流星さん）に向けられます。「（蔦重は）田沼の世に一番成り上がった男だろう」と言い放つ新之助。
蔦重は返す言葉もなく立ち尽くしますが、平賀源内（安田顕さん）の「我が心のままに」という言葉を胸に、再び前を向きます。
新之助の方が源内先生と寝食を共にしていたので、源内先生の言葉を思い出してハッと目が覚めたようでした。
「捕まらず、死なず、江戸っ子らしくカラッと笑える“喧嘩”にしよう」と諭す蔦重の言葉は、悲しみと怒りに沈んでいた人々の心をほぐすようでした。
ここでの横浜流星さんの演技は圧巻で、説得というより自然に周囲が惹き込まれていく説得力がありました。
新之助とおふくの出会いから最期まではこちらです↓
「新之助＆おふく」これまでの歩み
・新之助がうつせみ（＝ふく）に一目ぼれしたのは▶2話「吉原細見 嗚呼御江戸」
・失敗に終わった1回目の足抜けは▶9話「玉菊燈籠 恋の地獄」
・俄祭りの時に、二人で神隠しのように足抜けしたのは▶12話「俄なる名月余情」
・うつせみは「おふく」になり、二人で百姓をしていると分かったのは▶17話「乱れ咲き往来の桜」
・飢饉でどうにもならなくなって、二人で江戸に戻ったのは▶28話「江戸生蔦屋仇討」
・とよ坊が生まれるも…▶31話「我が名は天」
井之脇海さんと小野花梨さん出演のトーク番組も、よろしければ合わせてご覧下さい。
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のぼりに刻まれた「喧嘩こそ江戸の華」
新之助が書き上げたのぼりには「勿視金可視萬民 為世正我々可打壊」「我心のままに 喧嘩こそ江戸の華」と書かれていました。
悲しみを力に変えようとする新之助の覚悟が文字に刻まれ、その筆に託された叫びは深く響きました。「世」に妻と子を奪われた新之助だからこそ、重みを持って伝わる言葉。ここに「義」というタイトルの意味が集約されているようでした。
御三家と定信、時代を動かす面々
政治パートでは御三家が勢揃いし、徳川治貞（高橋英樹さん）、徳川宗睦（榎本孝明さん）、徳川治保（奥野瑛太さん）が揃って登場。
重鎮が居並ぶ中で、若き松平定信（井上祐貴さん）が堂々とした姿を見せたのも印象的でした。
史実ではこののち「寛政の改革」を断行する定信ですが、ドラマでも彼の清廉さと胆力が浮かび上がり、田沼政治からの転換を予感させます。
『べらぼう』でここまでに登場した人も含めた徳川御三卿の家系図はこちらです↓。種姫の大人役はどなたか登場するのか楽しみですね。
江戸っ子の言葉遊びと庶民の息吹
本話では「ありがた山」「お口巾着」「満腹山のぽんぽこダヌキ」など、ユーモラスな地口や言葉遊びも随所に登場しました。
暗い時代を描きながらも、江戸っ子らしい言葉で笑いに変えていく。そんな粋な演出が視聴者の心を軽くしてくれるのも『べらぼう』の魅力です。
ていの一言「飢えたる犬は棒を恐れず」
そして忘れられないのが、てい（橋本愛さん）の言葉「飢えたる犬は棒を恐れず」。追い詰められた人間は恐怖すら乗り越えてしまう、時代の危うさを一瞬で言い表したこの台詞は、次回予告される“打ちこわし”の前兆として強烈に響きました。
32話に登場した、印象に残った言葉・地口まとめ
地口や面白い表現
・かたじけ茄子は花までよし（蔦重が、新之助に）
・進さん、ありがた山です（新之助が蔦重に食って掛かる長屋のみんなを止めて）
・まことありがた山でございます（耕書堂にやってきた三浦に）
・蔦重＆三浦の「裏の老中」の会話にていもいて、3人で「お口巾着」
・米が出るのにうちこわしなんて、べらぼうじゃねえですか（打ちこわしに走ろうとする新之助たちに蔦重が）
・告げ口よりも注（つ）いでの口で（ボコボコにされた蔦重が打ちこわしの行こうとする新之助の長屋にやってきて）
・満腹山のぽんぽこダヌキ！って（蔦重が、長屋のみんなに打ちこわしが楽しかったねと黄表紙風の話をして）
・おっしゃる通りの油町！（新之助の「江戸の華の喧嘩にすればいいんだな」と言う言葉に）
ちょっと難しい言葉
木綿小僧：松平定信のこと。初登城の日、質素倹約で有名な吉宗公の孫であると、吉宗の好んだ木綿の着物で現れたから。
雁の間：老中が通る廊下にある部屋。小大名が詰める間。田沼意次がここにいて、田沼派の老中に進言している。
ていの言葉
・飢えたる犬は棒を恐れず。
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よくある質問
- Q『べらぼう』第32話「新之助の義」はどんな内容でしたか？
- A
江戸の町で打ちこわしの機運が高まる一方、幕府では松平定信の推挙と田沼意次の復帰がせめぎ合い、市井と政治が交錯する緊迫した展開でした。新之助が「喧嘩こそ江戸の華」とのぼりを掲げる場面が大きな話題になりました。
- Q一橋治済（生田斗真）はなぜ市中に現れたのですか？
- A
物乞いに変装して丈右衛門とともに騒動に紛れ込み、「犬を食え」などの流言を広めて人心を乱しました。権力を握るために民衆を扇動する治済の姿に、視聴者からは「狂気すぎる」と恐怖の声があがっています。
- Q新之助が掲げたのぼりの意味は？
- A
「勿視金可視萬民 為世正我々可打壊」「我心のままに 喧嘩こそ江戸の華」という言葉で、金ではなく民を見よという訴えと、悲しみを力に変えて戦う覚悟を示しました。蔦重の「江戸っ子らしくカラッと笑える喧嘩に」という言葉が影響しています。
- Q『べらぼう』第32話はどこで見れますか？
- A
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- Q次回第33話はどんな展開になりますか？
- A
いよいよ天明の打ちこわしが勃発。蔦重が意次に策を進言し、治済と定信の対立も激化します。新之助が怒りをどう昇華させるのか、大きな注目が集まります。
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まとめ
第32話「新之助の義」では、幕府の権力争いと江戸の人たちの怒りが重なり、物語はいよいよ佳境へと突き進みました。治済の暗躍、新之助が書いたのぼり、蔦重の言葉に呼応して動き出す人々。歴史の大きな流れと市井の小さな暮らしが交錯する緊張感に満ちた回でした。
蔦重と新之助の対話は、失われた命の重さと、それでも前を向こうとする人間の力を鮮烈に描き出しました。また、定信や御三家の動向からは、田沼時代から新しい時代への転換がすぐそこに迫ってきています。
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