この記事では、全54帖ある超長編『源氏物語』の十三帖「明石(あかし)」のあらすじと主な登場人物を簡単にまとめました。
『源氏物語』十三帖「明石(あかし)」は『光る君へ』では何話のどの辺りのこと?についても独自の考察をお届けします。『光る君へ』『源氏物語』の両方を楽しんでいただくきっかけになれば幸いです。
大河ドラマ「光る君へ」の全話のあらすじ&感想はこちらからどうぞ。
【源氏物語】十三帖「明石(あかし)」あらすじ。
十三帖「明石(あかし)」のあらすじを一言で表すと
光源氏は明石の君と結ばれ、都に呼び戻される。
では、ざっくりあらすじは?
暴風雨に襲われた光源氏は明石に移り、明石の入道の娘・明石の君と光源氏は結ばれる。一方、都では朱雀帝が眼病を患い、右大臣から出世していた太政大臣が死去。光源氏を重んじるようにとの桐壺院の遺言を守らなかったためと反省した朱雀帝は光源氏を都に呼び戻す。
主な登場人物
光源氏:27~28歳
明石の入道:元は高官だったが、播磨守となり出家して明石に住んでいる。娘の良縁を早くから望み、光源氏を明石に迎え、娘と結婚させた。
明石の君:明石の入道の娘。光源氏の帰京後、明石の姫君(のちの明石中宮)をもうける。
十三帖「明石(あかし)」のポイント
連日の暴風雨が遅い、源氏の君がいる須磨の住まいが火災で焼けてしまいます。以前より高貴な方に娘を嫁がせたいと思っていた明石の入道はこの時を逃さず、源氏の君を明かしに迎え入れて、娘と結びつけます。明石の君自身は身分の違いにコンプレックスを抱いていますが、源氏の君は明石の君と結ばれます。新しい命の誕生です。
一方、都では光源氏を遠ざけたことへの報いと思われるような災いが続きます。朱雀帝が眼病に苦しみ、朧月夜の父が亡くなり、弘徽殿女御も病に倒れます。朱雀帝は桐壺院の遺言(光源氏を重んじよ)を守らなかったためだと、皆の反対を押し切って光源氏を呼び戻します。
一旦、光源氏から遠ざかっていた時流が、また光源氏を照らすかのように追い風になって吹いてきます。ただ、明石の君とのことを正直に紫の上へ文に書いたばかりに紫の上からの嫉妬がすさまじく、結果、光源氏は明石の君と距離を置かなければならなくなります。口は災いの元です。
明石の入道は思惑通りですが、娘の明石の君は身分の差に耐えられなくて、このあとと愛しい娘と離れ離れになる道を選んでしまいます。
「光る君へ」では何話のどの辺りに出てくる?
『光る君へ』43話「輝きののちに」で、内裏で2度火災が起きたり、三条天皇が目が見えにくく、耳も聞こえにくくなります。これは三条天皇が「一帝二后」など、好き放題の政をしているからだという流れです。
そして、伊周の弟・隆家も狩りの時に枝が目に刺さったのが原因で目の病となり、大宰府に眼病に詳しい宋人の薬師がいるということで、大宰府に着任することになりました。
天変地異や病気、人が亡くなるなどの災いは全て「因果応報」からくる。と考えられていたこの時代。朱雀帝は慌てて光源氏を都に呼び戻します。
「光る君へ」は『源氏物語』を土台にして全方位にストーリーを展開していますね。
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まとめ
十三帖「明石(あかし)」の簡単あらすじと、「光る君へ」におけるオマージュを探りました。
先手を打った形で、明石に下った源氏の君。情勢を読んでさっと身を引いた適切な政治判断によって、光源氏は再び表舞台に返り咲きます。右大臣(現太政大臣)も亡くなり弘徽殿女御も病気。人の世は諸行無常です。
都で留守を守っている紫の上にしてみれば、光源氏と明石の君とのことは耐え難いものだったと思います。明石の君も身分の違いに苦しむことになります。
『源氏物語』は54帖の超大作。スキマ時間を利用して3か月かかってやっと読破しました。前半で目の疲れに悩まされて、耳の読書を色々試してみました。その様子はこちらからお読みいただけます。
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「源氏物語」を読んでみたい方におすすめの本7選!
『源氏物語』原文は文字数約100万文字(といってもイメージ沸きませんよね)、400字詰め原稿用紙で約2400枚と言われています。現代語訳だと注釈の言葉も入ってくるので、とんでもない長編小説です。
まずはオーディブルでざっくり内容を把握して、興味のある部分を深堀りしていくことをおススメします。
活字や紙のボリュームを見ると「むり~」と思ってしまいますが、オーディブルだと全体ボリュームに関係なく流れていきますので私には耳での読書が合っていました。
一番売れている現代語訳は角田光代さん版。全8巻です。
現代語訳は瀬戸内寂聴版と与謝野晶子版もおすすめします。
読破するぞと読み始めたものの、明石の巻あたりでギブアップするのを「明石がえり」(高床式倉庫のネズミ返しみたいですね)と言うらしいですが、そこまでたどり着けず、二帖”帚木”で「どの巻もこんなに長いの~」と思って諦める人も多いと聞きます。
私は七帖”紅葉賀”で目の疲労に悩まされて、オーディオブック併用にしました。朗読の収録時間は『源氏物語・与謝野晶子版』で70時間。瀬戸内寂聴版で135時間くらいです。途中寝てしまったり、意識を失いながら、約3か月で聴き終わりました。
いきなり100万文字の大海に漕ぎ出さず、とにかくざっくり『源氏物語』を味わいたい方には、田辺聖子さんの『新源氏物語』がおススメです。一帖”桐壺”がなくて二帖”帚木”から始まっていて、ぎゅっと詰まっています。
参考文献としておススメなのは「紫式部の欲望」。作者の酒井順子さんの着眼点が面白くて、今のご時世だと非難されてしまうかもしれない見解も楽しく読めました。
「イギリスは美味しい」など英国エッセイでご存知の方も多い国文学者の林望先生の源氏物語関連本は、分かりやすく古典に寄せた知見を読めます。「くり返し読みたい」シリーズは特に絵が多くて優しい内容です。
真打ちは林望先生の「謹訳源氏物語」。林望先生の「謹訳平家物語」もとてもいいのですが、源氏物語も読みやすくて、リンボー先生独特の品があります。前書きを読むと内容が予想できるので、ネタバレ不要の方はご注意下さい。
※本ページの情報は2024年11月時点のものです。最新の情報は各公式サイトでご確認下さい。
#源氏物語
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