【べらぼう】33話の感想と徹底レビュー！

8月31日放送の大河ドラマ『べらぼう～蔦重栄華乃夢噺～』33話「打壊演太女功徳（うちこわし えんためのくどく）」は、天明の打ちこわしの混乱の中で、新之助が蔦重をかばって命を落とすという衝撃、アリシン丈右衛門と長谷川平蔵も見逃せません。

哀しみの淵にいる蔦重のもとに現れたのは、闇から立ち直った歌麿。命を写す絵を通じて蔦重を慰める姿に、エンタメと芸術がもたらす希望の力が重なります。

本記事では、「べらぼう」33話の徹底レビュー＆感想をわかりやすくご紹介します。
見逃してしまった方や、もう一度じっくり振り返りたい方にもおすすめです。

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第33話のあらすじ

天明の打ちこわし

天明7年5月、米価高騰と飢えに怒りを募らせた江戸の町人たちは、ついに打ちこわしに走ります。小伝馬町、深川、赤坂と広がる打ちこわし。

新之助（井之脇海さん）はのぼりに幕府への要求を掲げ、幕府ご用達の米屋を次々と破壊。米俵を奪っても口にはせず、制裁として道にばらまく姿に、民衆の「義」の思いが込められていました。

しかし、丈右衛門だった男（矢野聖人さん）が人々をそそのかし混乱は暴徒化。やがて長谷川平蔵（中村隼人さん）が出陣する事態に発展します。

江戸城の動き

城中では老中たちが右往左往する中、田沼意次（渡辺謙さん）だけが冷静に対応。

混乱は「政（まつりごと）を改めよ」という大義名分を持つと理解し、町木戸を閉めて鎮静化を図ります。一方、一橋治済（生田斗真さん）は大奥総取締の高岳（冨永愛さん）を脅迫し、定信（井上祐貴さん）の老中就任を強引に決めさせます。政治の舞台裏では、意次と治済、定信の駆け引きが一気に加速しました。

蔦重と意次

混乱の渦中で蔦屋重三郎（横浜流星さん）は傷だらけの姿で意次の屋敷を訪れます。米がないなら「お救い金を配る」べきだと提案し、意次はその策を採用。蔦重は摺物を刷って民衆に銀をばらまく役目を担います。

富本斎宮太夫（新浜レオンさん）の歌とともに配られる「お救い銀」の知らせで、祭り好きの江戸っ子たちの顔に笑顔が戻りました。しかし、その最中、丈右衛門の刃から蔦重を庇った新之助が命を落とし、蔦重は悲しみの淵に沈みます。江戸の町と幕府、両方での大きな転機が描かれました。

33話「打壊演太女功徳」の感想と徹底レビュー！

新之助の義と最期

市中での打ちこわしを先導した新之助。「義」を貫いての打ちこわしは新之助がいたからこそできたことだと思います。そして最後は蔦重を庇って命を落としました。
「世を明るくする蔦重を守れてよかった」が新之助の人柄をすべて表現しています。蔦重の腕の中で静かに微笑んだ新之助の顔が、いつまでも焼き付いて離れません。

富本斎宮太夫が起こした「演太女＝エンタメ」の奇跡

33話で特に印象的だったのは、富本斎宮太夫（新浜レオンさん）の登場でした。先頭に立ち、力強い歌声で「天から恵みの銀が降る～」と響かせ、次郎兵衛の太鼓が鳴り響く。蔦重とみの吉が「お救い銀」の摺物をばらまくと、緊張で殺気立っていた群衆の顔に笑顔が戻っていきます。

太夫の歌に合わせ、太鼓や掛け声が重なり、まるで祭りのような空気に変わっていく場面は圧巻でした。祭り好きな江戸っ子たちの心を解きほぐし、怒りを笑いへと転じさせたこのシーンは、まさに「演太女（エンターテイメント）」の力を体現していたと思います。

歌麿と蔦重の間に流れるもの

新之助の土饅頭の前に崩れ落ちている蔦重のもとへ歌麿が現れます。命を写す絵を差し出し、「新さんはきっといい顔で逝ったんじゃないか」と蔦重に話す歌麿。
蔦重が涙を流して「今までで一番のいい顔だった」と答える場面は、切なくも温かいです。闇を抜け出した歌麿の言葉が、蔦重の心にそっと寄り添っているようで、こちらまで救われる気持ちになりました。

これまで歌麿は蔦重に対して、義兄を超えた淡い恋心のような、ていに蔦重を奪われたような複雑な気持ちを抱いてきたと思います。命を写す絵を通して蔦重を慰める姿に、歌麿自身の心の浄化と再生も重なります。

蔦重に救ってもらうばかりだった歌麿が、今度は絵師＆＆弟の歌麿にしかできない形で、支え合う二人の関係へと成熟したのを感じました。

長谷川平蔵の登場と丈右衛門の最期

あわや蔦重は殺されるのかという瞬間、突如現れる長谷川平蔵。「狼藉を働くものは容赦なく斬る」と告げるその姿は、まさに「鬼平」そのものでした。
丈右衛門と呼ばれる男が平蔵の放った矢で成敗される瞬間、丈右衛門の生き様もまた、治済の闇に翻弄された悲劇では。と胸がざわつきました。

政治のうねり、一橋治済と松平定信の攻防

一橋治済（生田斗真さん）は大崎を使って高岳を脅し、松平定信（井上祐貴さん）を老中首座に据える場面は、政治劇として圧巻でした。松平定信が老中首座を治済に求める場面は、治済と定信の半分ずつの顔を映す演出は、得体のしれない緊張感が漂っていました。
↓8月30日放送の土スタ、ゲスト生田斗真さん↓

33話に登場した、印象に残った言葉・地口まとめ

地口や面白い表現

• べらぼうが（つよが蔦重の両方の肩を持つ行動に対して）
• ありがた山（蔦重がお店の人たちに布や口上を書いてもらったりして）
• ありがた山です（蔦重が駆け付けた富本斎宮太夫に）
• 天から恵みの銀がふる 三匁二分 米一升 声は天に届いた（富本斎宮太夫が率いる山車の謡い）
• 「米じゃなくて銀なのかい（次郎兵衛）」
  　「米に引き換えられるんでえ（蔦重）」
  　「ここののぼりにある通り『お救い銀 米二換り候』」
• 鈴が鳴る鳴る 太鼓が怒鳴る 米だ 米だ 腹が鳴るのはおしまいで 銀がふる 銀がふる～♪

ちょっと難しい表現

御先手組弓頭（おさきてゆみがしら）
　幕府の常備軍「先手組」の弓組の隊長。江戸城の警備や市中の治安維持を担った。
　長谷川平蔵は天明6（1786）年、先手弓二番組の頭に就任。地口や面白い表現

ていの言葉

「李代桃僵（りだいとうきょう）」
　打ちこわしに来られぬよう、店の前に米を一俵置いてはどうかと提案した言葉。
　「スモモがモモの代わりになる」のたとえで、一部の犠牲によって全体の損害を小さくするという兵法三十六計のひとつ。

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まとめ

第33話「打壊演太女功徳」では、蔦重をかばった新之助と、暗躍していた丈右衛門が命を落とし、物語は大きな転機を迎えました。

哀しみの淵に立つ蔦重のもとへ現れた歌麿は、命を写す絵を通じて再び歩き出す力を示し、芸術やエンターテインメントが人を救う力が描かれました。

次回はいよいよ松平定信が老中首座に就任。田沼時代の終焉と新しい時代の幕開けが迫ります。

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