この記事では、全54帖ある超長編『源氏物語』の十一帖「花散里(はなちるさと)」のあらすじと主な登場人物を簡単にまとめました。
『源氏物語』十一帖「花散里(はなちるさと)」は『光る君へ』では何話のどの辺りのこと?についても独自の考察をお届けします。『光る君へ』『源氏物語』の両方を楽しんでいただくきっかけになれば幸いです。
大河ドラマ「光る君へ」の全話のあらすじ&感想はこちらからどうぞ。
【源氏物語】十一帖「花散里(はなちるさと)」あらすじ。
十一帖「花散里(はなちるさと)」のあらすじを一言で表すと
光源氏は、故桐壺帝に仕えた麗景殿の女御とその妹・花散里を訪ね、昔を懐かしむ。
では、ざっくりあらすじは?
桐壺帝崩御後は光源氏が庇護している、かつて桐壺帝に仕えた麗景殿女御を訪ねます。妹の三の君(花散里)は源氏のかつての恋人で、姉妹はひっそりと暮らしています。源氏は姉妹を訪ねる道中、かつて関係のあった女に歌を詠みかけるが、やんわりと拒絶されます。女御の邸は橘の花が香り、昔を忍ばせるほととぎすの声に源氏は女御としみじみと昔話を語り合い、その後そっと花散里を訪れます。花散里は源氏の不義理をとがめることもせず慎ましく穏やかに源氏を受け止めます。
主な登場人物
光源氏:25歳
麗景殿女御:亡き桐壺帝の女御の一人
花散里:麗景殿女御の妹。若い頃、光源氏と関係があった。
十一帖「花散里(はなちるさと)」のポイント
花散里は容貌もそこまで美しい訳ではなく、なかば源氏から忘れられていた存在なのですが、そのことを花散里はとがめることもなく、品よく穏やかに源氏と語らいます。花散里のような包容力のある女性を最終的に源氏は頼りに思うようになります。
気心が知れていて、何があっても情緒が安定している女性=母のような存在なのかもしれません。男性の永遠の憧れを花散里は全て備えていると言えますね。
「光る君へ」では何話のどの辺りに出てくる?
そのものずばりというシーンはないものの、春、穏やかに花が散り、ホトトギスの鳴き声が聞こえるシーンは『光る君へ』でも何度となく流れています。
「光る君へ」は『源氏物語』を土台にして全方位にストーリーを展開していますね。
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まとめ
十一帖「花散里(はなちるさと)」の簡単あらすじと、「光る君へ」におけるオマージュを探りました。
麗景殿女御を訪れる途中でも別の女性に歌を詠むなど、光源氏の女性遍歴ばかりが強調されるように見えますが、素通りしないところが源氏の優しさとも言えます。それで冷たくあしらわれるとちょっと傷つく源氏のナイーブな面がよく出ています。父・桐壺帝亡き後も、ゆかりのある人たちの面倒を見ている源氏の、きめ細やかで行き届いた気遣いが後々効いてくる点も見逃せません。
「情けは人のためならず」ですね。
『源氏物語』は54帖の超大作。スキマ時間を利用して3か月かかってやっと読破しました。前半で目の疲れに悩まされて、耳の読書を色々試してみました。その様子はこちらからお読みいただけます。
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「源氏物語」を読んでみたい方におすすめの本7選!
『源氏物語』原文は文字数約100万文字(といってもイメージ沸きませんよね)、400字詰め原稿用紙で約2400枚と言われています。現代語訳だと注釈の言葉も入ってくるので、とんでもない長編小説です。
まずはオーディブルでざっくり内容を把握して、興味のある部分を深堀りしていくことをおススメします。
活字や紙のボリュームを見ると「むり~」と思ってしまいますが、オーディブルだと全体ボリュームに関係なく流れていきますので私には耳での読書が合っていました。
一番売れている現代語訳は角田光代さん版。全8巻です。
現代語訳は瀬戸内寂聴版と与謝野晶子版もおすすめします。
読破するぞと読み始めたものの、須磨の巻あたりでギブアップするのを「須磨がえり」(高床式倉庫のネズミ返しみたいですね)と言うらしいですが、そこまでたどり着けず、二帖”帚木”で「どの巻もこんなに長いの~」と思って諦める人も多いと聞きます。
私は七帖”紅葉賀”で目の疲労に悩まされて、オーディオブック併用にしました。朗読の収録時間は『源氏物語・与謝野晶子版』で70時間。瀬戸内寂聴版で135時間くらいです。途中寝てしまったり、意識を失いながら、約3か月で聴き終わりました。
いきなり100万文字の大海に漕ぎ出さず、とにかくざっくり『源氏物語』を味わいたい方には、田辺聖子さんの『新源氏物語』がおススメです。一帖”桐壺”がなくて二帖”帚木”から始まっていて、ぎゅっと詰まっています。
参考文献としておススメなのは「紫式部の欲望」。作者の酒井順子さんの着眼点が面白くて、今のご時世だと非難されてしまうかもしれない見解も楽しく読めました。
「イギリスは美味しい」など英国エッセイでご存知の方も多い国文学者の林望先生の源氏物語関連本は、分かりやすく古典に寄せた知見を読めます。「くり返し読みたい」シリーズは特に絵が多くて優しい内容です。
真打ちは林望先生の「謹訳源氏物語」。林望先生の「謹訳平家物語」もとてもいいのですが、源氏物語も読みやすくて、リンボー先生独特の品があります。前書きを読むと内容が予想できるので、ネタバレ不要の方はご注意下さい。
※本ページの情報は2024年11月時点のものです。最新の情報は各公式サイトでご確認下さい。
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