「鎌倉殿の13人」は終盤を迎えて、山本耕史さん演じる三浦義村の存在感がますます増してきています。
史実では、義時より長生きした三浦義村。義時の盟友でありながら、時には義時に嘘をついたり、義時を出し抜いたりもします。
「鎌倉殿の13人」のクライマックスに向けて、
- この先、三浦義村はどんな風に描かれていくのか?
- 1979年大河ドラマ「草燃える」のオリキャラ・伊東祐之と比較
しながら、考察していきます。
「鎌倉殿の13人」と「草燃える」はどちらもU-NEXTのNHKオンデマンドで視聴できます。
「草燃える」とは
「鎌倉殿の13人」と同じ平安末期~鎌倉時代を描いた1979年の大河ドラマです。
主演の源頼朝は石坂浩二さん、北条政子は岩下志麻さん、北条義時は松平健さんが演じられました。
鎌倉幕府設立前後の、源頼朝と北条政子と、義時を取り巻く愛憎劇が描かれています。
詳しいキャストなどは、こちらをご覧ください。
https://dramani-hoheto.com/kamakuradono-kusamoeru/
「草燃える」で、三浦義村は誰が演じた?
「草燃える」で、三浦義村を演じたのは、藤岡弘さんです。
初代仮面ライダーの藤岡弘さん、きりっとした顔立ちが「鎌倉殿の13人」の山本耕史さんと似ています。仮面ライダーは正義の味方ですが、「草燃える」の三浦義村は、ずるがしこい策士の面もふんだんにあり、あららと思う展開も。
「草燃える」の三浦義村は、公暁が実朝暗殺を企てた際に、義時も討てとそそのかします。
これは、あくまで公暁の仇討ちという名目で、三浦からはサポートの武力は出さないという計算高さです。公暁が実朝と義時を討ったあかつきには、次の鎌倉殿=公暁を全力でバックアップする。という姿勢でした。
義時が腹痛を起こして実朝の護衛につかなかったことを知るやいなや、手のひらを返したように公暁を見捨てます。三浦義村の息子の幸若丸(京本政樹)は公暁と愛し合う仲だったので、助けを求める公暁を門前払いにし、公暁の叫び声を耐えられない気持ちで聞くことになります。「草燃える」総集編5話ネタバレあらすじと感想
「草燃える」オリジナルキャラクター伊東祐之とは?
滝田栄さん演じる伊東祐之は、義時と三島のお祭りで意気投合して以来の仲良しという設定です。
伊東祐之は政子に恋心を抱いています。
頼朝がまだ流人だった頃に、野原で祐之と義時が無駄話をしているところに、馬上の頼朝(石坂浩二)と、その馬を引く安達盛長(武田鉄矢)に出会うシーンがあります。
2人の若者は「高貴な方は違うなー」とほれぼれ見ているという場面です。「草燃える」総集編1話ネタバレあらすじと感想
そんなのどかな雰囲気だった二人ですが、義時の兄・宗時(中山仁)が頼朝を擁立しようと計画。
山木(長塚京三)と結婚することになっていた政子を奪い、頼朝を引っ付けようとする際に、祐之が当て馬にされてしまいます。
てっきり政子と一緒になれると思い、山木(長塚京三)から政子を奪って、馬の背に乗せて伊豆山権現に向かう祐之。
伊豆山権現に着いたところで僧兵にボコボコにされて(顔に傷もつけられて)政子は頼朝のもとへ行ってしまいます。かわいそうすぎる伊東祐之です。
事の次第を知らずに駆けつけた義時に対して、恨みの塊になっている伊東祐之は刀を向けます。義時も頼朝も北条も皆殺しにしてやる!と言って去っていきます。
頼朝への復習に燃える祐之ですが、大庭軍について大敗。義時に救われて京に落ち延びます。
伊東祐之の転落の人生と相反する形で、義時は頼朝の背中を見て学び、冷酷な執権へと成長していきます。
どん底まで落ちた祐之と、執権への出世街道まっしぐらの義時。図で表すとこんな感じです。
祐之はオリキャラなので、節目節目で義時との対面シーンがあります。
