この記事では、全54帖ある超長編『源氏物語』の二十一帖「少女(おとめ)」のあらすじと主な登場人物を簡単にまとめました。
『源氏物語』二十一帖「少女(おとめ)」は『光る君へ』では何話のどの辺りのこと?についても独自の考察と感想もお届けします。
『光る君へ』『源氏物語』の両方を楽しんでいただくきっかけになれば幸いです。
大河ドラマ「光る君へ」の全話のあらすじ&感想はこちらからどうぞ。
【源氏物語】二十一帖「少女(おとめ)」あらすじ。
一言あらすじは?
夕霧が元服。雲居雁と引き離される。六条院が完成し、紫の上、花散里、秋好、明石の君を住まわせる。
もうちょっと長いあらすじは?
光源氏と葵の上の息子・夕霧が12歳で元服します。源氏は我が子だからと夕霧を優遇せず、六位にとどめて大学に入れます。源氏の養女・斎宮女御が冷泉帝の中宮に立后し、源氏は太政大臣に、右大将(頭中将)は内大臣になります。内大臣は娘の雲居雁を東宮妃に期待しますが、雲居雁は夕霧と恋仲になっていました。これを知った内大臣は激怒し、二人の仲を裂いてしまいます。
宮中では新嘗祭が催されました。夕霧は、五節の舞姫(藤原惟光の娘。後の藤典侍。)を垣間見て、その美しさに惹かれて文を送りますが、彼女は宮仕えする事が決まっており、夕霧は落胆します。その文を父・惟光が見て、夕霧からの文だと知ると「明石入道のように、なれるやもしれない」と思い抱いて、家族から顰蹙を買います。
夕霧は五位の侍従となり、光源氏は広大な邸・六条院を完成させ、四つの区画「四季」を造園、秋(西南)の町を秋好中宮の里邸、春(東南)の町に紫の上、夏(東北)の町に花散里、冬(西北)の町に明石の御方をそれぞれ迎えました。
主な登場人物
光源氏:33~35歳。内大臣から太政大臣へ。
夕霧:12~14歳。源氏と亡き妻・葵の上の子。
雲居雁:14~16歳。父は現・内大臣(もと頭中将)。
内大臣:元頭中将、右大将から昇進。源氏の親友でありライバル。
大宮:夕霧と雲居雁の祖母。葵の上と現・内大臣の母。
秋好中宮:24~26歳。六条院に移り住む。
五節(ごせち)の舞姫:源氏の乳母子である惟光の娘。
二十一帖「少女(おとめ)」のポイント
いよいよ光源氏の六条院が完成し、息子・夕霧も成人。『源氏物語』の世代交代が始まりました。夕霧と雲居雁はロミオとジュリエットのように引き裂かれてしまいましたが、惟光があわよくば明石入道のようになんて思う、ちゃっかり屋で気の利いたところが光源氏をサポートしてきたのだと、物事の両面を感じました。
光源氏の六条院が完成して、四季になぞらえて造園された点や、この後の『源氏物語』では特に宮中の年中行事が取り上げられていくので、六条院と言うキャンバスに『源氏物語』という名画を描いていく紫式部の美的センスに感動します。
「乙女」の巻で、光源氏の栄華が極まり、六条院で成熟した形となりました。
「光る君へ」では何話のどの辺りなのか考察、そして感想も。
『光る君へ』では、4話”五節の舞姫”でまひろが倫子の代わりに「五節の舞姫」になるという設定でした。そして、公卿たちの前で舞うまひろが目にしたのは、居眠りする三郎/道長の横にいた、道兼(玉置玲央さん)の存在。1話”約束の月”のラストシーンで母・ちやはの命を奪った憎い道兼がなんと三郎の兄だったと知ることになります。
夕霧は雲居雁との仲を引き裂かれて傷心だったのですが、五節の舞姫だった惟光の娘が雲居雁と似ていたこともあって、面影を重ね合わせて惹かれてしまいました。
「光る君へ」は『源氏物語』を土台にして全方位にストーリーを展開していますね。
大河ドラマ「光る君へ」の全話ネタバレあらすじはこちらかどうぞ↓
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まとめ
二十一帖「少女(おとめ)」の簡単あらすじと、「光る君へ」におけるオマージュを探りました。
光源氏の栄華の象徴・六条院が完成した「少女」の巻で、一旦光源氏が主役のメインストーリーは一区切りとなります。二十二帖からは「玉鬘十帖」で六条院の華やかな暮らしが描かれていきます。
スピンオフに移るのに先立って「六条院」という舞台を用意する紫式部の才に惚れ惚れします。
『源氏物語』は54帖の超大作。スキマ時間を利用して3か月かかってやっと読破しました。前半で目の疲れに悩まされて、耳の読書を色々試してみました。その様子はこちらからお読みいただけます。
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「源氏物語」を読んでみたい方におすすめの本7選!
『源氏物語』原文は文字数約100万文字(といってもイメージ沸きませんよね)、400字詰め原稿用紙で約2400枚と言われています。現代語訳だと注釈の言葉も入ってくるので、とんでもない長編小説です。
まずはオーディブルでざっくり内容を把握して、興味のある部分を深堀りしていくことをおススメします。
活字や紙のボリュームを見ると「むり~」と思ってしまいますが、オーディブルだと全体ボリュームに関係なく流れていきますので私には耳での読書が合っていました。
一番売れている現代語訳は角田光代さん版。全8巻です。
現代語訳は瀬戸内寂聴版と与謝野晶子版もおすすめします。
読破するぞと読み始めたものの、絵合の巻あたりでギブアップするのを「絵合がえり」(高床式倉庫のネズミ返しみたいですね)と言うらしいですが、そこまでたどり着けず、二帖”帚木”で「どの巻もこんなに長いの~」と思って諦める人も多いと聞きます。
私は七帖”紅葉賀”で目の疲労に悩まされて、オーディオブック併用にしました。朗読の収録時間は『源氏物語・与謝野晶子版』で70時間。瀬戸内寂聴版で135時間くらいです。途中寝てしまったり、意識を失いながら、約3か月で聴き終わりました。
いきなり100万文字の大海に漕ぎ出さず、とにかくざっくり『源氏物語』を味わいたい方には、田辺聖子さんの『新源氏物語』がおススメです。一帖”桐壺”がなくて二帖”帚木”から始まっていて、ぎゅっと詰まっています。
参考文献としておススメなのは「紫式部の欲望」。作者の酒井順子さんの着眼点が面白くて、今のご時世だと非難されてしまうかもしれない見解も楽しく読めました。
「イギリスは美味しい」など英国エッセイでご存知の方も多い国文学者の林望先生の源氏物語関連本は、分かりやすく古典に寄せた知見を読めます。「くり返し読みたい」シリーズは特に絵が多くて優しい内容です。
真打ちは林望先生の「謹訳源氏物語」。林望先生の「謹訳平家物語」もとてもいいのですが、源氏物語も読みやすくて、リンボー先生独特の品があります。前書きを読むと内容が予想できるので、ネタバレ不要の方はご注意下さい。
※本ページの情報は2024年11月時点のものです。最新の情報は各公式サイトでご確認下さい。
#源氏物語
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