この記事では、全54帖ある超長編『源氏物語』の十七帖「絵合(えあわせ)」のあらすじと主な登場人物を簡単にまとめました。
『源氏物語』十七帖「絵合(えあわせ)」は『光る君へ』では何話のどの辺りのこと?についても独自の考察と感想もお届けします。『光る君へ』『源氏物語』の両方を楽しんでいただくきっかけになれば幸いです。
大河ドラマ「光る君へ」の全話のあらすじ&感想はこちらからどうぞ。
【源氏物語】十七帖「絵合(えあわせ)」あらすじ。
十七帖「絵合(えあわせ)」のあらすじを一言で表すと
源氏&梅壺女御と権中納言(元頭中将)&弘徽殿女御が冷泉帝の寵愛をめぐって、絵合で競う。
では、ざっくりあらすじは?
光源氏の後見のもと、六条御息所の娘で元斎宮は梅壺に入内し梅壺女御に。権中納言(頭中将)の娘である弘徽殿女御は冷泉帝の寵愛を二分していました。絵が好きな冷泉帝の関心を引くべく、二人の元に名品が集まり、ついには絵合が行われます。古今の素晴らしい絵が数多く出された中で、勝敗の決め手は光源氏が描いた須磨の日記絵で、その絵の見事さと感動的な内容で人々の心を打ち、梅壺方が勝利を収めます。
主な登場人物
光源氏:31歳。須磨から都へ戻って内大臣に昇格。
朱雀院:34歳。源氏の腹違いの兄。冷泉帝に譲位。
冷泉帝:13歳。故桐壺院の皇子として即位。実は桐壺と源氏の不義の子。
梅壺女御:22歳。故六条御息所の娘で、前斎宮。冷泉帝の後宮に入内。
弘徽殿女御:14歳。権中納言の娘。斎宮女御より先に入内していた。朱雀院の母(源氏と渡り合ったラスボス)とは別人。
権中納言:29歳。以前の頭中将。源氏の親友でありライバル。
十七帖「絵合(えあわせ)」のポイント
史実には存在しない絵合(えあわせ)。作者の紫式部が960年に村上天皇が開いた「天徳内裏歌合」をヒントに創作したと言われています。
甲乙つけがたく勝負がつかない絵合に切り札を出したのは光源氏が須磨にいた頃に書いた『須磨絵日記』でした。これには冷泉院も相手方の権中納言(頭中将)も当時の苦境を思い出して涙し、芸術としても皆がうっとりと感動の涙を流しました。
こういうこともあろうかと、須磨にいた頃に描いた『須磨』『明石』の2巻の絵をいざという時の切り札に取っておいた光源氏。政治の頂点に立つ源氏ならではの采配です。
女性への目配り、気配りと同じ、栄華を極める人に備わったそつのなさが光るエピソードです。
「光る君へ」では何話のどの辺りなのか考察、そして感想も。
絵合そのものズバリの絵合の場面は『光る君へ』ではありませんが、歌合のシーンは度々出てきます。
中でも印象深いのは、第6話”二人の才女”での、道隆(井浦新さん)主催の歌会での道長、斉信、行成、公任による漢詩の会や
34話”目覚め”で土御門邸で催された「曲水の宴」での、道長とまひろの歌の詠み合いもハラハラドキドキしました。倫子も赤染衛門にも道長とまひろが繋がっていることがばれてしまった一幕でもありました。
41話”揺らぎ”でも一条天皇が亡くなって悲しみに沈む彰子を慰めようと、まひろが藤壺で歌会を企画します。まひろ/紫式部、赤染衛門、あかね/和泉式部、そしてききょう/清少納言がそろい踏みですが、清少納言は歌を詠むことはしませんでした。
十七帖「絵合」では、最初藤壺で行われた絵合では『竹取物語』VS『宇津保物語』、そして『伊勢物語』VS『正三位』が競われましたが、勝負がつかず、舞台を帝の御前に移してのデットヒート。
こういう時に、奥の手『須磨絵日記』を出してくる光源氏。追い風に乗ってノリにノッてるさすが!源氏な行動です。
「光る君へ」は『源氏物語』を土台にして全方位にストーリーを展開していますね。
大河ドラマ「光る君へ」の全話ネタバレあらすじはこちらかどうぞ↓
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まとめ
十七帖「絵合(えあわせ)」の簡単あらすじと、「光る君へ」におけるオマージュを探りました。
史実には残っていない「絵合」というイベント。紫式部のたぐいまれな創造性がここでも発揮されて、雅な宮中のイベントの裏にある権力闘争を浮き彫りにしています。
『源氏物語』は54帖の超大作。スキマ時間を利用して3か月かかってやっと読破しました。前半で目の疲れに悩まされて、耳の読書を色々試してみました。その様子はこちらからお読みいただけます。
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「源氏物語」を読んでみたい方におすすめの本7選!
『源氏物語』原文は文字数約100万文字(といってもイメージ沸きませんよね)、400字詰め原稿用紙で約2400枚と言われています。現代語訳だと注釈の言葉も入ってくるので、とんでもない長編小説です。
まずはオーディブルでざっくり内容を把握して、興味のある部分を深堀りしていくことをおススメします。
活字や紙のボリュームを見ると「むり~」と思ってしまいますが、オーディブルだと全体ボリュームに関係なく流れていきますので私には耳での読書が合っていました。
一番売れている現代語訳は角田光代さん版。全8巻です。
現代語訳は瀬戸内寂聴版と与謝野晶子版もおすすめします。
読破するぞと読み始めたものの、絵合の巻あたりでギブアップするのを「絵合がえり」(高床式倉庫のネズミ返しみたいですね)と言うらしいですが、そこまでたどり着けず、二帖”帚木”で「どの巻もこんなに長いの~」と思って諦める人も多いと聞きます。
私は七帖”紅葉賀”で目の疲労に悩まされて、オーディオブック併用にしました。朗読の収録時間は『源氏物語・与謝野晶子版』で70時間。瀬戸内寂聴版で135時間くらいです。途中寝てしまったり、意識を失いながら、約3か月で聴き終わりました。
いきなり100万文字の大海に漕ぎ出さず、とにかくざっくり『源氏物語』を味わいたい方には、田辺聖子さんの『新源氏物語』がおススメです。一帖”桐壺”がなくて二帖”帚木”から始まっていて、ぎゅっと詰まっています。
参考文献としておススメなのは「紫式部の欲望」。作者の酒井順子さんの着眼点が面白くて、今のご時世だと非難されてしまうかもしれない見解も楽しく読めました。
「イギリスは美味しい」など英国エッセイでご存知の方も多い国文学者の林望先生の源氏物語関連本は、分かりやすく古典に寄せた知見を読めます。「くり返し読みたい」シリーズは特に絵が多くて優しい内容です。
真打ちは林望先生の「謹訳源氏物語」。林望先生の「謹訳平家物語」もとてもいいのですが、源氏物語も読みやすくて、リンボー先生独特の品があります。前書きを読むと内容が予想できるので、ネタバレ不要の方はご注意下さい。
※本ページの情報は2024年11月時点のものです。最新の情報は各公式サイトでご確認下さい。
#源氏物語
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