「草燃える」後半では、義時の最愛の人・茜(松坂慶子)にそっくりな小夜菊が祐之の養女になっています。松坂慶子さんの二役です。
祐之は和田義盛の乱に加勢した疑いで投獄されていて、その命乞いに小夜菊が義時を訪ねてきます。茜にそっくりなのでその日にうちにわが物にしてしまう義時。祐之を保免にして、二人で酒を交わすシーンがあります。「草燃える」総集編5話ネタバレあらすじと感想
祐之:小夜菊はくれてやるから和田との戦はやめないか。茜と一緒だった頃の、心に汚れのない義時に戻らないか。そこまで力の亡者になってもらいたくない。権力に目がくらんで、目が見えなくなっている。
「草燃える」総集編5話より
わずかに残っている良心を祐之に見透かされたからでしょうか、義時は動揺し逆上します。そしてあろうことか、祐之の両目をつぶさせます。
両目が見えなくなったことで、心の平穏を取り戻した伊東祐之(滝田栄)。
ラストシーンでは、琵琶法師として義時の前に現れます。
滝田栄さんは、当時、琵琶法師の琵琶と歌いを自分でやりたいと、何か月も練習されたそうです。
伊東祐之(滝田栄)の、物悲しい祇園精舎が響き渡り、権力は手にしたものの平和ではない義時と、夫・頼朝と四人の子どもにも先立たれた政子の悲哀が協調されます。
この時点で、義時と祐之の双曲線は逆転した形になります。
「パワーゲーム勝ち抜き戦」と、「心の豊かさと平和」の対比が浮き彫りになっています。
「草燃える」の伊東祐之は、ピュアな義時がどんどんブラックになっていく姿を際立たせる役割を果たしています。
では「鎌倉殿の13人」の三浦義村(山本耕史)は?
「鎌倉殿の13人」における、義時と義村の関係は、図に表すと下のようになると思います。
三浦義村(山本耕史)は、品があるけど胡散臭い。頭がいいんだけれど信用できない。つかみどころのない人物像をずっと維持しています。義村は外見も衣装も全く変わっていません。
「草燃える」の伊東祐之のように、奈落の底に落ちることはなく、特に前半に男気のあるシーンが多く、義時にとってなくてはならない存在です。
上の図にも示しましたが、乳母夫となった善哉(のちの公暁)の存在によって、多少浮き沈みはあるものの、義村(山本耕史)はこの先もおそらく変わらず、状況に応じて柳のように対処していくのかなと予想されます。
義時がどんどんブラックに闇落ちしていくのに対して、全く変わらない義持。
幸福度を何で測るのかは難しいところですが、三浦一族の安泰と最期の迎え方を考えると、義村の方が上に位置するような予感がします。
ピュアな義時がだんだんとブラックになっていくのを強調するには、変わらない三浦義村(山本耕史)との対比が効いています。
義時の息子・泰時(坂口健太郎)のピュアさが、未来への希望へとつながっていきます。
まとめ
「鎌倉殿の13人」の三浦義村(山本耕史)と、「草燃える」の伊東祐之(滝田栄)の変化について、2人を比較しながら考察しました。
「鎌倉殿の13人」では、つかず離れず切磋琢磨し合う北条義時(小栗旬)と三浦義村(山本耕史)。
伊豆の頃の、義時とのほのぼのした会話を見てきているから、義村の男気のある姿を何度も見てきているから、山本耕史さんが演じる三浦義村をますます応援したくなります。
史実は変えられませんが、その行間にある義村と義時の心の通い合いと駆け引きを、最終話まで存分に楽しみたいですね。
「鎌倉殿の13人」と「草燃える」はどちらもU-NEXTのNHKオンデマンドで視聴できます。
本ページの情報は2024年2月時点のものです。最新の情報はU-NEXTサイトでご確認ください。
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